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一昨日のブログで『役所の「資料提出」に自民党の事前許可制が』と問題提起をしておいたことが、今朝の朝日新聞の一面記事になっている。「どこどこ日記」の読者は少し早めに「ニュースの核心」に触れるチャンスがあり、重要なのは「問題の文書」の内容を一部でなく、全部することが出来る。今日は何が問題なのかを、★(保坂展人コメント)を挿入して、じっくり指摘してみたい。

[資料]

□本省限り□

資料要求への対応について

平成20年9月12日 (農林水産省)大臣官房総務課

 本日(衆)(自)国対から、内閣総務官室を通じて、別紙(※)のとおり依頼がありました。つきましては、別紙依頼については、当面、以下の手順のとおり対応してください。
 なお、対応を変更する際には、また追って連絡いたします。

【手順1】
 資料要求を受けた担当部局においては、要求された資料が既存資料の活用で可能であるか否かを、官房総務課へ連絡する。

★保坂展人コメント1→一度出したもの(検閲済)については二度手間になるのでいいが、「資料作成が必要」となればその段階で官房総務課が把握することになる。

【手順2】
 既存資料の加工が必要な資料、新規作成の必要な資料については、提出の準備ができ次第、案件を官房総務課へ登録する。

★保坂展人コメント2→「既存資料の加工が必要な資料」と言うと、お役所的には個人情報保護のために該当部分を墨塗りしているというのがよくあるパターンだが、「これが全てです」と持参した資料の中で、問題個所だけスッポリ抜き取られていても頁番号などが打ってなければ受け取った方は判らない。どのような「加工」を常にしているかを問い質す必要がある。

【手順3】
 各局庁から登録された案件を官房総務課でとりまとめ、定期的に(1日1回程度)国対副委員長(筆頭及び農水担当)へ相談する。
 なお、必要に応じて、担当課から随行を求める。

★「三笠フーズ」事件で揺れていた当時、自民党国会対策委員会に農水省が日参していたことになる。この文書が作成されている9月12日には太田誠一農水大臣が「ジタバタ騒いでいない」と発言している。ジタバタしないと言いながら、自民党と農水省は密談していたことになる。
「野党の〇〇にこんな資料出すのか」「ええ、これは以前に提出したものの続きでして……」「せっかく総裁選で盛り上げているんだから気をつけろよ」「はい、わかっています」などのやりとりが行われたと想像に難くない。
しかし、与党は昨日も「少数の議員が大量の資料を請求してくるので、残業が続いたりして本来の業務に差し支えるので、その資料の量が適切であるかどうかについての相談に乗っただけで、「事前検閲」などの趣旨ではないと説明している。
本当に分量だけのアドバイスだったのか疑問だ。

【手順4】
 相談の上、提出を認められた資料を依頼元へ提出する。提出が認められなかったものについては、担当課が提出可能なものに修正する等の対応を行う。

★保坂展人コメント4→ここの表記は、「相談」なるものが単に分量のアドバイスだけではなかったということがハッキリする。自民党国会対策委員会は、農水省が野党議員の要求を受けて作成した資料の「提出を認める」「認めない」の権限を有していることが明らかで、これが「事前許可」「事前検閲」であることは間違いない。さらに、資料作成後に自民党に見せてから「おい、こりゃダメだ。こんなもの渡したらエライことになるぞ」とダメだしされたら、担当課は「修正可能なものに修正する等の対応を行う」のだから、「膨大な資料作成後にさらに自民党の許可水準に修正する仕事をさらに行う」ということになる。役所のオーバーワークに気を使ってというなら、こんな事前検閲はやめた方がいい。

【対応にあたっての留意事項】
1 逆登録の徹底
  各担当課に直接、資料要求(レクの際になされた資料要求を含む)及びレク要求がなされた場合には、全ての案件について速やかに各局庁庶務課を通じて大臣官房総務課へ連絡(いわゆる「逆登録」)すること。(手引き第16章―2―(2))

★保坂展人コメント5→「逆登録」という言葉がスゴイ。野党がどんな問題関心でいるのかをトータルに把握して、対応するぞという構えを感じる。野党議員はバラバラに資料要求しているので、すべてを把握しているのは大臣官房総務課であり、毎日相談している自民党国会対策委員会ということになる。何のため? 国民の安心、食の安全のためではない、「役所と自民党」の防衛のためではないか。


2 資料要求の決裁と提出
  要求資料の提出に当たっては、担当局庁課内で十分に精査の上、必要なものは、大臣官房の決裁を受けること。(手引き第16章―6)
 なお、担当部局から直接提出した資料は、必ず速やかに大臣官房総務課へも提出すること。

★保坂展人コメント6→資料提出に大臣官房の決裁を受けるのは当然だろうが、大臣官房総務課にも提出というルールをつくるのであればもう1部、自民党国会対策委員会に持参するのも含めれば2部を複写しなければならない。資料が分厚ければコピーの作業も大変だ。

3 議員レクへ用いる資料
 レクに用いる資料については、公表資料等提出して差し支えない資料の決裁は不要であるが、それ以外の資料は2と同様に大臣官房の決裁を受けること。

★保坂展人コメント7→国会議員会館に役所から説明に来てもらう時に、その資料ちょうだいよと手を伸ばすと「これはダメなんです」と頑なに拒否する理由が判った。別段どうってことない資料でも「決裁」がないものはダメという仕切りになっているのだ。


(※別紙)

□本省限り□

野党(政調等の組織を含む)からの資料要求について

((衆)(自)国対からの指示)

 野党(政調等の組織を含む)からの資料要求については、既存の資料をそのまま提出するようなものを除き、各省庁限りの判断で資料を提出することは厳に慎み、(自)国対(村田(衆)(自)筆頭副委員長及び各省庁担当副委員長)に予め相談すること。

★保坂展人コメント8→世にも不思議な文書である。自民党国会対策委員会という組織が役所の「独自判断による資料提出」を禁止している証拠である。「汚染米」騒動の最中に、こうした「通達」を発出した真の理由は何か。役所の内部資料は、おそらく事実が記されていることだろう。しかし、「事実」が社会的反響を呼び、政権批判に結びつくと「総裁選効果」も吹き飛んでしまい、政治日程に影響をきたすことになるから、ブレーキをかけた。検閲を繰り返し資料提出の制限をしたことによって、「汚染米流通」のメカニズムの解明が遅れたとしたら国民に背を向けた政治と批判を受けても仕方がないだろう。

[資料終わり]

この際、真相解明のためにも「汚染米」関連で与党が提出に待ったをかけた「資料」をすべて明らかにしてもらいたい。

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