TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




 沖縄普天間基地の県内移設に反対、国外・県外移設を求める県民集会」が成功し、沖縄にこれ以上の基地負担を求めないという世論は「超党派」で構築された。これを無視して、報道されたようなキャンプシュワーブ沖修正案などを持ち出したら、政府は「沖縄」全体を敵にまわし、切り捨てるという覚悟をしなければならない。反基地運動は拡大し、「普天間が危ないから撤去しろ」だけではなく、「広大な嘉手納基地を返せ」ということになる。

 自民党・外務省という「対米従属」の反射神経だけが発達したイエスマンたちは、アメリカの要望に忠実に沖縄基地問題に対処してきた。「普天間が危ない」という事実を奇貨として、辺野古沖に新基地を建設する案がアメリカにとって魅力的なのは、『どこどこ日記』でたびたび指摘しているが、①普天間にはない弾薬庫が出来る、②大浦湾なら軍港にも出来る、③老朽化したヘリに替わるオスプレイを2013年から配備する、④近くに北部訓練場というジャングル・ゲリラ戦の訓練場があり、オスプレイ離発着用のヘリパットが建設される―――以上の新基地建設費用はすべて日本持ちであり、費用は推定で1兆円(アメリカ会計検査院)にもなる。

 これは移設ではなく、焼け太りだ。引っ越しに名を借りた基地拡大とリニューアル・機能強化と見るべきだろう。平野官房長官らは、こうした基本的な事実をどこまで理解しているのかどうか疑問だ。アメリカは現行案がベストだと主張するのは当然だ。日本政府は、現行案は修正も含めて100%無理だと主張するしかない。あれは、自民党政権時代の誤った約束だった。今度の政権は新しい約束を沖縄県民とした。「最低限、県外」という約束だ。

 鳩山総理の目がうるんでいるのが気になる。今、鳩山総理の心中は「現行案の修正など受け入れられない」という思いで一杯だろうと思う。ここまで、事態を深刻化した責任は鳩山総理にあるとメディアは集中砲火を浴びているが、私はあえて擁護したい。「普天間問題迷走」の責任者は、旧政権以来変わらない外務省・防衛省の官僚たちだ。自分たちが「従属外交」で敷いてきたレールを外そうとせず、「グァム・サイパン・テニアン」という社民党からの提案も一笑に付してきた連中こそ職務上の責任を取らせて更迭すべきである。

「代替地が見つからなければ普天間基地は現状のまま」と平然と言い放つ閣僚もいる。日本の領土にあるアメリカ軍基地の問題で、移設先決定に手間取ったら、「世界一危険な普天間基地」(ラムズフェルド)は完全閉鎖すべきである。世界中に展開する海兵隊は「抑止力」にはならない。撤退して不都合なのは「思いやり予算」を使えないアメリカの方だ。もうアメリカ側も、そろそろ「現行案がベストだ」などと繰り返すのはやめたらどうか。

 沖縄における基地感情が悪化をすることは、アメリカの「国益」を損ね、「日米安保」にも支障を来すことになる。無神経で強欲な主張ばかりしていると、沖縄での米軍基地の「安定的使用」に影響が出てくることを国防総省は懸念するはずだ。

 日本中、どこへ持って行っても反対の声がわき上がる「迷惑施設」を「沖縄なら我慢出来るだろう」という感覚が、永田町の政治家や霞が関の役人に多いのが本質的な問題だ。今こそ鳩山総理が「思い」を大切にして「日米再協議」の場を提案するべきだ。メディアが叩く分、「今ですよ、頑張り時は」と励ましたくなる。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 『どこどこ行... 「高江のヘリ... »