いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

侍毛バリに釣られてみる;あるいは、抗顔座食について

2010年11月30日 20時37分16秒 | 日本事情

―我 朝上古ノ制海内挙テ兵ナラサルハナシ、有事ノ日、天子之カ元帥トナリ丁壮兵役ニ堪ユル者ヲ募リ以テ不服ヲ征ス。役ヲ解キ家ニ帰レハ農タリ工タリ又商賣タリ、固ヨリ後世ノ双刀ヲ帯ヒ 武士ト称シ抗顔坐食シ 、甚シキニ至テハ人ヲ殺シ官其罪ヲ問ハサル者ノ如キニ非ス。

『徴兵告諭』 明治5年の明治新政府による太政官告諭の冒頭部分より

武士ト称シ抗顔坐食シ、=武士と称して、あつかましくもはたらきもしないくせに、ただめしを食い、

甚シキニ至テハ人ヲ殺シ =場合によっては人を殺し

官其罪ヲ問ハサル者ノ如キニ非ス =当局はそれを無罪とみなしていた ―




from http://hiwihhi.com/cytometrer/status/16747275042

侍毛バリに釣られてみる(さむらい・けばりにつられてみる)

やっぱ、お武家さまいいよ。民百姓からふんだくったカネで研究道楽ができる。

「科学技術」問題で、科学と技術を分けろ!という主張がある。その主張がある点ではもっともだと思うことがある。それは、この技術が世の中に役立つんだ!将来数千億円規模の産業になるんだ!と開発予算を政府予算として税金からつぎ込んでいる研究者たち。そして、ほとんど何にも実用化してないでやんの。

たとえば、バルク金属ガラス。杜の都大学の総長さんの大風呂敷。

下記画像は"バルク金属ガラス"の市場規模の将来予測で2006年になされたもの。今年2010年には、2000億円の市場規模になっているはずだった。現在、ほとんど大規模量産・販売されている気配はない。

さらに、一部情報によるとJST(独立行政法人 科学技術振興機構)やNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)などの公金でこのバルク金属ガラスに投入された資金は200億円になるらしい。さらには用途開発など材料の使い道を開発することに税金を使っている。本末転倒だ。

未確認情報によるとYKKなどのメーカーはバルク金属ガラスの開発から撤退したらしい。さらには世界の有名メーカーが特許使用権を求めてきているという話も聞かない。

市場・世俗での需要状況がわからない材料を作って、使い道を探すって、いくら税金があっても足りない。科学者が驚愕する物性が、そのまま世俗で役にたつわけでもないことはいうまでもない。こんなすごい物性なんだから、必ず世で必要なはずだろうという発想なのであろう。まさに、武士の材料開発である。



http://www.ryutu.inpit.go.jp/business/2006/t3-3.pdfより。(注意! 2.4Mb、 重いかも)

■ ~♪~夢の中へ~♪~~♪~夢の中へ~♪~

  ~♪~行ってみたいと、思いませんか?~♪~



ちっち(七十七)銀行で行われた、"士農工商"の"商"向け後援会の資料より; 
重い!:[PDF]夢の新素材“金属ガラス”の 発見と実用化
軽い:井上 明久氏の「財団設立10周年記念講演会」 盛会裏に終了!

そんなにすごいと思うなら、仙台・ちっち(七十七)銀行が投資すればいいのにね。

~♪~探し物は何ですか?~♪~ ~♪~見つけにくい物ですか~♪~

~♪~カバンの中も~♪~ ~♪~天津港も探したけれど見つからないのに....~♪~ まだまだ探す気ですか?

~♪~それより国家予算と踊りませんか?~♪~ ~♪~夢の中へ~♪~

~♪~夢の中へ!、食税したいと思いませんか!?~♪~

▼同様に、バイオによる大風呂敷もあった。

■その一方、"士農工商"の工商の方はつらい。たとえば、新日本製鉄は粗鋼生産量を2008年の3,688万トンから2009年には2,761万トンに減らした。同様にJFEスチールは3,370万トンから2,628万トンへの減産。理由は円高による日本の産業界の海外転出による、日本国内での粗鋼需要の低迷。つまり、産業が空洞しているので、粗鋼を買ってくれる企業が日本から消えていっているのだ。そういう海外に出て行った日系企業は現地で安い中国産の粗鋼を買う。事実。鉄鋼メーカーの世界ランキングでは、10位以内に中国メーカーが5社を占める。日本勢は上記、新日本製鉄とJFEスチールの2社。そして、順位をずるずる落としている。ただし、それでも世界6位と9位の鉄鋼メーカーである新日本製鉄とJFEスチールの売上高は、それぞれ3.5兆円と2.8兆円である。[数字は「週刊ダイヤモンド」2010/11/27号、"数字で会社を読む・新日本製鉄"]

この数字から見て、上記の"バルク金属金属ガラス"のちんけさがわかるだろう。

さらに"工商"は激動の世界状況で必死の企業経営を迫られている。翻って、おさむらいさま。民百姓からふんだくったカネで一生安泰。うらやましいかぎりである。

日本政府の数少ない税収の源が売上高数兆円規模のメーカーである。その税収から、ろくに世の中のためにならない材料、役に立たない材料の研究道楽に遊んでいるのが"士農工商"の頂点に立つお武家さま=食税研究者さまたちである。ホント、うらやましいかぎりだ。

"士農工商"の工商ならまだましだ。"士農工商"、#$、&!*、の下のdeath valley traveller (死谷旅人)なのが、おいらだ。役に立たない材料の研究などという贅沢は許されない。その性能がどんなに世界唯一、世界一であろうとも市場で売れなければ、プロジェクト解散である。この解散査定は毎年ある。実際、三年前には、プロジェクトの解散、転売もされた。買おうと手付けをしたが、すぐ捨てたメーカーもいた。死の谷をさまようおいら。一度でいいから、役に立たない材料の研究などという贅沢というものをしてみたいものだ。

と、今夜も、ねたみ・ひがみ・そねみを駆動力として愚痴流束を発現させてしまいました。

●蛇足;―(住友財閥の後援で)彼(本多光太郎)の部門は鉄鋼研究所、さらに金属材料研究所へと発展する。ここから登場したのが、まず大正五年のKS磁石鋼である。タングステン、クローム、コバルト、炭素を含む特殊合金で、世界最強の磁石鋼として国際的に注目され、ジーメンス、GEなどがあいついて特許使用権を購入して、住友財閥の投資を稔らせた。― 宮田親平、『科学者たちの自由な楽園』


↓嘆きの壁? 2003年頃撮影;






- - 武士の恥をしらざること今日に至り極まれり - -  松陰 「講孟箚記」



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