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昨日は、下北沢タウンホールで開かれたNPO法人POSSE主催の『フリーター・ニート論を超えて』のイベントに参加してきた。POSSEとは、「フリーターや学生が集まってつくったNPO(申請中)。これまで社会の中でばらばらにされて、ただ独りで耐えるしかなかった若者が集まり交流し学べる場をつくり、ひろげることが目的だ。最近若者は「人間力がない」なんて「上の世代」からいわれているけどPOSSEは、若者が自ら協働とアソシエーションを創造していくことを目指す」という趣旨で設立されたNPO。20代を中心に多くの若者たちが、「フリーター・ニート」問題を軸に雇用状況について語り合った。会場は熱気があって、また小さいがひとつの動きとして注目していきたいと思う。

このブログでも取り上げてきたワーキングプアと呼ばれる雇用環境の劣悪化が、大量の「非正規雇用・フリーター」を生み出した。私もまた、70年代にアルバイト生活で食いつないだ体験を持っているが、当時は「仕事をしたい時にして休みたい時に休む」という選択権が私の側にあった。だから、数カ月働いて、そののち旅をする。あるいは読書をしたり、論文を書くという生活をしていた。ところが、現在の労働市場が創り出したフリーターの「自由」は本人にはない。イニシァティブは完全に逆転している。雇用側が選択権を持っているから、働きたい時に働けず、メールや携帯で会社から呼び出されて、「短期間限定」「低収入」の仕事に送り込まれる。もう少し働きたいと思っても期間限定だから自動的に解雇される。ボストンバックひとつで工場で働いても、寮費などの名目で天引きされて、ほとんど貯蓄にはならない悪条件である。長期不況の中で、「文句があれば辞めてくれ」という雇用環境が定着した。

こうした格差社会の差別待遇の解消は、ひとつは労働現場で働く人々が団結し、労働組合に加入して会社側と交渉することで改善をはかること。もうひとつは、政治のテーマとして取り上げて、「同一賃金・同一労働」の原則を破壊する賃金差別や社会保険も加入できない差別待遇を改めさせることが大切だ。安倍晋三官房長官の言う再チャレンジは、もっぱら制度の矛盾と差別の構造を、個人の「やる気」「挑戦意欲」「情熱」の問題にすりかえている。

スタートラインで一緒に並んでこそ、平等な条件下での競争が可能になる。スタートラインが正社員の20メートル後方だったり、トラックに入る靴がないために出場が出来ない人たちに、遠方から「やる気を出して再チャレンジ」と呼びかけてもイヤミなだけではないだろうか。何が起きているのか、よく見てから政治家は発言するべきだ。

 若者を激励する前に、小泉政権の間違った「構造改革」を詫びて是正策を示すべきだろう。同じ仕事をしても、正社員と派遣社員・請負労働の賃金格差が時給で2倍以上あるのでは、封建的身分社会に後戻りということになる。まずは、スタートラインは一緒にせよという声に答えるべきだと思う。

雇用問題の解決のために、雇用保険がもっと使われるべきだ。ワーキングプア状態で路上生活をしながら求職している若者が「住所がなくても就職したいのですが」と職安に相談したら、「なかなか難しい条件ですねえ」と首をひねるのではなく窓口の職員は「雇用保険財源の雇用促進住宅がありますが」とまずネグラの確保が可能であるように協力するべきではないか。

ところが、雇用保険で作られた雇用促進住宅(元々は炭鉱離職者のために建設が始まった)には、ホームレスどころか失業している人も入れない。会社に勤めていないとダメというのだからおかしい。そのくせ、青森県では町長が入居している事実が問題となり、内輪のコネで厚生労働省の職安所長や天下り公益法人の雇用能力開発機構の職員まで、ちゃっかり入居していた。(『官の錬金術』参照)

こういう点にメスを入れ、就業意欲があっても住宅がないために働けないている人々を支援するために雇用促進住宅を活用するのが、読んで字の如し、政治のとるべき道だろう。百万の激励より住居の確保が「やる気」「挑戦意欲」「情熱」の土台となる。私は、若者の雇用問題を論じるだけでなく、解決をする道をなんとか探りたいと思っている。




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