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ここ数日は、民主党から呼びかけのあった「連立政権協議」について、社民党としての対応を決めるための会議や、また下調べなどの手伝いを集中して行った。民主党との間には、共通の政策として確認している部分の他に、政策の隔たりがある部分もあった。その点をどのようにつめて表現していくのかについて、ずいぶんと丁寧に議論を重ねてきた。いたずらに時間を費やしたという批判も聞こえてくるが、小党と言えども連立政権に参加するにあたって確かめておきたいことや、合意に盛りこみたいことがあるのは当然で、この「産みの苦しみ」を経なければ、政権発足後にたちまち行き詰まってしまう。

今日は、午前10時から社民党の「連立政権協議」にかかわる会議があり、午後2時から民主・社民・国民の3党幹事長会談を経て、5時半から党首会談・連立政権政策合意の調印が行われた。その詳細はメディアの報道に譲りたいが、この間の協議で社民党が主張して実現した事項を中心に、6時20分から福島みずほ党首・重野安正幹事長の記者会見があった。ここで、福島党首が語ったことを紹介しておきたい。

[記者会見]

 ただいま、連立合意の調印を終えたところです。
この合意までに短期間で集中的な各党間でも、また党内でも意見交換をしてきました。総選挙前の「共通政策」が土台になったとはいえ、いくつかのテーマで議論が必要なものもあり、合意が整うまでに時間を要したことは今後に生かしていきたいと思います。そのための努力を社民党も誠心誠意行いました。

 政策合意には「新インフルエンザ対策」「災害対策」に加えて、「緊急雇用対策」が加わりました。これまで3党間で協議してきた「労働者派遣法改正」の問題に加えて、完全失業率・有効求人倍率のワースト記録の更新など深刻さを増している雇用対策こそ待ったなしです。1700万人台となった非正規労働者の均等待遇の問題や雇用のセーフティーネットを構築する制度設計、また雇用保険・労災保険のより使いやすい改正などを視野に全力を尽くします。

 また小泉構造改革で格差が拡大し、国民生活の土台が破壊された現状をふまえて「消費税据え置き、そして政権担当期間中は消費税率を引き上げない」という合意は大変重要です。新政権で初めて「社会保障費2200億円のカット」を完全に廃止し、後期高齢者医療制度を廃止して社会保障再建に取り組みます。

 郵政民営化の見直しは、地域再建にとっても、国民の財産を守るという観点からもすみやかな実現をはかりたいと考えています。国と地方の「三位一体改革」の見直しで地方自治財源をとり戻すことも必要です。

 地球温暖化対策についても提案しました。「低炭素社会の構築」を国の戦略の中に組み込んで地球温暖化対策基本法を制定し、環境技術の研究開発を促進して、ここに雇用を創出するに力を入れたいと思います。

 外交問題でも議論を重ねました。政策合意には次のようにあります。

「主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。日米協力の推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつつ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」

 長い間、米軍基地の過度の集中は、大きな負担と犠牲を沖縄県民に強いてきました。少なくとも、自民・公明政権とは一線を画して沖縄県民の声に答える道がひらかれたと思います。

 ヒロシマ・ナガサキの被爆体験を持つ日本こそ、核兵器廃絶の先頭に立ち、また核軍縮の推進を通して「核のない世界」を実現しなければならないという点でも思いは一緒です。

 憲法の三原則を遵守し、憲法の諸権利実現を第一として国民の「生活再建」に全力をあげるという問題意識を持って、これからの仕事に臨んでいきます。

[会見の発言終了]

こうして「雇用」や「環境」、「平和」などのテーマで取り結んだ合意が、具体的な政治日程の中でどう反映されるのかが、このところブログでも書いてきた「与党の合意形成機関」の問題となる。

民主党からは昨日、内閣の下の関係閣僚で形成する閣僚委員会の中に、「基本政策閣僚委員会」を設置する。ここに、閣内に戦略担当大臣、社民・国新の党首が入って必要に応じて調整のための議論を行って、その結果を閣議に諮ろうという提案が届いた。

 私たちは、今回の新政権発足にあたって、民主党が「国家戦略局」を設置して基本方針を定め、「内閣一元化」を徹底したいという問題意識であることはよく理解し、尊重しようと考えてきた。そのために、連立政権運営のための「合意形成機関」については、「国家戦略局」の組織と実際上の構成が重要であると考え、説明を求めてきた。いったい、どのような布陣と権限で「新政権の目玉」は運営されるのかを聞いてみたいというのは当然だろう。

ところが、次第にわかってきたのは「国家戦略局」の具体像はまだ固まっていないか、あるいは「極秘」だということである。社民党に国家戦略局について説明をするようなことはまだ出来ないということであり、民主党から届いたペーパーにも「準備室」は内閣官房副長官の下に置くことになっている。これは、戦略担当大臣の間違いではないかとも思ったが、まずは法的根拠もない段階では、比較的小規模な準備室を置くということしか決まっていないように受け止めた。

おそらく、詳細が決まっていくには、準備室が発足し、また臨時国会で設置法を提出するまで、いくらか時間がかかるのではないか。常識的にも、連立協議はしたがあとは党首レベルで構成する「基本政策閣僚委員会」以外は一切意見交換しませんとういことにはならないだろう。顔をあわせて議論したり、相談したりしない連立などありえないと私は思う。また、内閣と国会との関係を緊張感あるものにしていくためにも、この問題は社民党のみに関わる問題ではないということを強調しておきたい。


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