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 昨年夏の衆議院選挙から5カ月が経った。何とも早いもので、「衆議院議員」でなくなってから、それだけ月日が過ぎたということだ。圧倒的な期待とともにスタートした鳩山連立政権も、昨年末の総理自身の「巨額献金問題」と、連日の東京地検特捜部による「小沢幹事長捜査」の大々的な報道で支持率を降下させている。まだ、自民党が支持率回復に至らないことが特徴的でもあるが、多くの人々の間に「既成政党不信」が広がっていることは事実だろう。

「政治とカネ」の問題について厳しい違和感を持ちながらも、政治の場面から伝わってくるメッセージが、「経済」「雇用」「年金」「医療」など生活に直結するテーマが少ないというのも、一種のシラケが広がりつつある理由だろう。これは、政権の問題であると共に、政治報道の問題だ。今回の政権交代は、明治以降の「官僚統治システム」に大きな風穴を開けた。「政治主導」という言葉も、たびたび官僚自身の中から語られるようになった。

 しかし、いまだに官僚主導の役所のひとつが法務省だろう。法務省の外局が検察庁だが、「捜査の可視化法案」を閣法として提出する作業も遅々として進まない。足利事件での菅家さんの取り調べの録音テープが裁判所で再生され、身をねじらせて苦痛に耐える菅家さんの姿が痛々しかった。元検察官は、法廷で菅家さんに一言謝罪することもしなかった。これが、法務・検察のダメなところだ。ミスをミスとして認めることが出来ない組織が、劣化していることは論を待たない。

 裁判員制度を導入した司法制度改革で、「検察官の起訴便宜主義の見直し→起訴陪審の導入」を検討した中村正三郎元法務大臣は、大臣室の机の中に法務大臣権限で入国許可したシュワルツェネッガーのサインを隠し持っているという「極秘事項の暴露」にあって、法務大臣を更迭された。野党議員や新聞記者が、法務大臣の机に近づけるものではない。まさに、法務省内部からの「リーク」で失墜したと言えるだろう。

 犯罪事実を前に、「起訴」「起訴猶予」「不起訴」の判断は、検察官の裁量に委ねられている。独任官庁とも呼ばれて、たいへん幅広い権限が与えられている。中村元大臣は、この判断に「市民の判断」を導入出来ないのかというもので、至極もっともな提案だった。事後的に審査をする「検察審査会」は存在するが、司法制度改革の議論の時には議決結果の強制権がなかった。検察がクジで選ばれた市民らが構成する「検察審査会」の議決を参考にするという扱いに過ぎなかった。

さらに、裁判官・弁護士ともに不祥事を起こしたとか、告発を受けた場合は、これまでより厳しい内部処分をする制度に改められた。しかし、どんなに強引な捜査やでっち上げをやっても検察官が処分されることはない。「検察官適格審査会」という噴飯ものの審査機関があるのを読者は御存知だろうか。日弁連会長や法曹界の有識者、4人の衆議院議員、2人の参議院議員ら11人で構成される。前出の「検察審査会」とよく似た名称で間違える人も多いが、「検察官の適格性」を審査する場である。国会に設置されている裁判官訴追委員会・弾劾裁判所の「検察官版」ということになるが、橋本内閣の省庁再編のどさくさに紛れて事務局設置の場が総務庁から法務省に移動した。

さて、年間予算がいくらかと聞いて驚く。なんと16万円程度というのだから話にならない。戦後、この「検察官適格審査会」が不適格認定して免職にしたのは、失踪してしまった副検事に対してただの1度きりだ。『子どもと法21』というサイトに「亀チャンにも言わせて」という文章があり、私が国会で問題にしてきた内容を紹介してくれているので、以下紹介しておく。

[引用開始]

「検察をチェックするのは誰か 2」

 検察官を直接チェックする仕組みとして「検察官適格審査会」なるものがあります。これは検察庁法23条を直接の根拠として同法と検察官適格審査令によって法務省に置かれている(ことになっているが…)ものです。現在、審査会の委員は11名で衆議院議員4名・参議院議員2名・最高裁判事1名・日弁連会長・日本学士院会員1名・司法制度に関する学識経験者2名で構成されています。任期は2年で、会長は互選により決められます。

また、同様の構成による予備委員が11名任命されています(任期2年)。委員および予備委員は法務大臣によって任命されます。審査会は、検察官が心身の故障、職務上の非能率その他の事由によりその職務を執るに適しないかどうかを審査し、その議決を法務大臣に通知します。

審査は、①すべての検察官について3年ごとに行う定時審査、②法務大臣の請求によって各検察官について行う随時審査、③職権で各検察官について行う随時審査の3つの場合があります。③については、市民から特定の検察官について審査してほしい旨の申し出があった場合、審査会において随時審査に付すかどうか決定することになっています。

審査会は9名以上の出席がなければ開かれず、議事は出席者の過半数で決します(検察官適格審査会令5条1項・2項)。また、捜査中の犯罪事件についてでなければ、必要があるときは法務大臣または検察の長に対して書類の提出を求め、もしくは必要な事項の報告を徴することができます(同令6条)。さらに、審査に付された検察官およびその検察官が所属する検察庁の長を会議に出席させ意見を述べさせることもできます(同令7条1項)。

●これでいいのか

検察官適格審査会は制度上存在していますが、実際には機能しているのでしょうか。答はNO です。2003年12月19日明治大学で元衆議院議員保坂展人氏の特別講義がありました。そこに参加したとき、保坂氏が持参した資料『衆議院議員保坂展人のザ・質問2』(社会新報号外)の79頁以下に2003年5月23日衆議院法務委員会での検察官適格審査会に関する同氏の質問の記録がありました。

それによると、法務省に関係する資料をたのんでも資料自体が出てこない。同氏が官房からもらった平成1993年から2003年までの「検察官適格審査会の受理・処理件数調」では、受理件数の被申し出人(申し立てられた検察官)の累計が291人なのに対して処理件数でみると121人で170人が消えている、2003年・2001年・1997年は審査会自体が開催されていない、体調不良のため会長が不在でも会長代理がいないまま、過去50年で不適格認定は1名だけ(行方不明になった副検事)、などなど不思議なことばかり、一体何をしているところなのかとしか言いようがありません。

大臣官房長の答弁によれば、受理と処理の人数が会わないのは、一般からの申し出があった場合に審査するかどうか法務省大臣官房人事課において事実関係を調査してふるい分けすることや、その年に処理できないことがあるためということらしい。保坂氏は、審査機関が審査する前に大臣官房サイドでふるい分けるのでは審査機関たり得ないし、その年に来た訴えを2年後に処理するようでは訴えの実効性がないと反論していました。

私もその通りだと思います。特別講義後、保坂氏と私の恩師と大学院生とともに昼食を食べたとき、審査会について尋ねたところ「簡単に言うと実体が全くない、機能していないということですよ」との答が返ってきました。ちなみに、2003年度の審査会の予算は15万8000円だそうです。ほんとうに何をやっているのでしょうか。__

[引用終了]

これは、2003年の時点での国会での取り組みをもとに紹介してくれた文章。数年前にも聞いてみたが、予算も同じようなもので人手も労力もかけずに、相変わらず蜃気楼のようなものだ。裁判官、弁護士が厳しくチェックされるのに「検察官」だけが独任ならぬ独善に陥ってもノーチェックというのが、自民党政権・官僚統治のわかりやすい姿だった。

 ずいぶん長くなったので今日はこのへんで。

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