鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

鶴岡市医療と介護の連携研修会

2018-11-29 10:16:32 | 日記



新たな10年のスタートとなる、21回目の鶴岡市医療と介護の連携研修会が行われました。
ファシリテータとして、新たに東北公益文化大学の鎌田剛氏を迎え、次の10年への新たなステージを目指す“鶴岡連携”の節目となる研修会でした。

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医療と介護の連携研修会
平成28年11月27日 18:45~
生命先端研レクチャーホール
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あいさつ(鶴岡市)
 11年目、21回目となる
 地域包括ケアシステムの要となる研修会
 地域包括支援センター11か所に専門3職種を配置
 さらに、地域コーディネーターも配置した
 鶴岡の医療介護連携における6つの課題を抽出した
 後藤先生の10年間の功績に感謝しつつ、鎌田先生を新たに講師に迎えた
 入退院ルールを検討中
 

 医療・介護における連携課題の整理
  鶴岡市居宅介護支援事業所部会 部会長 浜岡 めぐみ 氏

  鶴岡の医療介護連携における6つの課題について報告

  課題1、病院と地域との連携
    
  課題2、医師との連携
   
  課題3、独居、家族との連携

  課題4、薬の課題
   
  課題5、通院等など移送支援

  課題6、情報共有

グループワーク
 次の10年への当事者意識を高める!

 多職種連携最前線!!その2
  ~この先10年、すべきことは何か?~

 講師・ファシリテーター 
  東北公益文科大学 準教授 鎌田 剛 氏



6つの課題毎に5-6人でのGW
 お互いの距離感が近いことが大事

グループからの発表

課題1:病院と地域との連携
 入退院ルール
 退院時期
 退院前カンファレンス
 ケアマネ、看護師との情報格差(質も含めて)、

課題2:医師との連携
 在宅主治医2名+看護師3名の小グループ
 病院医師が主治医の場合、相談、連絡が難しい、在宅にも来てくれない
 解決策:ちょうかいネットの利用した訪問看護師から病院主治医への連絡、相談(荘内病院)
     在宅主治医へ紹介して欲しい(ケアマネが進言?)
     病院との話し合いの場が必要

課題3:独居・家族との連携(家族支援を含め)
 キーパーソン不在のときの対応
 意思表示カードの作成はどうか
 介護保険証にはさむ
 どうやって普及させるか?
  
課題4:くすりの課題
 薬剤師の活用
 在宅訪問服薬指導のPR
 荘内病院:節薬シートをつくって取り組んでいる
 自己管理ができない人にはとくに有用
 在宅専門(しのだ訪問薬局)を開業
 かかりつけ薬局は、まだまだというのが現状、
  
課題5:移送支援
 各種組織の送迎サービスの調査
 施設の空き時間を送迎サービスを利用
 ストレッチャーの保有台数の把握
 運転手の確保も必要
 経済的メリットが課題
 法的にクリアできていないところが多い
 異業種連携で解決できるのではないか

課題6:情報共有
 必要なときに、必要な情報を
 ツールの活用
 必要な情報は何か
 Net4Uでの情報を継続することが重要
 かかりつけ医への普及へ向けて
  期待を伝える
  有用性を伝える
  仕事のプロセスに組み込む
  業務の流れに埋め込む
  脳卒中パスの活用

ミニレクチャー 鎌田氏

 つるおかの連携の強み
 次の10年に向けて、研究者の立場から
 
 鶴岡の優れているところは、二項対立を超え、調和がとれていること

   医師会 ⇔ 多機関・多職種
   ICT ⇔ face to face
   医療 ⇔ 介護
   国家プロジェクト ⇔ 草の根の活動

 鶴岡の次の10年は、共進化の時代?

   共進化(co-evolution)
他の種と共に形態や生態を変える自然界の機序
    多職種が共に仕事の内容や進め方を変えより今日的なあり方へ適応

 「連携」はイノベーション(技術革新)

   革新的なモノ・ツールとして、
    Net4U、
    連携パス、
    電子カルテ

   革新的な行動として、
    医師が他職種に助言を求める 
    他職種が医師に提案する
    ライバル病院が協力する

   革新的なアイディアとして、
    連携パス
    地域完結型
    連携
    食形態パンフ

  
   現在意識の高い人(イノベーター、アーリーアダプター)は10%程度、
   当たり前にするにはこの%を上げていく必要がある、
   
   メリットを具体的にみせる
    顔のみえる関係だけでは広がらない
    具体的なメリット(課題をこんな方法で解決できる)を言葉で伝える必要がある

   結局は、わたしの当事者意識(どうありたいか、どうなりたいか、どうしたいか)が重要!

   


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三条市医師会学術講演会

2018-11-24 10:23:27 | 日記


三条市医師会から、鶴岡の在宅医療への取り組みを参考にしたいとの要請を受け、先日講演してきた。
三条市の人口は10万程度であるが、診療所、医師の数が鶴岡の2/3程度と少なく、在宅医療へ取り組む余裕がないという課題があるとのことであった。鶴岡のとくにほたるの活動が多少なりとも参考になればと思う。


三条市医師会学術講演会
脳卒中・在宅医療を考える
~寝たきりにならない為に~

日時:2018年11月22日 19:00~20:45
会場:越前屋ホテル

講演1

 「脳卒中抑制と高血圧治療」
  演者:堀内 陽介 (三之町病院 内科部長)

講演2
 「多職種連携を基盤とした在宅医療への取り組み
  ~鶴岡地区医師会地域医療連携室「ほたる」の活動」

  演者:三原一郎(鶴岡地区医師会理事、三原皮膚科院長)

以下、講演のイントロ部分から

三条市と鶴岡市の介護、医療必要度の将来予測比較


介護では、ともに、2030年まで需要は増加するとみられているが、三条市の方が需要度は高い
医療需要では、鶴岡はすでに縮小傾向に入っており、2040年度には現状の20%減
三条市は、2025年度までは現状維持だが、その後縮小に転じる。


診療所の数であるが、対人口10万当たり、鶴岡の67に対し、三条市は53
内科、外科、小児科が鶴岡の2/3程度。マイナーの診療科は、鶴岡よりやや多い。
病院は、鶴岡の5に対し、三条市は7
歯科、薬局は、鶴岡より多い


在宅療養支援診療所は、鶴岡の40%以下、


病床数は、鶴岡の944に、対して1415と、圧倒的に多いが、
一方で、医師の数は、全国平均より低い鶴岡より更に少ない。


介護系の資源に関しては、三条市の施設数は少ないが、入所定員数は、鶴岡市を上回る。
一方、介護職員は、鶴岡の90に対し、三条市は64と、7割程度。

三条市まとめ
診療所の数が少ない分、病院(病床数)が多い。
一方で、全体の医師数は不足しており、とくに病院医師は相当に疲弊しているのではと想像される。


鶴岡の診療所の数は、全国平均、
訪問診療・往診をしている医療機関は60%であるが、内科系に限れば80%程度は在宅医療に取り組んでいる。
在宅専門の診療所はない。


山形県の在宅医療実態調査。
内科系診療所の70%は、在宅医療に取り組んでいる。さらなる普及の対策として、今後取り組みたいと考えている数%の医療機関への参入を促す取り組みと共に、現在、在宅医療に取り組んでいる医療機関が、より負担なく、多くの在宅医療を行える環境づくりが重要と考える。そのために必要なのは、訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、歯科などとの多職種協働のしくみづくりであり、ITの活用も考慮すべきである。とくに、訪問看護師は在宅医療の要であり、在宅医療を実施件数を増やすためには不可欠な職種である。また、人材不足や運営面での困難さも課題となっていることから、訪問看護ビジネスに参入できるインセンティブや、病院看護師が訪問看護へ無理なく移行できる制度的な配慮も必要と考える。一方で、在宅医療に特化した診療所を増やすことも、現実的な対策かも知れない。


20年以上にわたる歴史がある。
スタートは、健康管理センターの設立であり、地域の医療は、医師会が守るという先達の理念があった。
1997年、医療情報元年、まだインターネットが普及していない時代にイントラネットの構築し、これがNet4U開発のきっかけとなった。
Net4Uの成功で、全国から注目され、OPTIM受託に至る。
一方、急性期病院の危機感から始まった大腿骨地域連携パスの電子化し運用となるが、医師会の経済的サポートなくては実現しなかった。
OPTIMから続く事業として在宅医療連携拠点事業を受託、現在の地域医療連携室「ほたる」の活動につながる。

ほたるは、「つなぐ」をキーワードに職種間の話し合い~学びの場を数多く実施、今年は、ほたるを食べるを支援し隊という在宅での食を支援するチームを結成、活動を開始した。また、病院の連携室の事務職であった瀬尾氏がコワーキングスペースみどり町文庫を設立。医療・介護の連携だけではなく、異業種連携を含む社会連携へも積極的に取り組み成果をあげている。


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国立函館病院で講演

2018-11-08 16:21:40 | 日記
11月7日、間部先生の呼んで頂き、国立函館病院のパス研修会(?)で、夫婦共々講演してきた。

妻は、パスの基本的な話、私からは「ITが支える鶴岡の多職種連携」と題し、20年に及ぶITを核とした鶴岡の医療連携の話をしてきた。

講演後は、座長を務めてくれた岡田先生に、美味しい海鮮料理のお店に連れて行って頂き、絶品の毛ガニ料理などを頂いた!





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Dr.John Ym Kooを交えて考える乾癬治療

2018-11-02 16:31:48 | 日記
乾癬治療を考える会にシンポジストとして参加してきた。



上の表は、当院で過去1年間に経験した乾癬患者を重症度で分類し、内服治療、外用療法、通院回数をみたものである。治療を継続するためには少なくとも3か月に1回程度の通院は必要であるが、軽症例ではなんと78%の患者が4回以下の受診であった。また重症例においても、4回以下しか受診しない患者が40%を占めた。また、全体として、1回しか受診しない患者が25%に及んだ。乾癬患者が治療の効果に対し、十分満足していない表れと思われる。初診時における、十分な説明の必要性を感じた。


日時:11月2日 19:00~
場所:山形国際ホテル「平成の間」

外用療法の成功の3つの鍵
米国におけるカルシポトリオール/ベタメタゾンジプロピオン配合剤の使い方

面積1%以下の患者が圧倒的に多い

外用療法:3つの成功の鍵
 有効性 速く良く効く
 安全性 危ない薬と思われない
 アドヒアランス 1日1回

ドボベット
 安定pH域の異なる2つの薬効成分の配合を実現した
 効果は高い
 1年以上の長期投与でも効果が落ちない
 副作用:灼熱間、紅斑、痒みなどの副作用はドボネックスより少ない、副腎抑制はない
 ステロイドの外用の副作用はstrongestでのみ生じたとうデータがある

 患者にとって、治療に時間がかかるのが問題 1日1回はメリット
 症状が良くなっても悪化しても1剤で症状コントロールできる、多くの薬は、アドヒアランスの低下
 ストロンゲストのステロイドを長期使ってはいけない
 ストロンゲストは良く効くので、患者が変えようとしない
 sequential therapy
  ステップ1 導入期 毎日塗布
   早く治す
   皮疹状態、肥厚、鱗屑、紅斑
   落屑、角化、肥厚がなくなるまで 
  ステップ2 移行期 2日に1回塗布
   肥厚なし
   紅斑あり 
  ステップ3 維持期 週末のみ
   週末 のみ塗布
   完全に紅斑が消えたら、2-3週間続け、そのあと徐々に休薬にもっていきましょう

  ドボベットゲルは、医療用医薬品で唯一の油性ゲル剤
   効果の発現は早い
   体に使っても効果はそれ程変わらない
   アルコールや水を含まず刺激感がない
   頭部の乾癬に症状を引き起こす2つの理由:炎症と乾燥 両方に効くのがドボベットゲル
   油性ゲルが乾癬の乾いた皮膚に良いことを伝える
   そして、塗り方を教える (振って、取り出し、頭皮や体に塗布する)
   指に出して、左手で髪を分けて、右示指で塗布する
   使いこなし難しいので、褒めることも大事
   sequential therapyは必要ない
   頭皮の皮膚は委縮しないので継続しても安全

オテズラ(アプレ身ラスト)
 減量しても維持できる
シクロスポリン


discussion
1、頭部の治療
  現在は、ステロイド、ViDを外用している施設が多いが、今後は、頭部、体、共に、配合剤を使いたいと思っている。

 2、体の治療
  多くの施設でドボベットが使われている
  症状が軽快した場合の対応は、さまざま
  塗り方を丁寧に説明することが大事。
 
 3、全身療法
  オテズラ錠で良好な効果
  PASIクリアを目指したい人
  関節症性乾癬はバイオの適応
  重症難治例
   

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