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国連では、北朝鮮ミサイル問題の決議案をめぐって、各国の間でぎりぎりの調整・交渉を続いている。そして、主要国首脳会議(G8サミット)が、ロシアのサンクトペテルブルクで開幕し、ここでも大きなテーマとして議論されそうだ。一方では、イスラエル兵の2名を連行したヒズボラに対する報復・警告を掲げて、レバノンに対しての激しい空爆が始まって、すでに70人近い人々が亡くなっている。この間、小泉総理はイスラエル・パレスチナの両首脳と会い「平和の回廊構想」を示した。日本が中東平和に対して欧米とは違う立場から「紛争解決」にあたるという着想には賛成だが、滞在中にイスラエルの空爆とヒズボラのロケット攻撃など戦闘が拡大傾向となってしまい、具体的なステップを示すには至らなかった。

この間、政府・与党内で浮上した「敵基地攻撃論」は、中期的に見て東アジアの平和をめざす外交にとって、極めて危険なものとなっている。しかし、50年前の政府答弁として引用された部分は、すでに戦闘行為(攻撃)が行われているという前提に立つものであり、「ミサイルを撃つ素振りを見せたら叩く」という先制攻撃論とは一線を画しているという事実だけは確認しておきたい。
 
1956年衆議院内閣委員会鳩山総理・代読船田防衛庁長官答弁は、「我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して死滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだ」というふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最低限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに他の手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるべきものと思います」と述べている。

 ここでは「我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合」という前提条件を置いている。素直に読めば、すでに我が国を攻撃対象国として戦闘行為が始まっている状態を指すのだろう。現在、政府・与党内で浮上している敵基地攻撃論は、こうした前提を欠いた議論ではないのか。

北朝鮮のミサイルが発射されたのは、ウラジオストックに近い沿海州である。今回のようなミサイル発射が、北朝鮮による我が国への攻撃能力を誇示したから脅威であるということは言えても、ただちに我が国への武力攻撃とみなすことは出来ず、もしこの段階で「敵基地攻撃」を実行すれば、「専守防衛」原則を逸脱した軍事的先制攻撃となってしまうことは歴然としている。

国連安保理での折衝が続いている。「敵基地攻撃論」は明らかに近視眼的であり、北東アジア外交にさらにマイナスを加えることにしかならない。しばらくの間、敵基地攻撃論の愚とアジア安全保障の枠組みについて考えていきたい。

(昨晩、暗いところで作成したのでたくさんの誤植がありました。メールで教えてもらいました。これからもよろしくお願いします)

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