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 新年の4日から世田谷区長として区内各所で開かれる新年の儀式や式典、新年会等に連日3~6回参加している日々が続いている。こうした中で、本日14日、車座集会を午前に松原まちづくりセンターと、午後には用賀出張所で開催した。2カ所ともたっぷり2時間区民の声を聞きながら返答する。また、その隙間に障害を抱える子どもたちの親の会他3カ所の会にも飛び回った。明日は、朝の学校で開かれるイベントに始まり、綱渡りで7カ所をまわり、最後は横浜で開かれている脱原発世界会議の「首長会議」に参加する。

 車座集会は特にテーマを設けず、私の側からも長い話もしない。参加者の側から3分以内に話をしてもらって、3人が終わったところで区切って答えられる点は答える。また、あまり地域の細かい問題で詳細について把握していない場合は、同席している地域担当の幹部職員が代わって答える。それでも返答出来ない場合もあって、それは後日、調査の上で連絡して答えるようにしている。ただし、車座集会の趣旨は、身近かな行政と住民との「質疑応答」ではない。全方位的に声を聞くことで、各領域についての区民の関心の濃淡を知り、区政の到達状況と住民からの評価を体感していくことにある。

 日本のメディアは「地方の時代」などと言いながら、ボトムアップの政策形成にはまったく興味がないようだ。いや、まずその概念がないのかもしれない。リーダーシップとは食いつきのいいスローガンやプランをぶちあげて、トップダウンで「やってみせます」と大向こうを切るようなやり方が大衆的で受けると決めてかかっているような気がする。今日の車座集会の参加者が終了後に言ってくれたのは、「これは民主主義の実験ですね」という言葉だった。また、別の参加者からは発言の中で「こういう区民が直接発言して区長と意見のやりとりをするようなやり方はいいので、是非続けてほしい」という発言もあった。

 そもそも意味や意義を感じなければ土曜日の2時間を費やして参加することもないので、「こんなの意味がない」という人はいないことは割り引いて考えなければならないが、一所懸命やっているところだから「いいですね」と言われれば嬉しい。嬉しいが、区長の仕事の中で、この車座集会ほどに疲れる2時間はない。ようやく今日で18回、あと9回で終了というゴールも見えてきた段階で、もう一周まわってくれと声援を送られるようなもので、嬉しいけれど実現には壁がある。

今年は世田谷区の20年後の「基本構想審議会」の議論が始まっている。車座集会は、参加者の住所が開催場所のご町内に限られている。「街づくり」「若者・雇用」「教育」「文化」「福祉」「介護」「子育て支援」などテーマ別、あるいは年齢層別、仕事別の車座集会は世田谷区民に枠を広げてやってみようかと考えている。今年は、テーマ別で50人から100人規模の区民ミーティングを開催し、地域横断的な話しあいもしてみたい。

こつこつと対話の場を積み上げ、これまで意見のやりとりさえ遮断されてきた回路を回復するようにしていきたい。



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