TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




 先週、世田谷区内で「高い線量箇所を確認した」という記者会見は、記者会見自体では多くの質問が出なかったものの、その後に大きなニュースとなった。記者会見から24時間後には、「福島第一原発事故が原因のものではなく、民家の床下に置かれた瓶類が原因である可能性が高い」と二度目の記者会見をした。さらに翌日14日には、高線量の放射性物質は文部科学省放射性規制室によってドラム缶に封印され撤去されて、周囲の線量も低減した。原因究明と除去に至る関係者の努力に感謝したい。

週明けに区役所に寄せられた区民からの声を見ると、「迅速な対応を評価したい」「原因物が早く見つかって良かった」というものの他に、おおむね二通りの批判的な声もあるようだ。ひとつは「発表が遅すぎたのではないか」というもの、もうひとつは「発表を早まったのではないか」という正反対の角度からの意見だ。

 今回の情報がもたらされたのは、10月3日だった。すぐに簡易計測機器を持った区職員が現場に向かった。翌日4日は議会で、「区内で高線量の箇所がある」との指摘に対して「すぐに現場に測定に行かせて、概ねの(数値の)把握をした。さらに、より詳細につかめないのかと指示しています。この数値がどうして出たのかは判りませんが可及的すみやかに実態を把握し影響を除去すべく動きたい」と答弁した。その議場での発言が、まず多くのことが不明の中での第一歩だった。

  区議会の審議は記者も傍聴する中で行なわれ、インターネットで動画配信されている。「正確な計測を行なうこと」「線量の高い場所を特定すること」「その原因物除去の対策をたてること」をめざして連日の取組みが始まった。こうした過程で、国(環境省)と東京都に連絡をして「対処の仕方」を訊ねている。この時点での仮説は、民家の中の樹木等に雨水の影響で蓄積されたのではないかというもので、「床下に放射性物質がある」という事実まで到達出来なかった。

[10月12日『世田谷区内で局所的な「高い線量」計測につていて』(どこどこ日記)]

今日は8回目の記者会見だった。世田谷区内にピンポイントで「高い線量の個所」を確認し、区としてその原因を究明し、また原因物を除去する対策にあたっていることを発表した。記者会見ではあまり多くの質問は出なかったが、夕方からテレビニュースで報道され始めて、NHKの9時のニュースでは冒頭に伝えられた。まず強調しておきたいのは、今回区で確認した高線量の個所は狭く限定された空間(高さ1・5m×幅2m)であるということだ。10月6日に区が確認した最高の数値は「2.707マイクロシーベルト(毎時)」で地上1mの計測値だが、直下の地上5㎝だと半減する。5~6m離れた公園では、0.07前後の世田谷区の平均値の枠内となっている。

[引用終了]

上記の「局所的」「ピンポイント」ということは記者会見後に繰り返しツイッターでも発信した。13日になって、民家の所有者の許諾が出て敷地内を測定、道路に面した部分よりもはるかに高い線量が民家の壁際で計測されたことから、立合いの下に屋内計測。そして、原因物発見につながった。迅速な対応が出来たのは、福島原発事故が原因ではなくて、危険物としての放射性物質が放置されていると判明した段階で文部科学省放射線規制室が所管しているということが判り、文部科学省に緊急対応を要請したからだった。

 一種の危機管理体制が問われた場面だった。土壌や樹木から放射線が出ている場合は環境省が窓口になるが、民家の床下に放置されていた「瓶」が放射線の原因となると、文科省に所管が変わる。ここで、区役所内でも環境対策室中心の対応から危機管理室も加わり、また地域住民や周辺の学校・保育園等の対応の体制を組んだ。

 危険回避のためには正確な情報を早く出す必要があるが、不要な混乱を避けるためには出来る限り「情報の断片」ではなく、「全体像」を把握した上で出す必要がある。「高線量」は何度計測しても変化しなかったが、高線量の範囲が「局所的」「ピンポイント」に限られることや、福島第一原発事故以来、通常は地表が高く離れるにつれて低くなるはずの放射線の出方が、地上1メートルが最大値で地表が半減するなどの特徴があることもあわせて発表した。「高線量」について発表したものの、「原因究明につとめたい」として推測や予断を排除して、今後の測定・調査を待つというスタンスを取った。

 先刻、東京都猪瀬直樹副知事と面談して、この間の経過報告をすると共に、意見交換の機会を持った。結果、「管理下にない放射性物質」だったことで、文科省放射線規制室の検査官・審査官が現場に急行し、原因物特定から周辺への影響評価までを行なってもらうことが出来た。これが、福島第一原発事故が原因であった場合には「除染方法」「撤去した原因物の保管や処理」について何ら指針が定まっていないのは困ったことで、今後は都でも対応出来るようにしてほしいと要望した。

〔川場村に行ってきました〕

 昨日は、世田谷区と川場村で結んだ「区民健康村縁組協定」の30周年の式典があった。私は前日から川場村に入り、30年の長きにわたる交流の歴史や経過を関係者から聞く機会があった。翌日の式典で、来賓や参加者の前で私は次のように挨拶した。

〔引用開始〕

「昭和56年11月に縁組協定を締結してからは双方からの提案で区民・村民の参加する企画事業が生まれました。世田谷区の区民健康村も多くの人でにぎわい、利用者は162万人を数えています。すでに、世田谷区民であれば、川場村との交流を知らない人はいないというぐらいにすっかり定着したと言っていいと思います。また、阪神大震災を機に災害時における相互援助協定も結ばれています。本年、3月11日の東日本大震災と原発事故を通して、より強い連携をしていきたいと考えています。

原発事故後、川場村も周囲に比べて線量が高いという被害にあわれています。村内の除染対策と共に、区民健康村周辺の環境対策に力を入れていただいたことに感謝を申し上げます。今後とも正確な情報にもとづいた環境対策を、30年の友好・交流の絆を強めていきながら、より効果的な方法と技術についても連絡を密にしていきます。同時に、かかる問題は基礎自治体にまかされていいものではなく、国をあげた対策を求めていきたいと思います」

〔引用終了〕

 世田谷区内でも、以前から川場村での「移動教室」の実施をめぐって放射線量の影響はないのかと心配の声があがっていた。私は、川場村村長にこの旨を7月に伝え、「移動教室」の宿泊場所となる区施設周辺の環境対策も含めてお願いをしている。同時に、区の仕事として区施設周辺の土砂を入れ換える工事を終えて9月に入った。より詳細な測定を行い、「移動教室」の子どもたちの一日の日程を考慮に入れて集計を行なってもらった。ところが、建物の裏の雨樋の下などで依然として高線量があるとの指摘を議会で受けて、即日早朝から担当課が現場に急行し、測定の上、対策工事を発注し、その工事も終わっている。

「川場区民健康村施設での放射線量について」

 式典の後の懇親会では、川場村の小学校4年生から6年生でつくる川場小学校金管バンド「川場キッズ」の子どもたちによる見事な演奏で歓迎してもらった。村長の話によると、西関東の代表として大阪で開かれる全国大会に出場することが決まっているという。ほとんどの児童生徒たちが団員として練習を重ねているのだという。

 出来る限り情報公開し、問題があればすみやかに対処する。その対処に上で線量低減を実現し、更に村とも協力して環境対策を進めていくようにしたい。

 

 

 



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 世田谷区内の... 文科省、福島... »