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 21日、平成25年度予算案の記者発表を行いました。長い記者会見となりましたが、会場には沢山の報道陣が集まりました。これから、逐次報道されると思いますが、記者会見で使用した原稿をここに掲載します。 

平成25年度当初予算案発表 記者会見(2521日)

 ただいまから平成25年度当初予算案の発表をします。災害に強い福祉文化都市せたがやをつくる」予算ということで、編成させていただきました。私にとっては、2度目の予算編成の作業となりました。今回の予算編成作業中に解散総選挙があり、そして国の予算編成が大幅に遅れて、区としても国の予算の状況を見ながらぎりぎりまで調整を続けることになりました。

世田谷区でも国庫支出金は歳入予算の13.9%を占めていて、その影響はかなり大きいということになります。しかしながら、国の当初予算成立ということを いわば空白期間をつくることはできないというふうに考え、あらためて補正予算案を調製し、議会審議を経るとなると、都市整備領域や保健福祉領域における事業全体に影響が出てくるということを懸念しました

区民生活や地域経済への影響を考慮すると、空白の2ヶ月を作ること避けようということで、平成24年度第6次(最終)補正予算案には、当初予算案からの前倒しに加え、各省庁の補正予算要求平成25年度当初予算概算要求からの修正分も見極めたうえで、必要な経費算出を行い、国で言われている、一部「15ヶ月予算」となるよう取り組んだところです。また、今後、国の予算内容との整合を図る必要が生じたときには、25年度の第1次補正予算で対応することを考えています

 <平成25年度当初予算の特徴>

 国の予算編成の遅れから、世田谷区の平成25年度当初予算案は、平成24年度第6次補正予算案と連動させて編成いたしました。平成25年度一般会計当初予算案ですが、予算規模は2,4232,900万円、前年度(24年度)比で△(マイナス)0.2%、41,200万円の減の規模となりました。

 一方で、国の平成24年度補正予算(経済対策)の動きと連動して、25年度予算に計上を予定していた公共事業のうち20億円また区の経済対策として来年度予定する公共工事のうち4億円を、合計で24億円を、24年度6次補正として前倒し計上しました。

この24年度6次補正に前倒しをした24億円を25年度予算に計上したものと試算すると、平成25年度当初予算は、実質的に2,447億円、前年度比で0.8%、20億円のプラス予算であるともいえます。 今回の予算編成にあたって心がけたことを順次申し上げます。

平成25年度予算案の特徴としては、「災害対策」「子育て・子ども支援」「環境・エネルギー・みどり政策の推進」「地域活性化」などを重点課題として予算を配分しています。

 一方、財政構造改革への取り組みも着実に進めています。今回の予算編成にあたっての大きなポイントは、基金繰入と起債の新規発行を大幅に抑制したことです。


財政調整基金を繰り入れていない。(平成20年度当初予算以来5年ぶり)
特定目的基金も含めた、基金繰入金は、前年度比で△(マイナス)41.4%、額にして約39億円の減
起債発行額も、前年度比で△(マイナス)23.5%、額にして15億円の減とするなど、財政の健全性をより高めています。

 歳入面では、平成24年の区民所得の増や人口が増えているということも踏まえて、当初予算ベースでは4年ぶりに前年30億円の特別区税の増収を見込んでいます。歳出面では、行政需要に応じて幅広い分野で増額していますが、生活保護費をはじめ、社会保障関連の経費増、また老朽化した公共施設の更新などの需要対応する経費の伸びが大きくなっています。

 一方で、行政経営改革の取り組み進め、電算経費、委託料、営繕経費、外郭団体への補助金の見直しによって9億円、公共施設使用料などの見直し、保育料、新BOP学童クラブ利用料の見直しなどにより、4億円等、総計23億円の効果を生み出しました。

 歳出の「款別(目的別)」の前年度比では、伸び率の多い順で、総務費(8.4%)、教育費(5.9%)、民生費(1.1%)となりますが、総務費は、世田谷パブリックシアターの改修、参議院議員選挙と都議会議員選挙など臨時的な経費が多いという影響で伸びていますので、実質的には「教育費」に、計画的に進めている学校改築などの教育環境の整備に対して、より予算配分のウエイトを高めているといえます。

 また、新規事業の取り組み、政策面に照らし、積極的に予算配分に留意したの、保育サービス待機児対策、防災、環境などについてです。災害対策、環境については、全庁の連携のもと推進していくこととなり、横断的な予算計上となります。今の予算を一言で表すと、「災害に強い福祉文化都市せたがやをつくる予算」としたところです。

<重点課題への取組み>

次に、それぞれ重点化したところをご説明します。

【保育サービス待機児対策】

まず、保育サービス待機児対策です。これまで以上に待機児対策が焦眉の課題となります。世田谷これまでの計画に基づいて、平成2223年度の2年間で約2,000人分の定員増を図ってきました。昨年の4月時点での保育サービス待機児は、786過去最大となりました。前年度(23年)の688人から100ほど増えてしまいました。この結果を受けて、昨年、緊急対策を施して130人分の緊急の定員枠を拡大し保育需要に応えまた、さらなる整備ということで準備を施していました。

ところが、昨年に締め切った254月の入園申し込みの集計では、申込者数が前年4429、そしてこの春の分が4986人と550の増加というような、きわめて深刻な状況となっています。年末から待機児童緊急対策を進め、256月までに300人、26年4月までに200人の定員枠の積み上げをはかることとし、25年当初計画にあった800人に500人増の1300人の定員枠の拡大に取組みます。

これら緊急対策を施したとしても、本区の待機児童対策を抜本的解決するために、さらなる努力をしなければならないと思っております。民有地等を活用した保育運営事業者からの提案型の保育園整備を進めます。さらに宅建業界・不動産協会の協力を得て保育園整備の可能な物件を事業者に提示して、さらなる整備を促すといったことにも取組みます

地域密着小規模保育(認証保育所実施型)(グループ保育型)をそれぞれ拡充します。また、UR都市機構の集合住宅の中での家庭的保育事業についていくつかの懸案がありましたが消防法上の取扱いの整理なども済み、集合住宅において小規模な家庭的保育ができていくようにとスタートをしていきます。さらに、東京都から「東京都スマート保育(スマ保)」ということで発表された「東京都の小規模保育(6-19人以下)」の助成について、説明を聞いている段階ですが、できるだけ活用たいと思います。また、小規模保育や家庭的保育事業等の資格要件についてさらに拡大できるよう、保育の質を担保しながら検討を進めていきます。保育サービス待機児対策については、総力を挙げて今後も取組みたいと思います。

【子どもの人権擁護機関の設置】

次に、「子どもの人権擁護機関の設置について」です。

昨日、滋賀県大津市の「いじめ自殺事件」の第三者調査委員会の報告書が市長に手渡されました。再発防止に向けた提言には、学校をサポートする第三者機関を常設して、いじめ等の相談の窓口をつくるとの内容があります。世田谷区では、2年がかりで準備してきた第三者機関の設立に向けた準備が具体的に始まっています。いじめや不登校、体罰など、子どもの権利侵害に関する相談を受け、関係機関との連携のもとに調査・調整を進めて、必要に応じて意見表明や被害を受けている子どもの救済をはかる公正・中立で独立性と専門性のある第三者機関を平成25から設置します。相談等は、257月から開始する予定ですが、本日は「いじめ」と「体罰」を例に、相談から救済への例示を挙げてみたいと思います。

「いじめ」(Aさんの事例)

中学校入学以来、不特定多数の子からのいじめを受けていたAさんは、深刻な精神的苦痛を受けていた。心配した親は、学校に伝えたが解決のための動きが遅く、重大なこととして受け止めてもらえていないと感じて、親が相談に訪れた。

1専門員がAさん本人と面談。事実確認と精神状況などを聞き取る。2専門員と人権擁護機関の委員で協議をして課題を整理します課題は2となりました。ひとつは、学校にAさんの状況を伝えること。もうひとつは、Aさんに対しての担任のサポート、学校からの支援というものが必要だということです3Aさんと委員が面談。委員が、本人の許可を得て、Aさんの置かれている状況を担任に伝える。今後担任を中心に学年全体でAさんをサポートしていく体制をつくることを話し合う。4学校は委員と協力してAさんの支援体制を構築。徐々に変化が見られる。

これは、「調整」の例です。次は、「体罰」の例です。(Bさんの事例)

部活動で顧問から強くしかられて、肩や足を叩かれることもあって、強いショックと恐怖のため、部活動に参加出来なくなった。その理由も言えずに、学校に行けなくなり不登校となった。保護者は学校側と何度か相談したが、体罰と不登校の因果関係をめぐり認識が違い、放置されてしまうのではと不安になって相談に訪れたという事例。

1専門員が保護者の話を聞いた上で、委員と協議して、委員が保護者と顧問の先生の双方から事情を聞いたところ、事実や経過について相当の認識の違いがあることが判明した。2委員は学校に、部活時の体罰について事実調査を求め、学校の調査で、Bさん同様の事実が確認された。3委員は教育委員会に部活動の指導のあり方について是正要請が必要ということで、是正を要請した。4調査と平行して委員と専門員がBさんの個別支援を継続。また、Bさんの精神状態が落ち着き始め、徐々に学校への信頼感を回復させている傾向が見られたので、学校とBさんとの対話の機会をセットしていった。5部活動における指導方法を改善すると学校が方針を表明し、Bさんとの会話も進展。Bさんは、当面、部活動は休部とするものの、新学期から学校に通うということとなった

あくまでも「想定」で2つのケースを紹介しました。持ち込まれるケースは千差万別で、より深刻なものもあると予想されます。また、第三者機関の役割と機能効果は、さまざまな事件・事例で求められている以上、不断の検証をしながらより良いものにしていきたいと思います来る2月7日には、「子どもの人権擁護と救済を考えるシンポジウムを開催し、7月以降の活動のあり方、役割などについて議論を続けていきたいと思います。



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