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片品村役場から見える尾瀬大橋は戸倉ダム開発のシンボルだった

今朝は、早朝からテレビ朝日『スーパーモーニング』のスタッフと「戸倉ダム」取材に出かけた。『週刊朝日』の記事を読んだ読者からメールをもらい、八ッ場ダムと同時期に計画・立案されて6年前の2003年に事業中止となって消えたダムとなった戸倉ダムの存在を知って、10月29日に訪れて記事にした。あれから、ちょうど1カ月が過ぎて、ダムサイト予定地付近に彩りを添えていた紅葉もすっかり終わって、山は冬の手前でひっそりしていた。

 八ッ場ダムをめぐる情勢は、楽観を許さないと昨日書いた。今日、9人の委員の詳しい経歴がメールで送られてきたので、後で紹介するが「河川局による河川局のための人選」であることがよりはっきりしている。ところで、なぜ前原大臣がこのような人選を許したのか。ここで、河川局に一歩譲っておいて、大きく反転する高度な戦略にもとづいてのことなのかと信じたい気持ちだが、半世紀続いた河川行政を転換させるための体制が十分ではないのではないかと危惧している。一昨日、ブログに掲載したリストを水源連からのデータを使って補強すると次のようになる。

「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」委員

宇野尚雄  岐阜大名誉教授(地盤工学)元財団法人・日本地下水理化学研究所所長 堤防のモニタリング委員会委員長 地下水地盤環境に関する研究協議会副座長

三本木 健治 明海大学名誉教授(行政法) 建設省河川局次長で退官(1988年) 日本下水道事業団理事 国立国会図書館専門調査員 かつては水法の専門家としてよく知られていた。

鈴木雅一  東京大学大学院農学生命科学研究所教授(森林水文学・砂防工学)財団法人・砂防フロンティア備推進機構 理事(非常勤) 昨年の川辺川ダム有識者会議委員。「治水上の安全度を満たすダムなし案」が求められている。「ダムなし案は実現可能性がある」と発言。ダムに懐疑的な姿勢を示していた。森林水文学が専門であるが、緑のダムについては積極的な発言はなかった。

田中 淳   東京大学大学院情報学環付属 総合防災情報研究センター長・教授(社会心理学・災害過程論)中央防災会議の大規模水害対策に関する専門調査会の委員 文部科学省科学技術・学術審議会専門委員、同地震調査研究推進本部専門委員、国土審議会専門委員などをつとめる。

辻本哲郎  名古屋大学大学院工学研究科教授(河川工学) 
内閣府総合科学技術会議社会基盤プロジェクトチーム員,河川生態学術研究会木津川グループ代表,水源地生態研究会議委員,社会資本整備審議会河川分科会基本方針検討小委員会委員,国土審議会国土形成計画部会専門委員,自然再生専門家会議委員,環境省環境影響評価制度総合研究会委員,矢作川流域委員会委員長、天竜川流域委員会委員,天竜川ダム再編事業環境検討委員会委員長,土木研究所研究評価委員会委員,国土技術政策総合研究所研究評価委員会委員,東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会総括ファシリテーター,日光川水閘門改築技術検討委員会委員長,生物多様性なごや戦略会議委員ほか


中川 博次  京都大学名誉教授(水理学)社団法人ダム・堰施設技術協会会長 昨年の京都府の淀川水系河川整備計画技術検討会の座長。この検討会では大戸川ダムは評価しなかったが、川上ダムと天ヶ瀬ダム再開発は推進を主張した。専門は 水工水理、 河川構造物となっている。

道上 正規  鳥取大学名誉教授(土砂水理学)財団法人とっとり地域連携・総合研究センター理事長、財団法人ダム水源地環境整備センター理事(非常勤)河川文化についての講演がある。ダム水源地環境整備センター役員

森田 朗  東京大学公共政策大学院教授(公共政策学)
厚生労働省中央社会保険医療協議会公益委員、国土交通省都市再生・住宅セーフティーネットのあり方に関する検討会座長 エネルギー庁水力発電に関する研究会(座長)(2008/1-)総務省政策評価有識者会議座長(2007-)総務省「官民人事交流推進会議」委員(2007/04-)厚生労働省「中国残留邦人の支援に関する有識者会議」委員(2007/04-06)総務省「新しい地方財政再生制度研究会」委員(2006/08-12)財務省財政制度等審議会専門委員、財務省独立行政法人評価委員会委員

昨年の川辺川ダム熊本県有識者会議の委員。意見は、「球磨川流域の市町村は、人口減少などで存続が厳しくなる一方だ。自治体を維持する上で水害のダメージは大きい。だが住民から「洪水から身を守りたい」という声はあまり聞こえてこない。客観的な洪水のリスクを見るのか、住民の意思を尊重するのか。それは知事が判断するしかない」というもの。

山田 正 中央大学理工学部教授(水工学)

国交省 河川水辺の国勢調査アドバイザーグループ 委員(2001.7-)
国交省 利根川下流水面利用協議会
国交省 利根川上流ユニバーサルデザイン指針検討委員会(2003.6-)
国交省 石狩川 流域委員会(2003.8-2008.3)
国交省 水情報国土委員会 委員長(2002.6-)
国交省 独立行政法人評価委員会 委員 (2000.2-)
国交省 独立行政法人北海道開発土木研究所 外部評価委員 (2000.4-)
国交省 「利根川上流生態系保全河道検討委員会」委員 (2003.11-)
国交省 「利根川上流・江戸川河道管理研究会」委員(2003.9-)
国交省 「多摩川景観委員会」(2004.10-)
国交省 「網走湖水質保全対策検討委員会」(2005.6-)
国交省 「災害時要援護者の支援技術方策の関する検討会」委員(座長)(2003.7-)
国交省 「鶴見川流域水委員会」委員(2004.12-2007.3)
国交省 「河川ポンプ整備の維持管理研究会」委員長(2005.1-)
国交省 関東地方整備局 利根川上流リバーカウンセラー(2000.4-)
国交省 関東地方整備局 荒川リバーカウンセラー(2005.4-)
国交省 関東地方整備局 関東地方河川技術懇談会(2005.4-)
国交省 「神田川流域水循環系構想検討委員会」(1998.6-2000.3)
国交省 「網走湖水環境改善施策検討委員会」委員(2005.7-2006.3)
国交省 独立行政法人評価委員会臨時委員(2005.3-2007.3)
国交省 関東地方整備局 「霞ヶ浦有識者会議」 委員(2006.11-2007.10)
国交省 関東地方整備局「相模川水系広域ダム管理事務所総合評価審査分科会」委員(2006.6-2008.3)

*10月20日の読売新聞 抜粋。
山田正・中央大理工学部教授(土木工学) の話「利根川下流の治水基準点の水位ばかりが注目され、支流の水位は議論されていない。吾妻川流域に洪水を制御できる施設はない。2日で計約1000ヽいもの大雨を降らせた東海豪雨のように、近年は予測困難な気象現象が発生しており、それを考慮した治水対策が不可欠だ。長期的には堤防改修も必要だが、当面の費用対効果を考えれば、ダムを含めた治水対策の方が効果的だ。前原国交相は、中止を決めた過程の議論を公開しておらず、大臣自ら科学的根拠を示して説明すべきだ」

*10月31日の産経新聞 抜粋
一方、下流域の自治体だけでなく河川工学の専門家などからも、中止した場合の負担が膨大となる可能性を指摘する声がある。中央大の山田正教授(土木工学)は「『引き堤』に加え、堤防の整備計画自体もガラリと見直されることになる」と指摘する。

〔資料終了〕

以上のメンバーの経歴を見たときに、「八ッ場ダムの57年間」に象徴される河川行政を「見直す」どころか、その「責任者」だった人たちが目立つ。はたして、こうしたメンバーで「河川行政の抜本的な見直し」が出来るのだろうか。「まな板の上の鯉が包丁を握る」ことにならないように、「有識者会議」を相対化する「河川行政抜本改革会議」でもつくって、公開の場でガンガン議論すればいい。上記の人々に「河川行政の転換」を託する気にはなりにくいというのが、正直なところだ。時間があったら、リンクしてある関係団体のホームページも見ていただきたい。河川行政側に立つ「学者」たちに囲まれて、市民・住民の側に立つ学者や研究者の声は届かないのでは、旧政権と質が変わらないなるというのが私の心配だ。

(※委員の方の経歴に間違い、あるいは追加があればお知らせ下さい。訂正・加筆します)

[付録]
八ッ場ダムをストップさせる東京の会
代表 深澤洋子 

署名運動の呼びかけはこちらへ→      

→署名用紙はこちらへ

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(この続きはhttp://www.youtube.com/user/hosakanobuto#g/aをご覧ください)






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