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今日も朝刊には、「柏崎刈羽原発6号炉の「原子炉クレーンが破損している」との報道がある。昨日、東京電力が発表したものだ。また、東京電力の体質を表したさみだれ式発表である。重さ310トン、長さ35メートルという巨大なクレーンが動かなくなってしまったのだ。原子炉本体の圧力容器のフタを吊り上げ、原子炉内の点検をするのに不可欠な装置で点検が遅れるのは必至と伝えている。このニュースを読んで私は、さらに重大な事態がこの後に控えていると感じる。それは、たんなる予感ではない。22日に社民党第2次調査団で視察をした時に聞いた説明をここで再録することで、読者の皆さんにも懸念を共有してもらいたい。

 私たちは、さみだれ式に東京電力が発表している「トラブル」(=炎上・倒壊・破損・漏水など限りなく地震を原因とした事故)が、原発の建屋の外にある施設に集中していることに注目していた。だから、22日の第2次調査団で現地に入る時にも、原子炉の格納容器の中にある再循環配管の様子などを現認したいと強く申し入れていた。中越沖地震で緊急停止したのは、2号機(起動操作中)、3号機、4号機、7号機である。1号機・5号機・6号機は運転停止・点検中だったのだから、格納容器の中は何の問題もないのであれば停止中のものから見たいと要求した。
 しかし、現場で応対した柏崎刈羽原子力発電所副所長(サービスホール館長)は当初、「管理区域は安全管理のために着替えていただいたり、ホールボディカウンターに入っていただくなど、手続きがいります。時間がかかりますよ」と言っていた副所長に「私たちは時間がかかってもいっこうに構いません」と言うと、「今日は中に入ることを拒否します。とにかく入れません」と一方的に理由を示さずに拒否をするのみだった。地震発生後に誰か入ったのかと質問すると、「東京電力・メーカー・原子力保安院の三者は入りました」と答えた。何か、異常はなかったのかと聞くと「目視したところ何の異常もございません」とシラを切る。私は、「これだけの大地震後に「管理区域」の中に入ったのなら写真撮影はしているだろう。今日は理由なく断るというのなら写真を今すぐに見せなさい」と要求した。副所長は「いや、異常がないものですから私たちは写真など撮影していません。何枚撮ってもきりがないものですから」と一枚も写真を撮っていないと語った。

「それなら緊急停止した原子炉の運転データを出してほしい。これは、他の原発事故でもすぐに電力会社は公表しているレベルのものだ」と同行した海渡雄一弁護士が言った。実は、この要求は文書で前日から出してあった。副所長は「検討させていただきたい」と言って視察を終えた3時間後、信じられない説明を始めた。「緊急停止した原子炉の運転データはまだロールペーパーの中にあって、地震後にこのロールペーパーを交換していないものですから今はお出し出来ない状態で、もう少し時間がかかります」だって。

 副所長の説明が口から出まかせであいとすれば、東京電力は緊急停止した原子炉の運転データを1週間も未確認でいるということになる。デジタルデータが瞬時に呼び出せないわけがないだろう。このプラント運転データを提出しないという態度は怪しい。

本日、原子力保安院・さらに東京電力を呼んで説明を求めることにする。22日、私たちは東京電力に対して前もって箇条書きの資料要求・視察要請を出していた。
視察は一部実現したが、資料はまだほとんど出ていない。ここに、資料として添付しておく。

柏崎刈羽原発について調査を行ないたい箇所等について                          社民党柏崎刈羽原発調査団
                        
1 はじめに
 明記した以外は建屋内はできれば定期点検中であった1号炉、5号炉、6号炉のなかで、特に1,6号炉を見せていただきたい。

2 資料と説明の要請
(1)6,7号機の許可申請時の海底活断層評価の方法と結果が誤っていたことは、明らかである。なぜ、このような申請内容となったのかについて説明をお願いしたい。

(2)東京電力は、柏崎刈羽原発の許可申請中では、活断層に起因する地震は、原発の北東20キロメートルの気比の宮断層であり、その地震規模はM6.9とされていた。他方、柏崎平野やその西方海洋では後期更新世以降の地殻構造運動は存在しないと主張していた。新潟県中越沖地震は、このような東京電力の主張に根拠がなかったことを明らかにした。許可は違法だったことは明らかであるから、誤った地震想定によって得られた設置許可は自ら返上するべきであると考えるがどうか。

(3)柏崎刈羽原発のS2地震動は450ガルであるが、新潟県中越沖地震で観測された地震動は水平方向最大で680ガル、鉛直方向最大で485ガルであり、設計によって想定されたS2震動を大きく超えた。S2震動は塑性変形を許容し、塑性変形が発生した場合には再利用しないことが前提であったはずである。この原子炉設備を再利用することは断念するべきではないかと考えるがどうか。

(4)敷地内の地面の地割れ、隆起、陥没などの不陸状況を場所、状況ごとに確認する敷地内の地図に事象発生場所を特定した図面の提供をお願いしたい。

(5)プラント運転データを提出いただきたい。

(6)地震発生時の電源の供給・切り替え状況を説明して欲しい。

(7)1号炉地下5階で大量の漏水が発生し、また漏水が続いているとされるが、その場所、事象、原因を説明されたい。

(8)損傷箇所について一覧表が公表され、ドラム缶の倒れている状態の写真は公開されたが、その他の損傷箇所についても、できる限り、その状況を撮影した写真を提供されたい。

(9)現在の発電所の保全体制を説明して欲しい。地震後の作業員数と通常時の作業員数を明らかにされたい。

3 敷地内管理区域外の見分
(1)変圧器の基礎のずれ、油漏れ、火災箇所の確認、特に3号炉の火災発生した変圧器の地盤の隆起沈降の状況を確認したい。(1号機~3号機、6号機、特に3号機は火災)

(2)主排気筒のダクトのずれ(1号機~5号機)、放射性物質の漏えい(7号機)

(3)給水ポンプの油タンク室内の油漏えい(2号機)

(4)敷地内の地面の地割れ、隆起、陥没などの不陸状況の確認。敷地内の地図に事象発生場所を特定した図面の提供をお願いしたい。

(5)外部電源の開閉所    碍子の状況

(6)非常用ディーゼル発電機及びこれにつながる配管の状況

(7)非常用ディーゼル発電機用の燃料タンクの状況

(8)中央制御室内

(9)タービン建屋と原子炉建屋との接続部(主蒸気系配管、給水系配管)

4 建屋内、管理区域内の見分
前述したように、1,6号炉の内部を見たい。

(1)建屋内3階、中3階の非管理区域に漏えい水を確認、微量の放射能を確認(6号機)

(2)使用済み燃料プールおよびその周囲の溢水の状況

(3)再循環ポンプおよびこれにつながる配管部分、とりわけ配管の交差部分

(4)主蒸気系配管の状況とりわけ格納容器貫通部、逃し安全弁、主蒸気隔離弁

(5)圧力容器スカート部

(6)スタビライザー・ブラケット

(7)格納容器地下ペデスタル 制御棒駆動機構、インコアモニターなどの状況

以上 

[追記]

この記事を書いてから国会議員会館で原子力保安院と東京電力のヒアリングを実施した。ところが約束の時間になっても保安院原子力防災課企画係長が、1名が顔を出しただけ。東京電力は連絡ひとつよこさない。そこで、東京電力本社に急遽、赴いた。

東京電力では国会対策係と原子力施設管理部部長代理が対応した。あらためて、本日の「クレーン損傷」の6号炉の海面側の岸壁部分の視察を東京電力が頑なに拒否していることを指摘し、明後日の正午に発電所に第3次調査で入るから案内をするようにと要請した。ここは、原子炉のある建屋の外であり、1~4号炉が並んでいる部分を視察した後に、先日も立ち入りを求めた場所である。

「私が見ていないので案内することは出来ません」22日の視察の時に、この6号炉の海側部分について「言語明瞭、意味不明」の説明を副所長は続けた。「先生方を案内するには、危険な箇所や現場の状況を私が把握しなければ案内出来ませんので、無理です。私が見ていませんから」と言う。

今日、東京電力で「こんな説明はおかしいではないか。6号炉は地震の直撃で相当の被害が出ていることが、海側と反対側の陸側から見て取れた。幅3~4mの大きな隆起が原子炉建屋に向けて波うっていて、「6号炉の中の検証」を現場でも執拗に求めたが、海側については「時間的な余裕がなかったので、十分対応出来なかった。副所長は見ていないが、他の者が見ている」と東京電力は説明した。ならば、明後日に案内してくれと何度も要請した。

「しばらく待って下さい」と言われて、回答は「案内出来るかどうかお答えをすることが出来ません。おそらく明日も無理だと思います」ということだった。その後、衆議院第2議員会館で社民党原発調査団として報告と記者会見を行った。記者たちの関心は、いっせいに「6号炉海側」の部分に集まった。明日、東京電力から案内出来るかどうかの回答が来る。「出来ない」というのならば、合理的な説明をしなければ許されないと思う。(午後21時20分)






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