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とても不思議なことがある。「メール問題」にふりまわされていた国会だが、私は2年がかりのテーマとして温めていた雇用保険料の無駄遣いに予算委員会で切り込む機会を得た。2月28日に30分の質疑をしてみて、あらためてあきれ果てるような状況にあることを知った。なぜ、雇用保険料の無駄遣いを追及する声がこの国では弱いのか。昨年秋、『官の錬金術』(WAVE出版)を岩瀬達也氏・大川豊氏と共に世に問うたが、さらに「おかしいぞ」という声をあげていきたい。


錦糸町にアビリティガーデンという施設があり、ここを全国に向けて発信するスタジオとして「能力開発セミナー」を通信衛星として送り出し、全国125ヶ所で受信するだけでなくて、「双方向」で各地の会場から質問が出て応答が可能だという「AGネット」と呼ばれるシステムだ。昨年11月10日のブログで、この「AGネット」
を紹介して、年に56回の放送で費やされたランニングコストが17億円にもかかわらず、受講者は一会場あたり10人ほどしかいないという情けない事実を公表した。これがどうなっているのかを問うと、肩すかしのような答弁が返ってきた。

「建設しましてから8年ほどかかっていまして、(機器の)更新の時期がきている。あるいは設備でも一部修理するのも非常に不便という状況になっております。しかも運営費用も3億近くかかっているので廃止するという決断をいたしました」(雇用能力開発機構岡田理事長)と、あっさりやめるのだと言う。

今のところ入手している「AGネット」の整備費は下記の通り。

機器等整備費 1億5754万4千円 (内訳)
スタジオ 4164万3千円
衛星設備 1億219万7千円
双方向通信システム 1370万4千円

AGネット運営費 17億2280万5千円
システム運営費 3億8472万2千円
番組制作費 11億8834万1千円
その他 1億4974万2千円

(厚生労働省調べ・平成12年度~16年度)

これが、昨年春に厚生労働省から入手した資料だが、今回の質問前に新たに同省が提出した資料は数字が違っている。「双方向システム」に着眼して、全国125ヶ所にも衛星アンテナの映像受送信システムを導入した時の設備投資を出してもらっうことにした。

発信施設(生涯センター)設備 4億7948万3千円

受信施設(125ヶ所)設備 8億7225万8千円

総額=13億5174万1千円

当初の10倍に膨れ上がった。この中で「双方向コミュニケーションシステム」が7億円と半額近い。これだけの資金を投入して創った全国125ヶ所の通信衛星による放送ネットワークは、「どうなっているんだ?」と私たちが疑問の声をあげただけで、あえなく撤退するという。

およそ、創造性もセンスもない連中がオモチャのように発注して、議員から指摘されると「廃止を決断しました」というのは、ふざけた話だ。若い世代に1年間でもこの放送ネットを開放するなどの試みをしたら、いくらかは設備投資が生きるのだろうが、そんな工夫もない。当ブログでは、この雇用保険垂れ流し放送の財務実態を詳しく調査していくことにする。

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