いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

官軍は賊軍、賊軍は官軍

2008年06月08日 08時47分57秒 | 日本事情
- - きれいはきたない、きたないはきれい。闇と汚れの中を飛ぼう。- -
シェイクスピア、『マクベス』




     田原坂、2004年春

■先日来の、佐々淳行センセの話。 チベットや天安門事件などでの中国共産党政府の死人がでることを躊躇しない露骨な弾圧はひどい。佐々センセの偉業はやはり「全員生け捕り」だ。さらには、戦後日本警察の偉業は、人道上「全員生け捕り」にしたばかりではなく、反乱者の英雄化/偶像化/聖化を阻止したことにある。

最近、多喜二の『蟹工船』がはやっているらしいが、やはり、今の若い諸君が多喜二の死因を知ると、「あー、戦前ってこういう時代だったんだ」と理解してしまうだろう。治安維持法で死刑になった者など一人もいないという事実は考慮されず。

だから、バカサヨ大集団を、ひとりとして「殉教者」とすることなく、「全員生け捕り」した佐々センセは偉い。が、「おかしな「保守」言論人 」であることは変わらない。

●あじさいが咲き始め、梅雨に入ってしまった。ということは今年も半分が過ぎた。半年前の年末、ラジオで佐々センセの講演をやっているのをたまたま耳にしたので、 正座 をして ケツをぼりぼりかきながらフグリ丸出しで拝聴した。今調べると、それは、熊本城と西南戦争シンポジウム、基調講演・講師:佐々淳行氏、テーマ「西南戦争と佐々友房~近代国家日本の幕開け」の録音だった。

なんだ、佐々センセは、名誉ある賊軍の出だったのか。熊本で西郷軍に合力した佐々友房のお孫様。佐々成正の御子孫というのは聞いていたが。 熊本って、佐々一族には鬼門だろうに。

~♪~ 鬼神に恥ぬ勇あるも、天の許さぬ反逆を起こせし者 ~♪~ にほかならない。


むつひとさん、ふるえて、いかりをほっす。

つまりは、朝敵。そして、近代ぬっぽんのおまわりさんの父祖・警視隊、いわゆる、警視庁・抜刀隊の成敗対象だ。

● - 付和雷同か? -

天の許さぬ反逆を起こした佐々友房さんの西郷軍への参加大義ははっきりしない。そもそも西郷自身の決起の大義名分がはっきりしない。佐々友房の親分の池辺吉十郎は、西郷の挙兵の名分がないことに対し、西郷の決起は「天下の大機会」といっている。(小川原正道 『西南戦争』) つまりは機会主義者(optimist)ってわけだ。

戦争後、鬼神に恥ぬ勇あるも、天の許さぬ反逆に雷同した佐々友房さんは、幸いにも刃(やいば)の下に死ぬべきぞ、大和魂ある者の死ぬべき時は今なるぞ、人に後(おく)れて恥かくなということもなく、傷兵として生き延びる。それで書いたのが『戦袍日記』。

司馬遼太郎はこの日記を基に、西南戦争関連の小説を書いたと、上記の講演で佐々淳行さんはいっていた。さらには、論理的整合性は説明しなかったが、佐々友房は西南の叛逆戦争のあと学校を創設し、皇室から賜金を受けたので、もはや賊ではないのだ、と佐々淳行さんは主張していた。

歴史的正統性は特に論証していなかった。


考えてもみれば、西南戦争の叛逆の首魁・西郷隆盛は、明治維新最大の偉勲者で大日本帝国陸軍の最初の大将。その反逆者を鎮圧した警視隊の少なからずの面子、そして強力な面子は、戊辰戦争での賊軍出身の旧会津藩士。 その警視隊に蹴散らされた佐々の孫が戦後は警視庁警備課長。

▼まとめ
- - 官軍は賊軍、賊軍は官軍。闇と汚れのぬっぽんを突き進もう。- -







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