議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

無償での引き渡しは、廃棄物の処理委託か?

2007年01月18日 23時29分34秒 | コンサル日誌
 「無償は廃棄物」というのが比較的一般的です。正確には総合判断説ですが、現場での運用ルールとしては、「売れないものはすべて廃棄物」とされていることが多いようです。

 しかし、そもそも無償でモノを誰かにあげることが、廃棄物の委託になるのでしょうか。もちろんそんなわけがありません。手作りのバレンタインチョコレートは有価で販売できませんが、それをタダで誰かにあげたとしても廃棄物の処理委託にはなりません。

■典型契約
 これを、民法では「贈与」であるとして、良くある典型的な契約=典型契約という形で特別に扱っています。実際、よくありますよね。つまりはプレゼントです。ビラ配りなんかもそれに含まれるでしょう。

 だったら、廃棄物を無償で引き渡しているものは、すべて贈与にあたるではないか、という考え方もできます。でもやっぱり、それは廃棄物の処理委託のように見える、ということもあります。

■判断基準
 判断基準ですか?まずは常識で考えましょう。チョコは絶対廃棄物ではありません。では、銭湯に木くずを燃料としてあげている場合、有機系の廃棄物を飼肥料としてあげている場合はどうなのでしょうか。そのような微妙なケースについては、、、様々な状況を総合的に勘案して判断することになるのでしょう。

 行政に聞いてもいいですが、様々な方の意見を参考にして、最終的にはご自身で判断すべきです。「写るんです」とか、「不要家電の無償回収車」とか、「インクカートリッジの回収」とか、すべて最終的には当事者の判断に拠っているわけですから。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 保管用地の売買 | トップ | 重罰産業廃棄物 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
一つの考え方 (アスパラ)
2007-01-19 23:11:59
無償が廃棄物かどうかの判断に私個人がよく使用している考えが、もと(原料など)が有価か無価かという考えです。

たとえば、チョコレートとかは原料が有価ですから、無償であげても規制をかける必要がない。パンフレットも原料の紙は有価ですから、無償であげても規制をかける必要がないなどです。
(出口だけではなく入り口もトータル的に考えています)

そこから、考えると、処理費用をもらって(マイナス価値)肥料を無償で提供する場合は規制をかける必要がある。

との判断で主に行っています。

判断に困るときは、やはり総合的に判断をしていますが・・・
視点が違うのですね (堀口昌澄)
2007-01-19 23:37:03
アスパラ様、

コメントありがとうございます。とても参考になります。

発想のポイントが「業者を規制するかどうか」というところにおかれているというところが、私と違うようです。私は普段から無意識にいつもお付き合いしている排出事業者の視点から考えているのかもしれません。

その考え方を、普通の排出事業者(製造メーカー等)から出てくる排出物に当てはめると、「無償で提供するのであれば全て廃棄物ではない」という考え方になりますね。それこそ、実際には判断に困るケースが多々あるのでしょうが。
Unknown (shimo)
2007-01-22 22:03:39
僕もしばし遭遇する課題です。

「コスト(価格)」ってのが、判断の秤(思考停止の要因)になって、それ以上進めなくなってしまっている。ここをスゴク残念に思うんです。

つまりその廃棄物(有価物)の価値と価格のスプレッドから判断してるんですが、経済のもう一方の観点(例えばサスティナビリティーの視点)から云えば、「ん、、、やっぱ有価物だよね」ってこともあると思うんです。
銭湯の薪なんかまさにそうですよね。それが運賃で逆有償だったとしても、「有価物」って判断があっていいです。「あっていい」という幅が大事かなと。

価値価格のスプレッドがマイナスになっている有価物の自治体入札、、、あれ廃棄物じゃないですよねって。

つまり、云いたいのはマトリックスで判断しないで、個別にキチンと考えましょうよってことです。

もちろん、法の前段に倫理があるというのが前提で。
難しいのですよね (堀口昌澄)
2007-01-24 05:16:34
shimo様、

コメントありがとうございます。

個別具体的に判断すべき、というのは、裁判所でも環境省でも共有されている考え方でありますが、現場でそれがなかなかできないんですよね。

近年コンプライアンスが重要だといわれていますが、それは明らかな法令違反が社会問題となっているからだと思います。この問題は、それとは少し違うレベルで考えるべきですね。

コメントを投稿

コンサル日誌」カテゴリの最新記事