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大型連休は、ついに普段出来ない資料整理や質問準備などの作業で終わりそうだ。今朝はNHK『日曜討論』に出演して教育3法をめぐる与野党討論を行った。教育再生会議の『親学提言』は、与野党ともに評判が悪かったので、明日は伊吹文部科学大臣と直接に討論してみたいと思っている。教育再生特別委員会は朝10時から開会し、11時20分頃から私の質問時間となる。8日は午前中のみで参考人質疑、9日は地方公聴会と連続した日程が続く。

連休明けの国会は、会期も残りわずかとなって与野党の駆け引きも限りなく攻防戦に近くなる。強行採決を続けている法務委員会が、さらに暴走を続けるのかにも御注目いただきたい。教育再生特別委員会も来週は「採決日程」をめぐっての綱引きが激しくなる。今日のテレビでも言ったけど「本来、教育をめぐる大きな政策転換は、与野党のいずれかを利するというものであってはならない。安倍内閣は、教育で得点したいと焦りすぎているのではないか」という一点に尽きる。

教育再生会議を本格的に問題にしなければならない。思いつきのオンパレードの『親学』や、『道徳の教科への格上げ』『大学9月入学』など総合性も脈絡もなく打ち上げ花火を連発するだけで、あたかも何かをダイナミックに変えているかのような錯誤に委員諸君は陥っているのではないか。『親学』など、おそろしく程度が低く、無軌道で、かつ復古主義色が強い議論の内容をこれ以上放置すると、日本の教育は大混乱に陥るのは目に見えている。

だいたい内閣の昨年来の姿勢は、教育をめぐる法案の国会審議中に「教育の骨格」を変えるような提言を再生会議に好き放題に言わせて、その議論の渦中にいる補佐官を国会で絶対に答弁させないという態度を取り続けている。およそ国会軽視もはなはだしいではないか。伊吹文科大臣が口ぐせのように言う「国会が国権の最高機関」というのが実質は、教育再生会議の面々がまるで国民の代表であるが如き妙な役回りをしていることが禍根を残すのは目に見えている。

この『親学』論議でうっかりしていると、調子に乗って「親学」推進国民運動などを呼びかけ、学校教育の文科省支配と同様に、家庭教育の中に入ってきて『理想の子育て推奨プログラム』などを保健所や地域の顔役が配布して、「まともな親」かどうかを5年に一度「研修」を義務づけて、修了出来ない親たちは「指導力不足・自己研鑽不足保護者」と烙印を押されて、親子分離の「合宿研修」を迫られるなど----冗談みたいな話に聞こえるかもしれないけど、国家権力・統治権力の国民支配を歓迎する一部の政治家たちは、「保坂さん、それいいアイデアだね」と真顔になりそで怖い。

個人の内面に臆面もなく国家権力が踏み込んでくる時に、「自由と民主主義」は奪われる。「親子で2時間以上テレビを見てしまった」ら「家庭教育法・親学条項違反」なのかな? なんて思う社会は、『1984年』(ジョージ・オーウェル)だぜ。家庭の教育力が落ちている。地域の子育て支援力が衰退している……だからこそ、相互扶助の子育てコミュニティが大事なのだ。上からの、行政権力からの「家庭のあり方」「毎日の過ごし方の押しつけ」は、究極は「心=個人の内面」の変更を国家権力が命令するという治安警察型密告社会を産んでしまう。

私は教育再生会議の『親学』提言の暴走を危惧している。内容の善し悪しではない。子守歌だって、母乳だって、親子の演劇鑑賞だって、それに反対しているわけではない。ただ、ブレーキが壊れていませんかと言いたい。

国家が「家庭」に、「国民の内面」に入ることは踏み越えてはならない一線である。そこを徹底して議論したい。

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