月刊「広報」2009年7月号の記事から

「広報」という月刊誌がある。
財団法人日本広報境界がだしている雑誌で、HPはこちら
自治体の広報担当者にむけた雑誌だ。

この雑誌に、「現代社会に潜むデジタルの「影」を追う―市民のためのサイバーリテラシー」という連載があり、去年から出版界に攻勢をしかけている大日本印刷の経緯が手際よくまとめられていたのでメモを。
書き手はサイバーリテラシー研究所の矢野直明さん。

まず、2008年8月、大日本印刷は書店の丸善への出資比率を51%に引き上げ、丸善を子会社化。
あわせて、図書館への販売を手がける取次、図書館流通センターとも提携を強化。

2009年3月、書店のジュンク堂の株式51%を取得し、業務提携へ。
同年5月、出版社主婦の友の筆頭株主に。
講談社、集英社、小学館などと共同で、ブックオフ株を29%取得(大日本グループは16パーセント)。

以上。
でも、この記事には図書館関係が含まれていないので、すこし追加を。

丸善系列の図書館員派遣会社に「図書館スタッフ」がある。
いままで公立図書館にも派遣していたのだけれど、どうも撤退したよう。
で、図書館流通センターも図書館の業務委託を請け負っている。
だから、去年の8月の時点で、「公共図書館は図書館流通センターが担当、大学図書館などは図書館スタッフが担当」といった市場の仕分けがされたんじゃないかと思う。

ただ、丸善は図書館用の検索システムを公共図書館に販売している。
なので、これからはシステムは丸善、データは図書館流通センターという組み合わせが増えるかも(いまでも多いか?)。
ついでにいうと、オンライン書店bk1は、図書館流通センターの事業部のひとつだ。

ところで、出版業界では、返品率が40%を超えるという異常事態が恒常化している。
この異常事態のなか、大いに成長してきたのがブックオフだと記事では位置づけていて、ブックオフを舞台にした以下のような流通問題を指摘している。

・出版社→ブックオフ(出版社の中古としての直接卸し)
・ブックオフ→書店→出版社(書店がブックオフで買った新品同様の本を返品扱いにして出版元に返す)

あとは、書店で万引きしてブックオフに売る。
これは未見だけれど、日経ビジネスオンラインに、大日本印刷常務、森野鉄治さんのインタビューが載っているそう。
それによれば、大日本印刷では、ICタグを導入し、流通の正常化を図りたいと考えているそうだ。

話はぜんぜんちがうけれど、同じ「広報」7月号には、各自治体の新インフルエンザ対策についての、情報提供の検証がなされていて、とても興味深い(書き手は平能哲也さん)。
発熱相談センターに問い合わせたさいに訊かれることを、あらかじめHPに載せておくいいとか、感染者の数だけでなく、全快した感染者の数も公表したらいいとか、じつに示唆に富む(全快者の人数はWHOで集計していないかもしれない)。

また、話はとぶけれど、この「広報」のように財団法人がだしている冊子はごまんとある。
それらの目次だけでもあつめたサイトが、あればいいのにと思うけれど、もうあるんだろうか。
個人的に、そんな「はしっこ雑誌」の記事で面白いものをみつけたら、メモとっていきたい。


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