TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




来週からの予算委員会の質問の準備をしている。「年金記録問題」がその後、どのように進展したか、社会保険庁や総務省、内閣官房などのヒアリングを続けたが、とりあえず「5000万件」の基礎年金番号への名寄せについては幾分の作業をしているようだが、社民党年金問題プロジェクトとして指摘してきた「棄てられた年金記録83万件」については、何一つ調査の進展がないのか、あるいは公表できないのか、どちらかだろう。参議院で与野党逆転した後も社会保険庁の「年金記録」を管理する社会保険業務センターは、まともにヒアリングに応じない。「年金保険料」の着服・横領問題で、舛添大臣はエキセントリタックな話題を提供しているが、この問題は「年金記録問題」全体から見れば氷山の一角に位置しているもので、ここを叩いたからさあ安心というものではない。

年金記録問題を基本に立ち返って考え直してみたい。例えば、国民年金の特例納付という制度が過去にあった。本来は、2年間しかさかのぼって支払うことの出来ない年金納付を特定の期間のみまとめて支払うことが出来るという制度だ。もともと国民年金の保険料は100円から始まった。加入は任意だった。厚生年金保険には、過去に「脱退手当金」が支給されていたこともある。ところが、今や年金保険料の支払いは「義務」であり事実の強制だということになっている。安倍内閣が6月に強行採決した改正国民年金法では、国民年金保険料を滞納すると国民健康保険証を取り上げて短期保険証に切り換えるという強硬措置までがつくられている。これだけの制裁があるにもかかわらず、2年以上はさかのぼれないということ自体がおかしい。

しかも国民年金・厚生年金・共済年金とそれぞれの加入期間を合算して25年ないと年金裁定(年金受給資格者として認定されること)が出来ないという制度の壁がある。例えば50歳まであらゆる年金に未加入だった人が保険料を支払っても「受給額はゼロ」となる。任意加入なら、それも自己責任ということになるだろうが、国会議員にしてもゾロゾロ未加入の人がいたぐらいで、強制加入という認識は国民各層に根付いていない。厚生労働省は、年金制度は相互扶助なので支給されない人にも支払い義務があると述べているが、この「25年ルール」は保険料支払いを妨げているし、なぜ年金加入期間のすべてはなくて25年なのかという合理的説明に欠ける。

日本の年金制度は、増築・改築・補修を繰り返して増殖した旅館のようになってしまっていて、矛盾だらけなのだ。「棄てられた年金記録」の解明は、昭和17年から32年までのコンピュータ化される前の「厚生年金保険」の旧台帳の記録がどこで混乱し、いつどのように廃棄されたのかを解明する作業となる。社会保険庁に直接問い質しながら、6月に倉庫前で「門前払い」をされたわけを白日の下にさらしたい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 自公の「後期... [お知らせ] ど... »