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昨日は、「未来予測」のことを書いているうちに、堤未果さんの『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』(海鳴社)の内容に行き着いてしまった。前著『グラウンド・ゼロがくれた希望』に注目して、2年前には地元事務所での講座に招いて以来の久しぶりに堤さんの仕事が気になり、12月8日のロフト・プラスワンで行った連続トークライブの打ち上げでも、アメリカの状況を話してもらった。

その場で印象に残ったのが、2002年の春にアメリカ連邦議会で成立した教育改革法=「落ちこぼれゼロ法案」(No Child Left Behind Act)は、全米の高校からドロップアウトする生徒をゼロにするという「崇高な目標」を掲げているという。以下、本の107ページから引用する。

そのためには周りの大人たちがきちんと状況を把握していなければならない。この場合の大人とは、学校側だけでなく、教育省やアメリカ政府、そしてアメリカ軍も含まれる。教育省のホームページで公開されているこの法案を読むと、びっしり書かれた条項の中に一行こう書かれている。

「すべての高校は、生徒の親から特別な申請書が提出されない限り、軍のリクルーターに生徒の個人情報を渡されなければならない。また軍の関係者にも、普通の業種のリクルーターと同じように、就職説明のために生徒と接触することを許可することを義務づけている。(107条110項)

ロッドペイジ教育省長官とラムズフェルド国防長官は、教育省から全米の学校に配られた手引き書に共同で署名し、各州の教育委員会に、すべての学校がこの法案に従うように指示を出した。

拒否した場合は、政府からの助成金が打ち切られる。裕福な私立の学校はそれでもいいが、助成金でぎりぎりの運営をしている貧しい地区の公立高校に選択の余地はない。

軍に渡される情報には、生徒の名前、住所、国籍、両親の職業、入学してからの成績、市民権の有無、そして携帯番号とかなり個人的なものまで含まれる。

(引用終わり)

そして、高校生の携帯が鳴り出す。軍のリクルーターは、親しげに語りかけてくる。軍に入れば、アメリカの市民権を獲得できる。家族ともども不法滞在で強制送還におびえる必要はなくなる。軍に入ることで、医療保険にも加入出来る。4年制大学への進学も可能だ。そして、戦地に送られる確率も低い……いいことづくめのリクルーターの誘いに多くの貧困層の高校生が同意して、契約書にサインする。そして、イラクへのと派遣されていく。大学進学も全体の35%、実際に卒業する兵士は15%にすぎないという。

医療保険に入ることの出来ない人々が4500万人いて、底知れぬ貧困から脱出をかけて「軍」への勧誘が行われる。そして、「学校」は「軍隊」に生徒=若者を売り渡すことで助成金を得る。「愛国心」を高く掲げて、「国家の支配」を学校現場で貫こうとしている日本の教育基本法や「ニート対策」の行き着く先を見るような気持ちで読んだ。

そして、イラクでは昨年1年間で1万2千人の人たちが死んでいる。先月の12月だけでも民間人死者数は過去最悪の1930人にのぼっている。そして、ブッシュ大統領は、フセイン元大統領の処刑を支持し、イラクの治安維持のために2万人の米軍増派を決めたようだ。軍のリクルーターも兵員確保に駆け回っていることだろう。
貧困が戦場への若者を連れ出す。だが、米軍の介入は、イラクの内戦をより深刻化させ、「撤退」の出口を見失うことになりかねない。

そのアメリカ社会の深部から始まった「戦争への疑問」「戦場での真実」を語り広げる活動が広がっていることを本書は伝えている。夕方、著者の堤未果さんからメールを頂いた。ここに紹介したい。

(以下著者からのメッセージです)

昨年11月、アメリカ中間選挙の直後にイラクから帰還した米兵と国際電話で話した時、彼が私に言った。「そりゃあ民主党議会になったからといってすぐにばら色になるわけじゃないことくらい俺たちだってわかってる。それでも無知なアメリカ国民の半数以上が大統領の政策にノーをつきつけ結果を出した。それがスタートさ」

中間選挙の結果についてはメディアが散々書きたてた。だがもうひとつあの選挙が私たち日本人に投げかけたもっとも大切なメッセージを、一般市民である彼の言葉は気づかせてくれる。

民主主義国家において、政府が国をおかしな方向に持って行こうとしている時私たち国民がそれを止めることのできる最も大きな武器が、『選挙』なのだということを。

彼らは海を越えて「市民」という共通項で私たちによびかけてくる。決して一票の重みをあなどってはいけないと。あまり報道されなかったが、あの中間選挙の背景にはマスメディアにつぶされながらも声を上げ続けて無知な世論を動かした帰還兵とその母親たち、そして軍が勧誘する高校生たちの地道な努力があった。

日本が急激にアメリカの後を追って走り出している今、私たち国民ができることがまだあるのだと伝えること。それがメディアにいる人間の使命だと私は信じている。(堤未果)

※堤未果講演予定:HP参照(新年は1月8日同志社大学 他)
    著書:   「貧困大国アメリカ」(岩波新書)他




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