鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

山形県医師会ITフェア

2016-05-23 12:04:56 | 日記


山形県医師会主催による、山形県全体の医療IT化普及のための研究会という位置づけの会です。

この会は、10数年前、私が県医師会の理事の頃から始まったと記憶していますが、当時は、日本医師会のレセプトソフトORCAの普及を目指した活動を主に行っていました。その後は、病院の電子カルテ導入時期であったこともあり、病院間での電子カルテに関する情報共有がおもなテーマだったと思います。

病院の電子カルテ導入が一段落したあとは、各地域のネットワーク化が山形県主導で進みましたので、地域医療情報ネットワークが主なテーマとなり、今日に至っています。山形県の医療情報化の足跡を辿るという意味でも、歴史のある会なのです。

さて、今回は特別講演として、医療とマイナンバー制度をテーマに、この分野の第一人者である山本先生をお呼びして、講演を拝聴しました。医療にマイナンバーを使うのは、まだ、時期尚早であり、当面は、医療独自の番号(医療ID)が必要という、山本先生の主張です。

その後、各地域のネットワークの進捗状況の報告がありました。
Net4Uに関しては、今回は、過去3年間の、各職種毎のNet4Uアクセス状況を分析し、報告してきました。
この件に、関しては、別に報告したいと思います。



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山形県医師会ITフェア
日時:平成28年5月21日 14:00~16:45
会場:山形国際ホテル
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1、開会

2、挨拶

3、特別講演
 「医療における番号制度」
   一般社団法人 医療情報システム開発センター理事長
   自治医大客員教授
   山本 隆一 先生

持続可能な医療提供のために
税と社会保障の一体改革
医療ID,なぜ、マイナンバーでいけないのか
マイナンバー
 原則、行政手続き以外に使えない
 年金、労働、福祉医療、税(現在、主に使われている)  
 国民ID:海外では普及している、遅れた日本
 複雑なシステム
マイナンバー制度の4つの要素
 個人番号(マイナンバー)12桁
 個人番号カード
 情報提供ネットワーク
 マイナポータル

マイナンバーとは
 12桁
 給与、謝金、配当などを支払う側は個人番号を収集記録し、源泉徴収税の支払に添付する

個人番号カードとは
 住基カードの後継
 本人確認の証明書を格納
 写真付きの官製身分証明書
 裏面に個人番号を記載
 当面無料
 配布:現在、900万枚

情報提供ネットワーク
 日本には、多くの番号制度がある

マイナポータル
 共通認証基盤の入り口
  例:電子お薬手帳、

医療介護情報への展開
 医療等IDの検討体制
 保険証の代わりに使う →3師会反対

医療IDのユースケース
 NDB,がん登録、特定健診などのDBを必要に応じて、セキュリティーを確保した上でつなげる。
 保険証の即時資格確認
 地域医療連携を超えた情報の共有

4、各ネットワークの事例発表

1)各ネットワークの状況について
 山形県医師会情報広報委員会医院 山田 昌弘
 
ちょうかいネット、Net4U、OKI-net、もがみネット、べにばなネットの運用状況のアンケート調査報告
ID-Link導入費用:初期費用:2000万、維持費:100万、更新:500万/5年
 ネットワークを超えた連携は、病病連携に限られる
 課題:緊急時対応、セキュリティー

2)OKI-netの現況について
 高橋胃腸科外科医院院長 高橋秀昭
 
 長井、南陽、置賜で、協議会を設立
 在宅医療における多職種連携は今後の課題
 WEB会議システムを導入中 退院前カンファレンスでの利用を期待
 
3)電気・水・ちょうかいネット
  さとう内科クリニック院長 佐藤 顕
 
  ちょうかいネットは、生活インフラのひとつである
  健診データも、今後閲覧可能となる予定
  医師の所見を公開することこそが有用
  ・医師の記録より、看護記録が有用ではないか
  ・医師の所見の開示に関しては、記録の質の担保が必要(読むに堪えない記録もある)
  ・ちょうかいネットは、医療・介護連携には向かない
  
4)在宅医療・介護連携におけるNet4U活用の現状
  三原皮膚科院長 三原一郎
  
  2013-15年間の各職種毎のNet4U利用状況について報告
  課題は、医師の参加、利用が減少していること!
  ・既読機能が医師へのプレッシャーになっていないか?
  ・医療情報ネットワークを普及させるのに国の政策誘導が必要と感じるか?
  ・強制力は必要だが、参加することの楽しさ、喜びも知って欲しいし、その努力は必要
  

5)病診連携とべにばなネット
  山形市立済生館呼吸器内科長 岩渕 勝好

  病院電カルを診療所へ開示する利点
   受診を勧めたが受診しただろうか
   検査結果を患者が戻る前に知りたい
   入院した後の経過を知りたい
   救急受診し入院となった場合の状況を知りたい
  すでにある済生館病院と地域診療所とのネットワークとべにばなネットとの競合をどうするのか?
  少なくともコストの負担は増える

6)もがみネットの現状について
  県立新庄病院副院長 板垣 孝知

  平成25年1月から新庄病院でも電カルが稼働開始した
  閲覧施設は拡大している

7)山形大学における医療情報ネットワークの取り組み
  山形大学大学院医学系研究科
  生命環境医科学専攻医療政策学講座教授 村上 正泰

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