鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

ケアマネジャー・歯科医師との交流会

2018-10-29 09:41:31 | 日記
ほたる主催による、ケアマネジャーと歯科医師との交流会に、オブザーバーとして参加してきた。
口腔管理の重要性については論を待たないが、まだまだ、歯科医、歯科衛生士が在宅医療の分野で十分に活動している状況にはないように感じた。在宅の現場にいるケアマネジャーと歯科医師このような顔の見える交流の場は意義があると感じたが、継続することが重要である。


ケアマネジャー・歯科医師との交流会
日時:平成30年10月29日 19:00~20:30
会場:ニコフル3F

1、開会

2、挨拶
  7年目、
  参加者最初は30名、今回は70名を超える

3、研修会

  「居宅サービス・介護サービスについて」
   鶴岡市長寿介護課 主査 五十嵐美恵子
   
    介護保険の制度、サービス、施設などについての説明
 
  講演「自立支援型地域ケア会議における歯科衛生士の助言に関して」
    食べることは命を支える大切なこと
    石黒歯科矯正歯科医院 歯科衛生士 菅原

    地域ケア会議に歯科衛生士として参加
    オーラルフレイルへの対応が身体のフレイルの対応へ繋がる
    歯科医師、歯科衛生士の役割が重要
    口腔機能評価が診療報酬で評価
    基本チェックリストにおける口腔機能 13-15
    13、噛めない原因
     歯が20本残っていれば、食事を美味しく食べられる
     歯の数が減ると美味しくなくなる 、認知症、転倒、介護のリスクが上がる
    14、むせの原因 
     嚥下障害には麻痺も含め嚥下機能検査が必要な場合がある
    15、口の渇きの原因
      薬の副作用、糖尿病、膠原病・・
      刺激で唾液がでるようになる可能性がある 
      口腔内チェック:食べかす、薬、痰 などの残存
    歯周病
     血が混じっていることが2週間続けば、歯科受診を勧める
     口腔内細菌は、さまざまな疾病(肺炎、心筋梗塞、糖尿病・・・)の原因となる。
    入れ歯はいつも清潔に
    死因 第3位 は 肺炎 
     肺炎の医療費120万

    課題 
     歯科医師の意見書がない
     歯科からの情報発信がない
     当事者の本当の困りごとが歯科に届いていない

   GW
    自分で歯ブラシを使う習慣を継続することが重要
    歯科医院に行きたがらない利用者への対応
    糖尿病の専門医が、歯科医院受診を勧めてくれることがある
    ケアマネの口腔チェックが十分ではない
    かかりつけ歯科医をもつことが重要
    家族の意識が低い
    往診できない状況
    介護認定における、歯科医の意見書が必要ではないか


   講評~おわりのあいさつ
    講義でもあったように、口腔管理は高齢者のQOLにとって極めて重要
    身体的フレイルの前に口腔フレイルがある
    要するに、食べられなくなると人は衰える
    一方で、歯科~歯科衛生士が、口腔管理に十分に関わっていないという現状がある
    歯科につなぐシステムの構築が重要
    
    ほたるが事務局となり、食べるを支援し隊を結成した。
    チームは、歯科、歯科衛生士、病院NST、管理栄養士、OT(言語聴覚士)、薬剤師、訪問リハなど多職種で構成され、
    困難事例への訪問を通して、食を支援する活動を始めた。今後の展開に期待したい。

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大腿骨近位部骨折受傷前病態を考慮した退院時アウトカム設定

2018-10-15 09:57:20 | 日記
クリニカルパスパス学会で以下を報告してきました。




山形県鶴岡地区では、2006年より運用している電子化された大腿骨近位部骨折地域連携パスを運用している。
登録は、全例を原則として、蓄積されたデータを分析することで当地区の実態を本学会などで報告してきた。
2008年から2018年現在までの登録数は2419、年平均219例
観察項目数は478.

 一方で、病態による退院時アウトカムは設定されておらず、また、全例登録が原則な故、他地区では除外されることが多い認知症患者もパスの対象となっており、認知症を加味したアウトカム設定が課題となっている。

 認知症がリハビリテーション効果に与える影響に関しては、獲得歩行能力が優位に低下するという報告(文献1)がある一方で、90%の症例で受傷前の能力を再獲得することができたとの報告(文献2)があるなど、意見が分かれている。


そこで、前回のクリニカルパス学会では、BI(Berthel Index)と認知症自立度とで5分類(下表)し、それぞれの群のBIの推移を分析することで、

認知症は、運動自立群(B群)ではBIの回復に影響を与えていると考えられたが、受傷前に運動機能に何らかの問題がある患者群(C・E群)では、認知症の有無はBI回復にそれ程の影響を与えてはいなかった。

寝たきり~準寝たきり群(D・E群)では認知症があっても、BIを損失せずむしろ獲得して退院していた。

という知見を得た。


今回は、よりシンプルで実用的なマトリックス分類を試み、当初からの目的であった退院時アウトカムを設定を試みた。



縦軸にBIとして、BIの区切りを90以上、40以下、その中間に分類。
認知症の程度は、Ⅱa以下、Ⅱb以上を区切りとし、マトリックス分類した。
それぞれの群の状態は、下の表に示す。


各群のおもな観察項目の平均値、やパーセンテージをまとめた表である。
年齢、在院日数、女性の%などには著変がない。
看護必要度Bは、AからFの順に高い傾向にあるが、B群は例外である。
受傷前、後の自宅%は、A群が高いが、他群では大きな変化はない。
受傷前・後の施設%は、AからFの順に高くなる傾向にはある。


各群のBI、受傷前、受傷2週後、4週後、退院時の推移である。



ACD群の回復には、大きな差はなく、
特徴は、B群の2週後の低下が大きく、回復も悪いことと
E、F群では、受傷前よりむしろBIが改善している例が多いことにある。


BI取得(ADLの改善)における認知症の影響のまとめである。
概ね運動機能が自立している群では、Ⅱb以上の認知症の併存は、ADL改善に大きな負の影響を与えていた。
ある程度の運動障害がある群では、Ⅱb以上の認知症の併存は、ある程度の負の影響を与えていたが、自立群ほどではなかった。
準寝たきり~寝たきり群では、認知症の有無に関わらず、ADLが改善する例が多かった。


さて、今回の研究の目的であるアウトカムの設定であるが、
各群の受傷前と退院時BIの差(損失BI)の平均+標準偏差を超えるポイントをアウトカムとして設定した。

バリアンス分析は、バリアンス入力画面で、損失BIを含め自動で入力できるようにシステムを改良し、
来年1月から運用開始予定である。



受傷前BIと認知症自立度により6群にマトリックス分類し、受傷前BIと退院時BIの差異を比較検討した。

認知症自立度Ⅱb以上の認知症の合併は、とくに運動自立群(B群)において、BIの回復に大きく影響を与えていた。

過去のデータを分析し、損失BIの平均値+標準偏差を超えるポイントで各群の退院時アウトカムを設定した。

退院時アウトカムを設定したことで認知症を加味した退院時BIを予測でき、バリアンス発生事例を検討することで、より効果的なリハビリテーションに寄与できる可能性がある。






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第19回 日本クリニカルパス学会

2018-10-13 17:03:39 | 日記


10月12、13日に函館で開催された第19回日本クリニカルパス学会で、鶴岡から過去最高の13題を報告してきました。



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ほたる多職種研修会

2018-10-02 09:53:20 | 日記
ほたるが主催している、おもに介護職向けの研修会の本年度1回目を開催しました。
今回は、荘内病院の皮膚・排泄ケア認円看護師の梅本さんをお呼びして、排泄に関わる皮膚トラブルとケアと題して講演を頂きました。
認定看護師ならではの基本から応用までの実践的な講義内容で、大変勉強になりました。、


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ほたる 多職種研修会 平成30年度第1回
スローガン 実践に役立つ研修会

日時:平成30年9月26日:18:30~20:00
場所:鶴岡市先端研究所産業支援センター レクチャーホール

演題:排泄に関わる皮膚トラブルとケア
   ~科学で考えるスキンケア~

講師:荘内病院医療完全管理室 
   皮膚・排泄ケア認定看護師
   梅本 貴子

出席、97名
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(以下講義メモ)

認定看護師 山形県172名 (全国:19835名)

WOC (Wound Ostomey Continence)

W
 創傷全般を扱う
 庄内足とキズを考える会


 ストーマ造設患者のケア
 オストメイトと家族の会(2回/年)


 排泄ケア全般
 庄内排泄ケア連携会、


がん患者のWOCケア

1、皮膚の解剖と生理

  体内環境を守るインターフェース
  皮膚の生理機能
  ドライスキン、 栄養も影響する
  浸軟、皮膚バリア機能の低下
   オムツ内の環境
   排泄部の付着防止 オイル、被膜剤の塗布、おむつを重ねない
   IAD 失禁関連皮膚障害 (おむつ皮膚炎)
     尿や便への暴露に起因する皮膚障害

2、スキンテア(皮膚裂傷 Skin Tear)の原因・対応・予防

  リスク因子は、分かっていない
  フィルム剤は基本的には使わない
  75歳以上、1.5%
  STAR分類システム
   カテゴリー分類
   皮弁の戻し方: 乾燥した場合、生食で10-20分 
   創傷被覆材が原則
   予防ケア1:ぶつけない、引っ張らない、
   予防ケア2:皮膚の洗滌、保湿剤の塗布が予防に有効
   予防ケア3:患者・家族への啓もう、

3、スキンケアの実際
   予防的
    洗浄剤、界面活性剤
    ポイント、泡立てて洗う、
    泡立て不要の洗浄剤もある
    入浴後、水分を十分にふきとったあとに保湿剤
    皮溝に沿って、
    保護剤:保護オイル

4、粘着テープ
   貼り方:
   関節部、
   剥がし方、皮膚と平行に伸ばしながら

5、排泄ケア

   排泄ケア、最大の介護負担
   臭いものには蓋をしろ
   排泄は、ダークな部分
   検討する場がない
   タブー

   排泄ケア改革プロジェクト
    排尿自立指導料の新設
    排尿ケアチームの立ち上げ
     排尿自立を目指す取り組み
    介護保険:排せつ支援加算:100単位/月

   病院と地域の連携が必要
   地域CST会活動
    個別性のある排泄ケアの継続

   ちょっと頑張ってもまわりは分かってくれない
   一生懸命頑張るとまわりは分かってくれる
   突き抜けるとまわりが頑張ってくれる


質疑

  入浴時に垢が異常に多い人がいる
  保湿剤は夏でも塗布して方が良い、

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山形県医師会小児在宅ケア検討委員会

2018-10-02 09:25:03 | 日記
表記会議が、10月2日、山形県医師会館で開催された。

委員は山形大学医学部、県内7病院、村山保健所、県小児医会、県医師会在宅医療推進委員など約30名。

各委員の自己紹介の後、山形大学医学部の三井教授から「山形県における小児在宅医療の現状と課題」という基調講演があり、その後県内各地域の現状や課題の報告があった。その後、委員間での意見交換があり、まずは現状把握のためのアンケート調査を行うことが決まった。

山形新聞

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医療的ケア児の全県支援に道 県医師会、検討委設立へ
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たんの吸引や胃ろうで栄養を取るなど日常的に医療的なケアを要する子ども(医療的ケア児)とその家族に適切な支援を行うため、県医師会(中目千之(なかのめちゆき)会長)は来月、山形大医学部や県などと連携し、小児在宅ケアの診療の充実や担い手確保などを進める検討委員会を設立することが26日、分かった。県によると、医療的ケア児について関係者による連携体制の構築は県内で初めてとなる。

 県が今年3月に市町村に聞き取りした結果、医療的ケア児約120人を確認した。厚生労働省によると、2016年度で全国に約1万8千人がいるという。医療的ケア児は福祉的サービスや訪問看護の利用者だけでなく、これらのサービスを受けていない児童もおり、市町村は人数や実態の把握が難しい現状が指摘されている。

 検討委は県医師会が中心となり、県や新生児集中治療室(NICU)を備えた病院、県小児科医会のほか、高齢者を対象に往診している県医師会在宅医療推進委員のメンバーも含めて約30人で構成する。初会合を10月2日に開き、年に数回開く方針。

 具体的な協議内容は▽小児在宅ケアの担い手となる医師などの確保と各地域の現状把握▽内科医に対する小児医療への研修の充実▽小児科主治医が同行して在宅診療研修を行うシステムの構築▽サービスの利用状況などを把握するアンケートの実施―などを想定している。医療的ケア児を持つ親の講話なども考えており、対象者が望む適切な支援策を検討していく。

 厚労省障害福祉課は「医療など一つの分野で課題を解決するのは難しい。福祉や母子保健、保育、教育など各分野の関係者が連携することが望ましい」と強調し、連携体制の重要性を指摘している。

 中目会長は「一部の医師と献身的な親の努力で支えられているのが現状。全県的な取り組みにする第一歩にしたい」とし、「すべての医療関係者に現状を理解してもらい、行政を含め社会的な支援システムの整備を急ぎたい」と話す。

 一方、県は本年度、実態把握を進めるために総合支庁単位で幅広い関係者が協議できる場を設けながら、市町村にも設置を働き掛ける考えを示している。



医療的ケアを必要とする子どもの在宅療法支援体制の整備へ向けて



以下会議メモ
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山形県医師会小児全宅ケア検討委員会

日時 平成30年10月2日 17:00~
会場 山形県医師会会館2F会議室

○会長挨拶
 障害を抱えた子供が増加 医療的ケア児という
 現状と課題
 大きな取り組みの一部である
 オール山形で

○出席者紹介
 国立病院機構米沢病院
 荘内病院
 山形済生病院
 市立病院済生館
 
○委員長、副委員長推薦

 委員長:中井理事
 副院長:前田委員

○報告 

1、山形県における小児在宅医療の現状と課題

  新生児死亡率の減少
  重い障害を残る患者が増えている (年間10名)
   脳性麻痺、てんかん、神経・筋変性疾患、ミトコンドリア病、染色体異常など
  在宅で医療ケアが必要なこども(医療的ケア児)の増加
  10年で約2倍に増加、在宅人口呼吸療法が必要な小児は10倍に増加
  県内の重症児
   入所:280名
   在宅:120名

  小児の地域包括ケアモデル
  40歳以上なら介護保険をつかえるが、小児では使えない
  子どもの支援は複雑・未整理

 2、山形県内の各地域における施設並びに医療的ケア児の現状

   山形大学の事業 平成26-30年度
   重症児インテンシブコース
   参加者:訪問看護師:43、病院看護師:33、医師:13.理学療法士:12 ・・ 
   講義
    TV会議
    e-learning
   医療的ケア・BLS実習
   講演会

   県立医療療育センター
    長期入所:35名 うち 超重症児:16名
    重度化、モニター管理が多い
    生活支援(通学、授業)も並行して行っている
    養育困難(病気、家庭の事情)
    外来:さまざまなタイプ、胃瘻、・・・
    行く先(保育園、小学校・・)が限られる、 家人(母親)の負担が大きい、就労できない
    福祉サービスなどの情報不足
    相談支援体制も少ない
    レスパイト先の確保が困難
    地域の資源不足と偏在(庄内、最上にはない)
    医療者間の情報共有が不十分、
    在宅支援コーディネーター不足、

   県立中央病院
    20年前に比し、訪問看護STが増えた
    規管カニューレ、抜けた場合、学校での再挿入は禁止されている →結局、学校へ行けない
     緊急の場合、誰がやってもよいことになっている    
    
   レスパイト入院を受け入れている、山形病院、米沢病院、
    

   荘内病院(レスパイトは月1回程度)、  
     15歳以上の障害児を入院させられない(病床基準の関係で)
     訪問看護活用されていない
   
○協議
 1、小児在宅ケアの担い手の確保と各地域での現状の把握:
   合同会社ヴォーチェ     
   ・通所介護事業所
   ・児童発達支援事業所
   ・放課後等デイサービス事業所

    小さいうちは、外来でも、大きくなると訪問看護にニーズがあがる
    訪問診療への需要は、今後増えていくだろう

    内科医の在宅診療+定期的な通院を期待する
    患児の親が、在宅医療のイメージが欠けている

    病院医師と在宅医との関係づくりは、早期から

 2、小児在宅ケアにおける連携体制の構築
   
   現状把握のためのアンケート調査、
   
   IT、オンライン診療の活用 (母親が若いので)
   病院・訪問看護との連携、Net4Uを利用して密な連携が可能
   患児をみるより、親のサポートが重要
   内科にとって、テクニカルには難しくない
   
 3、具体的な実施に向けての課題 

   内科医への小児医療への研修体制
   
   県健康福祉部障害福祉課との連携
    全数把握は重要
     災害時(停電時)の対応、 神経難病は県が対応している

 4、本委員会の今後の進め方

   行政と歩調を合わせて 群市地区医師会と市町村との連携
   
 5、山形県全体における活動:

    小児在宅ケア、医療的ケア児に関する既存の団体の確認と活動内容の把握
    家族の支援体制、進んでいない

 6、その他

   小児科の在宅医療は進んでいるのか
    
    

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