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教育再生会議の「第2次報告」に隠された「親学
教育・こども
/
2007年06月03日
6月1日、教育再生会議の「第2次報告」が発表された。前日、内閣官房の同室担当者を呼んで、すでに出来上がっている「第2次報告」を手渡すように強く求めたが、「まだ出来上がっていません」とあいかわらずの秘密主義だった。夜、議員会館のポストに入っていた「第2次報告」の内容はすでに昨日の新聞に報道されているが、「なんだこりゃ」と肩すかしをくらうようなものだった。
「授業時間10%増」のために「土曜日授業」「7時間目の授業」「夏休みの短縮」や、「国立大学9月入学制度」「道徳を徳目として教科化」などが言われている。目を凝らして、第2次報告を読んでみたが、正面からは「親学」に関する記述がない。よく読んでみると、「親の学びと子育て支援」という提言の中に隠れていた。今日は、「学力向上」を中心に「第2次報告」を読んでみたい。
「学力向上にあらゆる手立てで取り組む」
提言1 授業時間10%増の具体策 夏休み等の活用 朝の15分授業 40分授業にして7時間目の実施など弾力的な授業時間設定、必要に応じ土曜日の授業も可能にする
まず「学力低下」が客観的な事実について実証的データが提出されていない。さらに、授業時間を10%増加させれば、平均学力が比例して上昇するというデータもない。小学校の授業時間数は「3872時」、再生会議は国際比較で低いと指摘しているが、国際的な成績比較で注目されているフィンランドは「3876時」でたった4時間の差に過ぎない。小学生の授業時間を10%増で「4259時」とするのが今回の提言の内容だが、そのために「朝の15分」「40分授業で7時間目」「土曜日授業」というのが具体策である。「土曜日授業」は「学校5日制」のみならず、政府が推進してきた「週休2日制」の実施から転換するという内容を含んでいる。私は衆議院本会議で塩崎泰久官房長官にこの点を質しているが、「週休2日制についての従前からの方針を変えるつもりはない」と答弁している。教育再生会議は「内閣」ではない。にもかかわらず、内閣方針とかみ合っていない無責任提言を出すことは慎んでもらいたい。
提言2 今の子どもにとってわかりやすく、魅力ある授業にする 教科書の分量を
増やし質を高める、主権者教育など社会の要請に対応した教育内容・教科再編、全教室でITを授業に活用、「教育院」構想、すべての子どもひとりに応じた教育
「教科書を厚くする」という目に見える改革を提唱しながら、全教室にIT授業を導入する。「IT」時代になって、重い資料ファイルを持ち歩く必要がなくなり、討論の前にデータを見たい時には携帯電話をモバイル端末として使用して確認する時代である。教科書の資料部分は電子化されていくはずである。「教科書をなく
せ」とは言わないが、ITを導入するというなら、「分厚い教科書」が必要だとは思わない。
提言3 教員の質を高める、子どもと向き合う時間を大幅に増やす 社会人採用のための特別免許状の採用促進、授業内容改善のための教員研修の充実、教員評価をふまえたメリハリある教員給与体系の実現、教員の事務負担軽減。
「第1次報告」で「ダメ教員追放」の旗をふって、「教員免許更新制」を提唱して中教審のスピード審議をへて、教育関連3法案提出までいたったことで、110万人の現職教員どころか、415万人の教職員免許を持っているが教壇に立っていないペーパーティーチャーの免許を「失効」「無効」とさせて、「教職の門」を狭くさせた再生会議が何を言い出すのか。教職員免許を所持していない社会人を各県教育委員会の判断で「社会人教員」とする「特別免許状」は、現状では終身免許だが「10年更新」の対象となる。
教員に講習・研修を山のように義務化して、さらに授業時間も増加させて、どうやって「子どもと向き合う時間を大幅に増やす」のか。教員の数を増やし、講習・研修ではなくて、「授業の準備」をする時間を増やすしかない。手足を縛って荒縄で縛って「自由にのびのびと子どもと向き合え」ということ自体に矛盾を感じないのだろうか。
提言4 学校が抱える課題に機動的に対処する 学校の危機管理体制の整備、学校問題解決支援チームの創設、学校・教育委員会の説明責任、全国学調査の結果を徹底的に検証・活用し、教員定数や予算面で支援
唯一、評価できるのは「教員定数や予算面での支援」だが、具体策は書かれていない。政府は、教育に関して予算増をはかることは考えていない。本来なら、この点が提言の冒頭にあるべきであって、「この予算増がなければ一切の提言は実施不可能だ」と前置きするぐらいの話だろう。
OECDの各国国内総生産(GDP)中の教育機関への公的支出の比率は、初頭中等教育(小・中・高) 「アイスランド5・2%」「英国4%」「フィンランド3・9%」「米国3・9%」「イタリア3・5%」「韓国3・5%」「ドイツ2・9%」「スペイン2・8%」「日本2・7%」「ギリシャ2・6%」となっている。大学・大学院の高等教育をあわせたデータとなると最下位となる。
今日は「学力向上」に関わる提言のみを眺めてみた。この他に「道徳の時間」の「徳目」としての教科化や、「小学生に自然体験」「中学生に社会体験」「高校で奉仕活動必修化」などについては後ほどコメントすることにしたい。注目された「親学」については、「親の学びと子育てを応援する社会へ」の中に、隠れている。
・子どもたちの規範意識や「早寝早起き朝ごはん」などの生活習慣については、学校と家庭、地域が協力して身につけさせる。また挨拶やしつけ、礼儀作法についても、子どもの年齢や発達段階に応じ、学校と家庭が連携して子どもに身をつけさせる」
・国、地方自治体は、父親の子育て参加への支援、訪問型の家庭教育支援や育児相談など、保護者を支援する施策を充実する。また、PTAの会合、家庭教育学級や妊婦検診等保護者の多く集まる機会を活用した親の学び、子育て講座、親子が学び遊べる場を拡充する。
・国は脳科学や社会科学などの科学的知見と教育に関する調査研究などを推進し、そこで得られた知見の普及啓発を図り、今後の子育て支援に活用する。
ここで見逃してならないのは「最後に書かれている脳科学」「科学的知見」と書かれている部分であり、「親学」論者の根拠となっている。この「脳科学の科学的知見」なるものについて、親学の再浮上を狙う人々との間で、本当に人間の成長・発達を裏づけていく「子育て指針」の根拠とするだけの水準となっているのかどうか。しっかりした議論をしていく必要がある。
多くの人々が信じている「ゲーム脳」は、専門家の間では相手にされていない議論だが、教育現場にはこうした俗論が入り込みやすい。「脳科学」についても要注意だ。
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