TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT






 今日まで4日間、自主制作映像ドキュメント『八ッ場ダムはなぜ止まらないのか』のために現地ロケをしていたために、ブログの更新が滞りました。9月29日~30日にも訪れているが、まずは工事が急ピッチで進んでいることに驚く。この情景を見て、ダム工事が止まったと思う人は誰もいない。

 八ッ場ダム工事事務所は「関係者の多忙」を理由に、電話で話す時間も含めて取材拒否だった。(月末には時間が取れると言っているが、再取材するかどうかは決めていない)そのくせ、八ッ場ダム広報センターの「八ッ場館」は、紅葉目当ての観光客で賑わっていて、館内の説明も「ダム本体工事中止」の表記はひとつもない。いかにダムが必要かを説いた政権交代前の展示物のままである。

 かつて水没予定地だった住民の声を聞く作業もなかなか苦労した。
軒先や路上では本音で「ダムが出来ないなら、その方がいいさ」と言ってくれる人も、カメラを前に話すのは逡巡する。また、自民党時代の既定方針通りに「八ッ場ダムをつくってほしい」という人たちは、メディア不信もあるのかなかなか話してくれなかった。

 政権交代後、「50年もかかって出来ないダムなどいらない」という声が、水没予定地の住民からも漏れてきた。それを押しとどめ、「住民の総意はダム建設である」という情報を発信していたのは、ダム事務所であり、国土交通省だったと私は睨んでいる。

 今回の取材で、いちばん不思議だったのは、「このダムに水を入れることはないから」と言われている住民がいることだった。ならば、なぜダム工事をしているのか説明がつかない。八ッ場ダム問題の解決は、1年前よりも困難になっている。それは、官僚の悪智恵で、ダム本体事業を除く工事を「生活関連工事」などと呼んで、旧政権時代の工程表通りに1年間進めてきたことにある。

「ここまで作ったんだから、ダムにしないのはもったいない」と、治水・利水の議論を離れて「既成事実」で強行突破しようという姿勢だろうが、もしかすると「予定通り工事さえ進めば、全体予算の9%の本体工事をしなくとも仕方がない」として、工事費を消化することで地元の反発を和らげ、補償費や工事代金をすべて払った上で「ハイ、これで終わり」というシナリオだってあるのかもしれない。

無駄な公共事業のシンボルとしてストップをかけたはずの八ッ場ダムの現状は、前政権時代よりも悪くなっている。政治が意志と道筋を描いて、「ダム建設中止後」の生活再建案をつくりあげる作業が遅れている。まずは、現実をこの映像ドキュメントで知ってほしい。



企画内容は→「八ッ場ダムはなぜ止まらないのか

予約・申し込みフォーム

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 「東京都青少... 大阪地検事件... »