さきほど、文部科学省の担当者から教科書検定調査審議会第2部会日本史小委員会の報告と、教科書会社から訂正申請のあった6社8点の高校日本史の教科書の沖縄戦・集団自決に関しての記述の一覧表を受け取った。続いて、渡海文部科学大臣の談話も発表されて、9・29沖縄県民集会以来の「沖縄戦・教科書検定」問題に政府側の結論が出たかっこうだ。報告は相当に分厚く、まだ精読していないので、詳細な指摘は出来ないが、教科書の記述の中で「軍による命令」「軍による強制」で「集団自決に追い込まれた」という表記は退けられた。一方で、「戦時下の日本軍による住民への教育・指導や訓練」(第一学習社)「敵の捕虜になるよりも死を選ぶことを説く日本軍の方針」(東京書籍)と「集団自決にいたる背景」の記述は書き込まれた。この記述内容をどう評価するのか、沖縄現地や有識者の間で、おそらく判断は分かれるかもしれない。
「朝日新聞」より
沖縄戦の「集団自決」をめぐり、高校日本史の教科書検定で「日本軍の強制」が削除された問題で、渡海文部科学相は26日、教科書会社6社から出されていた訂正申請を承認することを明らかにした。日本軍の命令が直接の原因だったという記述は避けつつ、「日本軍の関与」や「戦中の軍の教育」などによって住民が自決に追い込まれたと記しており、「集団自決が起きたのは、日本軍の行為が主たる原因」と読める内容になった。
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一方で時事通信は「教科用図書検定調査審議会(杉山武彦会長)の意見を基に決定し、各社に通知した。沖縄県側が求めていた検定意見の撤回と「強制」記述の復活は、いずれも実現しなかった」として、今後に火種を残す内容であることを報じている。沖縄の地元紙の報道も『「軍が強制」認めず-検定意見「今後も有効」』(沖縄タイムス)『「軍強制」認めず--3冊関与に後退』(琉球新報)としている。先の検定審議会の「検定意見」が誤りであり、撤回するという構図になっていないことや、それゆえに「軍の強制」を明記しなかったことへの批判も当然出てくる。
渡海文部科学大臣は、午後に発表した談話を「沖縄戦は住民を巻き込んだ国内最大の地上戦である。多くの人々が犠牲になった悲惨な戦いであり、歴史の教訓を決して風化させることのないようにと願う沖縄県民の思いを重く受け止め、これから子ども達にしっかり教えていかなければならないと考える。文部科学省としては、沖縄戦に関する学習がより充実するよう努めてまいりたい」と結んでいる。「悲惨な戦い」の中身はどうだったのか、日本軍は沖縄住民にどのような犠牲を強いたのか、もっと深く歴史を刻んでほしいと思っていたのだが、これが限界なのだろうか。
文部科学委員会で渡海文部科学大臣に「歴史の風雪に耐える談話を」と呼びかけたのは私だ。もう一度、今日発表された資料に目を通し、沖縄現地とも連絡をとって教科書問題を考えてみたい。

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