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週に1回の連載を続けているウェブマガジン「太陽の街から」に反響が出てきた。先に、3月2日に昭和女子大で行った「世田谷発、電力を選べる社会へ」に多数の参加者があり、その様子を書いた3月5日の記事に「おすすめ1・2万」という極めて大きな広がりがあった。このイベントの続編として行った4月8日の「ビジネス編」を描いた4月9日の記事も多くの人に読まれている。ここに再録し、水面下で始まっている新しい波の熱気の片鱗を感じてもらいたい。

「世田谷電力」設立でエネルギー革命

首相官邸前の人波が目立たなくなっても、自然エネルギーを渇望する人々の思いは消えていない。それは電力の消費者としての市民だけでなく、グリーン電力を供給するビジネスの世界にも強く残っている。そう感じさせられた夜でした。

 4月8日、 「世田谷発、電力を選べる社会へ ビジネス編」と題したセミナーが開かれ、70社ほどの企業が参加しました。月曜日の夜、会費3千円にもかかわらず、定員を超える応募が寄せられ、環境・エネルギー関連はもちろん、金融、商社、通信、ITなどの異業種も目立ちました。

 まず、海外の電力事情にも詳しい高橋洋さん(富士通総研・電力システム改革専門委員会委員)が基調講演に立ち、電力自由化後のエネルギー環境について語りました。

「電力会社による地域独占から、複数の事業者が競争する状況に変われば、消費者が『電力の質』を選べるようになる。そうすればIT革命のように、エネルギーをめぐるビジネスの世界は一変するでしょう」

続いて、生活協同組合が取り組む「風車」の広域利用、放送・通信事業者によるマンション一括受電サービスや、運営支援事業者による新たなビジネスモデルなどが報告され、私も世田谷区のエネルギー政策の経緯と現状について話しました。その後の交流会では、参加者同士の名刺交換と懇談が遅くまで続きました。

 2011年3月11日の東日本大震災と原発事故は、私の人生を大きく変えました。

 1カ月もたたないうちに、それまで考えもしなかった世田谷区長選挙に出馬する気持ちを固め、「脱原発・エネルギー転換」を公約に掲げました。世田谷区のような都市部の自治体で、脱原発やエネルギー問題が争点になるのか。メディアだけではなく、支持してくれる人たちからも疑問が投げかけられたことを覚えています。

 それまでは、原発やエネルギー問題は国の重要政策であり、地方自治体で議論するテーマではないというのが「常識」でした。

 しかし、20日あまりの選挙戦を制し、2年たった今、確信していることがあります。それは、市町村や区といった基礎自治体こそが「エネルギー転換」の最先端に位置しているということです。

 これまで、消費する電力に対価を払っている消費者は、エネルギー転換の議論から排除されていました。しかし、「電力自由化」をめぐる議論とともに、電力会社の地域独占市場が崩れた後のエネルギー政策を地域から変えていこうという機運が生まれています。それはつまり、エネルギー問題における「国民主権」、言い換えれば、消費者がエネルギーを選ぶ権利をつかみ取ろうとする動きなのです。

 グリーン・エネルギーの導入を進めるデンマークやドイツなどでも、実際に転換のかぎを握っていたのは地方の自治体でした。私は、「電力システムの改革」を掲げる政府にも、世田谷を「電力自由化のモデル地区に」と訴えています。

 とはいえ、太陽光パネルを敷き詰めたり、風車を立てたりする広大な土地が世田谷区にはありません。ただ、北海道から沖縄まで交流している自治体は40ほどになります。そうした自治体が自然エネルギー事業をおこしたら、そのグリーンな電力を世田谷区の住民たちで買い取る。88万の人口を抱える一大消費地だからこそ可能な取り組みだといえるでしょう。

 災害時相互応援協定を結ぶなど、自治体の連携がいかに重要かは東日本大震災でも証明されたところです。「環境・エネルギー」関係の技術や商品の情報をテーブルの上にあげ、ともに知恵をしぼり、技術や商品を橋渡しできればと思います。エネルギー問題も災害対応と同じように、自治体の枠を超えた連携によって解決しようと考えているところです。

 冒頭で紹介したシンポジウムを主催したのは、NPOや市民による「新電力研究会」。日本で初めてとなる地域によるPPS(新電力=特定規模電気事業者)、「世田谷電力(仮称)」を実現させようと動きだしています。5月にもキックオフとなるセミナー企画が始まる予定です。

 2年前、区長選挙のときに配布したチラシに、私はこう書きました。
<世田谷区を「再生・持続可能な新エネルギー」の研究・開発拠点とします>
 そのための、さらなる一歩を踏み出します。

(「太陽の街から」4月9日  「世田谷電力」設立でエネルギー革命)

最新記事は4月16日「新設したミニ発電所と井戸給水システム」

 



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