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原発問題

原発事故によるさまざまな問題、ニュース

【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部※22回目の紹介

2014-07-30 20:55:02 | 【原発ホワイトアウト】

*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽  から何度かに分けて紹介します。22回目の紹介  

 現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!

 「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」

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カスタマーレビュー)から

救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。

  「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。

  こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。

  私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。

  さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)

読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。

そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。

  「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。

この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。

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★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1回~16回までのリンク一覧あり

★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17回~21回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第13章 日本電力連盟広報部  ※22回目の紹介

-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「第13章 日本電力連盟広報部」 を紹介

【登場人物】
 小島 厳 日本電力連盟常務理事 関東電力総務部長を経て日本電力連盟に出向

(33)
 マスコミは、社会の木鐸として、社会主義のために働く職業と世の中からは認識されている。しかし実際には、社会主義を実現することよりも、他社を出し抜く、あるいは広告をとって利益をあげることが優先される場合も多い。組織の建て前と本音は一致しない。

 建て前と本音が一致しないのは、官庁や電力会社、そして政治家とて同じことである。そういう組織のなかで、本音を正しく読み取り、建て前を押し殺す人間が出世していく。建て前の追求は、あくまでも、組織の利益を害さない範囲で行われる。いわばポーズなのだ。

 「起きてしまったことは仕方ない、リカバリーショットをどう打つかだ」

 と、日本電力連盟の小島厳常務理事は広報部長に厳しい表情で告げた。

 小島自身は、野党に転落した民自党幹部との懇親会で、昨夜も帰宅が遅かった。ニュース番組の特集は見ていなかった。今朝、出勤するや否や、広報部長から、視聴率14・4パーセントという数字を知らされるとともに、番組の録画を見せられた。

 新聞にいくら書かれようと、仮にそれがステイタスのある「朝経新聞」の一面だったとしても、社会的な影響力はそれほど大きくはない。所詮、反応するのは、文字を読むインテリと反原発論者だ。

 しかし、テレビは違う。国会議員から一般大衆まで見ている。いくら批判の直接的な矛先が原子力規制庁の役人だとしても、それと道連れに、日本原発だけでなく電力会社全体が、「原子力ムラ」の癒着の構図の主役と受け止められるだろう。

 「とにかく、あとの追いかけ記事が続かないようにしてくれよ。具体的な対策を講じて、今日中に報告しろ!」

 こう、広報部長に厳命した。

 ・・・全体として、小島が参議院選挙当日の夜にしたためた「これからの課題」は、着実に解決に向かっていた。再稼動、電力システム改革の適正化、世論対策・・・少なくとも、小島が左右できる範囲では、ほぼベスト・シナリオが展開していた。

 兵糧が尽きる前に政治やマスコミを押さえ込むためにも、こんな原子力規制庁の小役人の情報漏洩ごときで世論が逆戻りしてはたまらない。とにもかくにも、関東電力には、一日も早い新崎原発の再稼動が必要なのだ。


 新崎原発の現地では、伊豆田知事の事前同意要求を無視した形で、フィルター付きベントの設置工事が、秘密裏に進んでいた。

 設置工事の全体像を末端の作業員にわからなくするために、工事は分割発注された。分割発注には、原発停止で冷え込んでいる東栄会の会員企業をできるだけ多く潤す狙いもあるが、むしろ知事を無視してフィルター付きベントの工事を進めていることを秘密にしておくためだった。

 現地で実際に施工に当たる二次下請けの作業員たちには、部分部分の工事の設計図だけが示され、それが何を目的とした工事であるかさえ秘密にされた。

 「なんだか、えれぇ、頑丈な配管だな。何が通るんだ?」

 「液体じゃなくて、気体だとは聞いているがな」

 「単なる空調じゃ、こんな丈夫は配管にはしねえだろうよ」

 こう、作業員たちは、口々に、工事現場で疑問を呈していた。

 工事の分割は徹底され、ゆえに配管の途中で、他社の施工する配管と繋ぎ合わせることが必要となった。設計図上では寸分の狂いもなくキレイにつながる長さで設計されていても、現実の工事は、規模が大きくなればなるほどズレが大きくなる。50センチメートルくらい、双方からの配管がずれることもある。

 「おい、これズレてるけど、どうやって繋ぐんだ?」

 と、作業員が他社の作業員に尋ねる。現場での混乱は、どんどん拡散していく。

 「・・・いや、ズレないはずなんだけどなあ」

 「継ぎ手でつないどくか?」

 「一応、関東電力にお伺い立てとくか?」

 「・・・でも、あいつらに聞いたら、本社に確認するとか言って、平気で一週間くらい放置されるぞ」

 「とろい奴らだかんな。にもかかわらず、俺たちよりも、よっぽどいいカネもらってるんだろ?」

 「しかも、一次下請けが中抜きしやがってんだからな」

 「設計ではおこらないはずのことが起きてんだから、適宜対処、でいいだろ?」

 「現場の作業には、関東電力も、一次下請けも、立ち会っちゃいないんだから、俺たちに任されてるってことさ、道理では」

 「関東電力さんは、急ぐ、急ぐ、って言ってたしな」

 「こんなのをいちいちお伺い立ててたら、俺たち死んじまうぜ」

 「まぁ、放射性物質が通るような重要は配管じゃないんだし、ちょこちょこっと済ませちまおうぜ」

 現場の作業員は口々に語り合う。

 まさか、いざというときに、この配管に放射性物質を含む排気が通るとは、誰も認識していなかった・・・。

 

※「第13章 日本電力連盟広報部」の紹介は、7/30~8/2予定。

その後引き続き、8/3から「第14章  エネルギー基本計画の罠」の紹介予定です。


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★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17回~21回までのリンク一覧あり

 


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