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今朝の東京新聞によると、28日に政府は、小泉内閣当時に打ち出された「新国立追悼施設」の調査費を凍結し、建設しない方針を明らかにした。今年もふたたびやってくる「戦争と靖国を問う夏」の前に、靖国神社一本化路線で議論も凍結しようということなのだろう。安倍総理は、就任後初の訪米を終えて、中東に向かっている。外交とは相互信頼に基づく合意事項の尊重であり、信義の積み重ねである。「新国立追悼施設」は、安倍総理の前任者である小泉総理が対外的に公表したプランであり、国内的にも推進しようと志した政策である。これを「凍結」「中止」するのであれば、説明責任が問われるのは言うまでもない。

 01年の自民党総裁選挙で小泉総理が「8月15日靖国参拝」を公約し、同年8月13日に靖国神社を公式参拝したことから巻き起こった韓国・中国を中心としたアジア諸国の反発と国内の批判を受けて、「新国立追悼施設構想」は浮上した。靖国参拝の翌9月に、中国・韓国を日帰り訪問した小泉総理は、「靖国問題」決着の外交カードとして「新国立追悼施設」を検討すること切り出したものだ。内外が注目する中で、「誰もがわだかまりなく追悼できる施設建設」を検討するために当時の福田康夫官房長官の下で、私的懇談会が設立された。約1年間の議論の後に、この私的懇談会は「無宗教で、慰霊を目的とせずに、特定の人を祀らず」「追悼対象は軍人・軍属のみならず、明治維新から第2次世界大戦までの間に戦争で生命を落とした犠牲者他とする」という報告書を1年かけてまとめている。

 この報告書を受け取った小泉前総理は、喜色満面で「必ずやる。実現する」と意気軒昂だったという。ところが、「新国立追悼施設建設」にアレルギー反応を起こしたのが、「靖国神社の存立を危うくする」と危惧をした保守系のグループで、安倍総理もそのひとりと目される。私的懇談会の報告書は、靖国神社と新国立追悼施設は併存できるとしているが、「唯一の追悼施設は靖国神社である」という反発が強く、与党内でも公明党の要求があったにもかかわらず、これまでも建設の前提となる調査費は計上されてこなかった。

「(靖国参拝を)行なうか行なわないか明らかにしない」という曖昧戦略で中国・韓国訪問を乗り切って議論も鎮静化していることから「必要なし」と判断したのだと思うが、小泉政権の継承政権として安倍政権がどのようなスタンスで「戦争犠牲者追悼問題」に向き合っていくのかを問う大きな問題に将来発展するテーマだと思う。

しばらく、この問題を掘り下げて考えていきたい。

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