空気が抜けるような辞め方だった。赤城農水大臣が今日の午前中に官邸に呼び出され、事実上更迭されたのだ。昼前にニュースで知って、あいかわらずの「美しい国づくり内閣」のドタバタぶりを見た思いだった。当初は、赤城大臣が辞表を提出したとの報道だったが、それは形の上のことで、実質的には「辞表」を取られたということだったようだ。読売新聞によると、
安倍首相は1日午前、赤城徳彦農相(48)(衆院茨城1区)を首相官邸に呼び、赤城氏の政治団体の不適切な会計処理の問題などを理由に、辞任するよう求めた。
赤城氏も、こうした問題が参院選での与党惨敗を招いたとして要請を受け入れ、辞表を提出した。昨年9月の安倍政権発足後、閣僚が代わるのはこれで4人目となった。後任は当面置かず、若林環境相が兼務する。(『読売新聞』)
とある。安倍総理は、「あなたはまだ若いんだから、事務所を立て直し、一から出直してほしい」と辞任を求めたという。森元総理が言うのならわかるが、そう年齢差のない安倍総理こそ「一から出直してこい」と言われて当然ではないか。どうも、「私の内閣」「私の内閣」と言うのを聞いて、ひっかかるものがある。この国の政府は俺ん家のものであって、他人には口出しさせないぞという「私物感覚」が漂うのだ。参議院選挙に大敗しようとも「私にはまだやりたいことがある」と言い続ける感覚も、自分を支持してくれる民意は大歓迎だが、立ち向かってくる世論は撥ねつけるというワガママぶりを示している。
しかし、赤城大臣が就任したのは6月1日で、たった2カ月在任したにすぎない。彼は自民党の世襲議員として「特異」な存在ではない。事務所費がいい加減な大臣は、他にもいる。ただ、小泉改革で「自民党をぶっ壊す」という芝居にだまされた人たちは、赤城御殿の浮世離れした姿を見て、親も含めた関係者の証言の豹変や、何ひとつ説明をしない「バンソウコ大臣」に愛想を尽かしたのだと思う。「自民党はちっとも変わっていないじゃないか」と。「改革特権層」を少数つくりだして、庶民には「忍耐と貧困」を強いる政治の迷走に、ほどほど嫌気がさしたのだと思う。その大きな渦巻きの象徴的な人物として、何の説明もせずにフラフラしている赤城大臣に苛立ちが爆発したのだと思う。
安倍総理は「続投」を宣言し、「内閣改造で人心一新」だと言っているが、次の焦点は安倍総理の進退に移ることは間違いない。参議院選挙は総選挙と違い、政権選択ではないから辞める必要などない……という理屈を並べて、居直り続けていれば、官邸には「求心力」がなくなり、下手をすると組閣で新閣僚に指名しても「辞退させていただきます」という体たらくになる可能性もある。また、身体検査(汚職や不正、政治資金の届出の不備)などがないことを厳格にやろうとすると、誰も合格者がいなくなってしまうおそれもある。
来週から始まる国会で、逆転参議院での「国政調査権」を駆使して「年金」「原発」と封印されてきた扉をいくつか開くように野党間で共同作業をしていきたい。ただし、民主党が急膨張した選挙結果だからうまくいくとは限らない。ポイントは、参議院で民主党は比較第一党だけれど、単独過半数を制してはいないという点だ。私たちも含めた少数政党・野党系無所属議員の協力がなければ、「数の力」は発揮できないのだ。赤城大臣更迭、07年「夏の乱」の序曲のような気がする。

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