保岡法務大臣による死刑執行があったという知らせが午前中にあった。総選挙を目前にして、自民党総裁選挙が繰り広げられているさなか、何が何でも「2か月に1度」のペースの死刑執行を行うという既成事実の積み上げに危機感を持つ。夕刻、衆議院第2議員会館で記者会見を行い、下記の抗議声明も法務大臣の下に届けた。
保岡法務大臣の死刑執行に抗議する
死刑廃止を推進する議員連盟会長 亀井静香
事務局長 保坂展人
本日、就任間もない保岡興治法務大臣の手によって、3人の死刑執行が行われた。福田総理が突然辞任し、自民党総裁選挙が繰り広げられている空白をついて、死刑執行が行われたことに私たちは抗議する。すでに、今年になって4回計13人(2月1日3人・4月10日4人・6月17日3人・本日3人)という死刑執行のペースが続いている。国連総会で死刑執行停止決議が昨年12月採択された流れと正反対の「死刑大国」の道を歩んでいるのは明らかで、来年の裁判員制度の実施前に「死刑執行」が日常茶飯事になる社会に移行しつつあることに深刻な憂慮を感じている。
すでに、私たち議員連盟は「死刑判決全員一致制及び終身刑創設法案」を5月にとりまとめ、与野党の議員間で大きな反響を頂いた。裁判員制度が究極の刑罰である「死刑」を国民からくじで選ばれる裁判員が短期間に判断を迫られることについては、「死刑」について存置・廃止の立場を問わずに疑問の声があがっている。次の本格的な国会論戦が始まれば、「裁判員制度の見直し」も含めた議論が必須のものとなっている。死刑制度前半から執行方法に至るまで、国会の責任で国民の前で議論を行い、裁判員が数日間で「死刑」という究極の刑罰と向き合うことの是非も決めなければならないと考えている。
ところが、こうした議論とは別に、鳩山前大臣が築いた「ベルトコンベアー」を維持して機械的・規則的に「死刑執行」を積み上げる法務省の姿勢は頑なそのものである。私たちは、死刑執行に抗議すると共に、裁判員制度をふくめた刑事司法のあり方について、死刑存置・廃止の立場を超えた国民的議論を始める最大の努力を始めたい。死刑執行の日常化と「死刑判決」への市民参加が強要されることは、あってはならない。犯罪の抑止と死刑制度のあり方について真摯な議論を展開することを表明して、抗議声明とする。
2008年9月11日

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