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今日は小松川区民館で、『学生企画「創ル未来」シンポジウム』があった。大学生たちが手探りで準備したこのイベント、つきあってみて随分と刺激になったし、面白かった。学生たちは8月になってから2回私のもとを訪ねて来て、「教育」をテーマにディスカッションした。「ゆとり教育」批判の嵐の中で、「総合的な学習」が学校教育に導入された経過は軽んじられている。今回、このシンポジウムは10日間かけて、講師と議論を重ねて、最終日(つまり今日)に向けて、20分間のプレゼンテーションを行なうことをゴールとしていた。学生たちの提案は、「総合的な学習」の時間の再評価であり、「NPO法人」をつくって学生が中心となった「総合的な学習」実践チームを学校現場に派遣しようというアイデアだった。

かれらは「ゆとり教育」を受けた世代である。「ゆとり」バッシングはこの数年吹き荒れて、安倍内閣の「教育再生会議」で頂点を迎えた。「薄くなった教科書を厚くしてくれ」という教育における復古主義は、「記憶中心の詰め込み教育」への郷愁をもって語られた。学生たちの問題提起を聞いていて、「ゆとり」バッシングに対して、「総合的な学習」再評価を掲げる学生の主張が出てきたのは、ニュースではないかと感じた。

「主体的に物事を考え行動する力を養う教育」を掲げた「総合的な学習」の時間を学生たちは体験している。その体験は、「ゆとりとは名ばかりで受験対策だった」
「主に自習の時間」というものと、「自分たちでテーマを発見して、計画を立てて、フィールドワークを行なったので、とても楽しいひとときだった」というものに二極化している。「総合的な学習」や「ゆとり教育」の理念が根づかなかった理由として、文部科学省と学校現場の距離が遠すぎたことと、「偏差値・点数競争」を唯一の尺度としている「世間の常識」が壁になったと学生たちは言う。

そして、教育を変えるにはどうしたらいいかと考えた時に、大上段に理念を語るだけでは変わらないので、問題意識を持つ学生たちが教師の助っ人として学校現場に入って実績を創っていくのはどうかと考えたようだ。具体的には、「音楽を聞いて演劇(芝居)で表現する」「先生と生徒の立場を逆転し、生徒が先生を対象に授業してみる」「仕事って何かを論じ合うための協同合宿」などのイメージを語った。

学生との事前討論の中で、私は学校の「主要学科」にオルタナティブで100点満点では評価困難な学科を加えてはどうかと提案した。あえて、私の提案のイメージを語れば「IMA(いま)」という学科だ。アフガニスタンでペシャワール会の伊藤和也さんが殺されて千人規模の村人たちが山の捜索に出かけたことや、北京オリンピックの開会式とともに始まった南オセチア州をめぐるグルジア・ロシアの武力衝突など多くのことが同時に起きているが、「学校の授業」で語られることはない。

事前の打合せをしている時に、学校で歴史の時間にどこまで「今」に近い時代を教えられたかと聞いてみると、「第2次世界大戦後の復興期まで」「1970年の大阪万博まで」という答えが返ってきて、たいへん驚いた。私は1970年に中学2年生から3年生だったが、私の歴史の授業も「第2次世界大戦まで」だった。あれから、38年「歴史」は立ち止まったままなのか。

今回、提案をしてくれた学生たちは、10日間で数回徹夜して50〜60時間話し合ったという。チャンスと条件があれば、若い世代に「与えられた殻」を脱いで、挑戦する実力と意欲があることに嬉しくなった。こうしたインタラクティブな企画には、時間と手間、労力がつきものだが、半年がかりでけっして大規模ではないが、濃密な場を支えた企画・実行スタッフの皆さん、御苦労様でした。


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