鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

Net4U運用状況調査(2013-2022)

2023-04-07 17:11:19 | 日記

2023年3月末現在、運用開始(2000年1月)以来の登録患者数は、83297例。うち共有患者数は14802例。

月当たりの登録数は、500件前後で推移している。

運用開始以来、医療機関参加施設数に著変はないが、近年、訪問系、介護系施設の増加が目立つ。

地域内の訪問看護師ステーションのほとんどが参加している。

参加施設の類型別の年次推移である。居宅介護支援事業所、調剤薬局、介護系施設の増加が顕著である。

 

参加職種の内訳では、看護師、介護職(ケアマネジャー)、医師と続く。看護師とケアマネジャーで3/4を占める。

 

職種別のユーザー数の推移であるが、看護師、介護職の延びが顕著である。

 

書き込み数の推移である。医師の減少が著しく、一方で看護師の増加傾向が続いている。

Net4Uを利用する患者数(アクセス数)は、ここ数年著変はないが、医師以外(おもに看護師)の利用が増加傾向にある。


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令和4年度日本医師会医療情報システム協議会 メインテーマ: 医療 DX2023 DX推進の現状と将来の展望 -DX 推進のためにできること、すべきこと-

2023-04-04 17:36:23 | 日記

はじめに

2月25,26日にオンラインで開催された日本医師会医療情報システム協議会を聴講したので報告します。今回の協議会のメインテーマである「医療DX」、2022年はその元年とも言われていますが、そもそも医療DX(Digital Transformation)をご存じでしょうか?日本医師会常任理事である長島先生は抄録で「医療のIT化により、業務の効率化や適切な情報連携などを進めることで、 国民・患者の皆さんに、より安全で質の高い医療を提供するとともに、医療現場の負担を減らすことである。」と述べていますが、具体的には、「全国医療情報プラットフォームの構築」、「医療情報の標準化」、「診療報酬改定DX」が3本柱になります。一方で、2022年がなぜ元年かというと、医療DXの入り口となるオンライン資格確認の原則義務化や電子処方箋の運用が開始されたからです。以下、医療DXの3本柱ついて私見を交え報告したいと思います。

 

全国医療情報プラットフォーム

オンライン資格確認システムの概要図を示します(図)。まずは、医療機関・薬局と支払基金・国保中央会のサーバ間に閉鎖されたネットワークを構築します。このネットワークを利用することで、保険証の資格を確認できるだけではなく、本人の同意のもと、本人が通院している医療機関での処置や処方内容を閲覧できるようになります。アクセスするには基本的にはマイナカードを利用しますが、従来の保険証情報でも資格確認は可能です。

オンライン資格確認を導入している医療機関も多いかと思いますが、遅ればせながら当院も今年1月から運用を開始ししました。まだ、マイナカードで受診する人は少ないものの、医療事務の負担軽減になるとスタッフは喜んでおり今後の普及に期待しています。また、本人の同意のもと、他の医療機関の処方内容や特定検診データを参照できるため、より安全で質の高い医療への貢献も期待できそうです。さらに、患者さん自身もマイナポータルから薬剤情報などを閲覧できますので、患者さん自身が自分の健康情報を管理、活用する「患者・市民参加型医療」(PHR)へ向けた進展にも期待ができます。

電子処方箋

電子処方箋は電子処方箋管理サービスを利用し、現在紙で行われている処方情報および調剤情報のやりとりをオンライン化する仕組みです。処方箋の電子化により、薬の重複や併用禁忌などが正確かつ迅速にチェックできるようになりますので、より安全で無駄のない処方が可能となります。また、救急や大規模災害、パンデミックでの活用も期待されています。シンポジウムでは日本海総合病院の島貫院長から電子処方箋のモデル事業についての報告がありました。毎日100枚程度の電子処方箋が実際に発行されており、薬の重複、安全で無駄のない処方に有用であり、参加施設を増やすことが課題とのことでした。

 

医療情報の標準化

 コロナ禍により、日本の医療 DX の遅れが顕在化しました。また、電子カルテの普及率は大病院を主に約 50%に過ぎず、医療情報の二次利活用も進んでいるとはいえない状況にあります。その要因のひとつとして、医療情報が標準化されておらず、医療連携や研究などへの二次利用が進んでいないという現状があります。今後は、電子カルテの標準化を進めることで、役に立つ(ガイドライン検索や診断支援よる診療の質向上)、安全性の確保(薬剤併用禁忌やセキュリティー対策)、診断支援、経営支援、情報共有(多職種連携・医療機関間連携、患者との情報共有)、研究開発などへの医療情報の活用が期待されています。

 

診療報酬改定DX

 従来、診療報酬改定時のレセコンの改修作業は、期間も限られるためITベンダーにとっては大変な作業を強いられていたようです。診療報酬改定 DX では、デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、SE人材の有効活用や費用の低廉化を目指すとされています。具体的な取組には、①共通算定モジュールの導入、②診療報酬改定の円滑な施行があげられており、開発主体・体制、費用負担のあり方を含め対応方針を検討し、今年度中に結論を得るとされています。

 

全国医療情報プラットフォームと地域医療情報ネットワーク

オンライン資格確認システムで構築したネットワークを利用した全国レベルでの医療情報共有のしくみを全国医療情報プラットフォームと呼んでいます。一方で、地域にはすでにさまざまな地域医療情報ネットワークが構築されています。例えば、当地区でのNet4Uやちょうかいネットがそれに当たります。これらネットワークは地域に定着し活用されていますが、今後は全国医療情報プラットフォームとどのように棲み分けていくのか、あるいはどのように融合していくのかが議論になると思わわれます。同時に、本人・家族の意思のもとで生涯にわたって健康・医療情報を活用できる社会の実現へ向けてPHRサービスの普及も期待されています。

 

おわりに

20数年前に運用を開始したNet4Uの理念は、1生涯/1患者/1カルテでした。すなわち患者さんの生涯の健康情報は患者さんの同意の元、必要なときに、必要な人と共有できることを目指してきました。医療DXの目指す姿は、Net4Uが目指した理念と合致するものです。今後の普及は、日々現場で医療を実践している我々医療者のDXに対する意識の向上こそが鍵になるのではと考えています。


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