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先週末の「雇用・非正規ホットライン」を実施してみて、社会資本としての雇用保険の積立金約5兆円と労災保険の積立金約8兆円を有効に活用する政策提言が一日も早く必要だと実感した。とくに、派遣労働者は、雇用保険に加入することが困難な悪条件がある。それが、「1年以上の雇用の見込みがある者」という条件を付している点であり、厚生労働省は「過去に3ヶ月働いて、1ヶ月休み、6ヶ月働いて、2ヶ月休み、また3ヶ月働いて……と総計で1年間働いた実績があれば、『1年以上の雇用の見込みがある』と判定します」というのだが、この例だと1年3ヶ月は雇用保険に加入出来ない期間が続いていることになる。

 そもそも、正社員として雇用される時には、入社をした日から事業所(会社)が即日、雇用保険加入の手続きを取る。実際には、1年に満たないで辞める会社員も多いのは御存知の通りだ。自動車や電機などの製造業で、真っ先に切られているのが派遣労働者で「失業」状態に陥るリスクが高いことから、そのセーフティネットは正社員同様か、あるいはより手厚くカバーすべきであるが、実態は逆になってしまっている。

また、労働組合と厚生労働省との交渉の末に、昨年10月から「日雇い派遣」の形態をとっている派遣労働者に「日雇雇用保険」の適用が実現した。もともと、山谷や釜ヶ崎で日雇い労働者の街で普及してきたのが「日雇雇用保険」だが、1年経過して派遣労働者で加入したのは全国でたった4人に過ぎない。白手帳(雇用保険日雇労働者手帳)を職業安定所に申請・交付を受けて、仕事を終えて派遣会社から手帳に就業を証明する印紙を貼ってもらう。2ヶ月で26枚の印紙が貼ってあれば、派遣会社が仕事をあっせん出来なかった時には、給付金(アブレ手当て)を受給することが出来るという制度だが、この給付金(アブレ手当て)を受給したのはわずか1人のみという惨状だ。

 そもそも印紙を備えていない派遣会社も多く、また印紙を貼り付けてもらうために、派遣先(仕事の現場)から派遣元(派遣会社)に行かなければならないというのが、現実的ではない。仕事も携帯メールであっせんしているのなら、印紙もメールで確認出来るようにすればいいと思うのだが、どうだろうか。給付金も日額にして4~7千円と多くないが、もし受給が容易になれば数万人が「白手帳」を取得することになるだろう。厚生労働省とも協議していきたい。

 このような高いハードルを超えて、雇用保険に加入することが出来た派遣労働者が、契約更新をしない(雇い止め)などの対象になった時、正社員であればすぐに「会社都合」として雇用保険の受給申請をすることが出来るが、派遣労働者は申請まで「1ヶ月」待機していなければならないという制度がある。この間、どのような条件の悪い仕事であっても派遣会社からあっせんされた仕事を断ったら、「自己都合」に切り換えられ、さらに3ヶ月の待機期間が加わる。失業してから4ヶ月も「待機」しているのは困難なので、雇用保険の給付を受けるまでもなく、劣悪な条件でも就業することになる。ここも、雇用保険の制度上も正社員に比べて派遣労働者が不当に差別されていると言わなければならない。

先週の金曜日に「京品ホテル」の争議・自主営業を激励に行ってきた。今日の朝日新聞の早野透さんの『ポリティカにっぽん』でも紹介されているので、ぜひ読んでみてほしい。



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