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キャンプシュワーブ基地の鉄条網の前で説明を受ける(1月7日)

 激戦の名護市長選挙で、稲嶺進候補(社民・民主・共産・社大・そうぞう推薦)が、島袋吉和候補(現)を1600票差でうち破った。SACO最終合意(96年12月)から13年、名護市民を二分して引き裂いた「新基地問題」の決着はついたと言っていい。鳩山総理も、「ブッシュ追随米国提灯持ち」や、外務省に色濃い米国絶対主義や防衛省の主張する「辺野古以外にない」という圧力に屈しなくてよかった。12月半ばに踏みとどまって考えるという政治決断は正しかった。

 安保・防衛問題を「名護市長選挙」に委ねていいのかという安全保障のプロを自称する人たちに教えてあげたい。「基地を受け入れるかどうか」の住民の意志はすでに12年前に表示されている。それが、「海上ヘリ基地建設」の是非を問う「名護市民投票」(1997年12月)だった。ここで、反対多数であることをもって民意の結論とせずに、市長選挙で当選(1998年2月)した容認派の岸本建男市長が「受け入れ」へのハンドルを切り、迷走が始まった。さらに「受け入れ拒否」の姿勢を決めた大田昌秀知事が、容認派の稲嶺恵一氏に知事選挙で破れ(98年11月)、辺野古新基地は「海上ヘリ基地」から「埋め立て飛行場案」に変わる。

 あれから12年が巡ってきた。そう、沖縄県知事選挙は11月にある。寝ても覚めてもアメリカを見ながら、「日米同盟」「安全保障」で飯を食ってきた安保屋の皆さんに欠如しているのは「沖縄県民の意志」である。名護市長選挙に続いて、沖縄県知事選挙も「新基地建設反対」の与党連合を中心とした候補が勝てば、辺野古は100%消える。地元自治体の市長が「受け入れ反対」を掲げ、県知事も同調すれば「強権着工」するわけにはいかない。

 鳩山総理も、外務省・防衛省の「過去官僚」のお膳立てに乗って、「辺野古建設」を打ち出していたら、「アメリカとの約束」と「沖縄県民の民意」との板挟みになるところだった。「連立を組む少数党の社民党が反対」とだけ伝えられていたようだが、昨年の12月に「辺野古受け入れ」を表明していたとしたら、沖縄の民主党議員も徹底的に抵抗したはずだ。それは、昨年の総選挙で「県外・国外移設」を訴えて勝利した民意に近い存在だからである。

 アメリカ側が「辺野古新基地に代替案はない」と言うのは当然である。なぜなら、「普天間基地の引っ越し」ではないからだ。まず、弾薬庫の存在が大きい。現在は、普天間基地という住宅密集地にある非常識な立地により、普天間から飛び立つヘリ等は嘉手納基地の弾薬庫で実弾を装填している。ところが、今度はそんな面倒なことはしないですむ。更に、大浦湾に軍港が出来る。陸上にある普天間基地にはない要素だ。さらには本ブログで指摘している現在の老朽化したヘリに替わる「MV22(オスプレイ)」が配備され、至近距離にある本部訓練場で「ゲリラ戦」を想定して上陸・鎮圧等の訓練が出来る。こんなに基地機能は肥大化して、とても「移設」という内容のものではなくなっている。

 名護市長選挙の勝利で、幻に近づいている辺野古新基地を蘇生させようと「世論形成」を再組織するための動きも急になるだろう。高江のヘリパットの現状も見ながら、「普天間基地」の今後を考えていきたい。今日は、激戦を制した稲嶺進市長に拍手を送ると共に、名護市民の選択に心からの敬意を表したい。
  
〔新聞記事引用開始〕朝日新聞1月25日

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題が争点になった沖縄県名護市の市長選が24日、投開票され、日米が合意した同市辺野古への移設に反対する新顔の稲嶺進氏(64)=民主、共産、社民、国民新、沖縄社会大衆、そうぞう推薦=が、移設を容認する現職の島袋吉和氏(63)を破り、初当選した。鳩山内閣は5月末までに移設先を決める方針だが、辺野古への移設は極めて困難になった。当日有権者数は4万4896人、投票率は76.96%(前回74.98%)だった。

 1996年末に名護市辺野古が普天間飛行場の移設候補地に浮上して以来、13年余で4度目の市長選。再選を目指した島袋氏を含め、これまで移設容認派が推した候補が3連勝したが、今回は移設反対の候補が1588票差の接戦を制し、初勝利を収めた。

 当選を決めた稲嶺氏は24日夜、「私は辺野古の海に基地を造らせないとの公約を信念をもって貫いていきたい」と明言した。政府が移設先の再検討を進めるなか、市民があきらめかけた「県外移設」の実現に期待する層を引き寄せた。

〔引用終了〕

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