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 内申書裁判の原告として、1972年から16年間を過ごした私は、学校現場でおきる「校内暴力」や「いじめ」の事件などの渦中にいる「子どもの肉声」をしっかり聞きながら、子ども向けの週刊誌などでルポを書いてきた。1990年には、留守番電話を使いながら子どもたちの訴えや叫びを記録する「トーキングキッズ」というプロジェクトを始めて、多くの子どもたちの声を受け止めてきた。

 テレビや新聞にこの「トーキングキッズ」が取り上げられると、電話回線がはち切れるほどに子どもたちの電話が増加した。留守番電話はフル回転して「いじめ」や「暴力」で危機な只中にいる子どもの悲鳴を記録している。もし、電話を直接に取ることが出来たらどんなにいいのだろうと考えてみたことがあるが、準備しなければならない電話の台数や電話に出るスタッフの数、そして継続のための資金を考えると、少なくみても年間数千万円は必要で、私ひとりの手に負える額ではないのであきらめていた。

 1995年、私はロンドンで「イギリスのいじめ事情」を取材していた。その過程で、知ったのは『チャイルドライン』だ。24時間子どもの声を受け止め続けているこの民間団体の年間予算額はすでに10億円もあり、訓練を受けたボランティアがイギリス全土からの子どもからの電話に出ているとのことだった。何ということだろう。日本であきらめていたことが、イギリスではもう始まっている。しかも、プリンセス・ダイアナが普段着で事務所にやってきてキャンペーン役を引き受けたのだという。

 そして、3年続けてロンドンで取材を重ねた。特に、1997年5月には故牟田悌三さんを団長とした世田谷の仲間たちと『チャイルドライン』に連日、通いながら組織や運営の実際について幅広く学んだ。96年に衆議院議員となった私は、当時の文教委員会で「チャイルドライン」を紹介し、日本にも拡げるべきだと訴えた。議員の間で反響が広がり、それならぜひ『チャイルドライン』を見てこようということになり、超党派の視察が実現した。
 
 2000年にチャイルドライン支援センターが立ち上がり、10年を費やして全国にネットワークを拡げて、昨年はフリーダイヤル化が実現し、約25万人の子どもたちがアクセスしてきた。ところが、フリーダイヤル化したことで企業からの寄付金が減っているチャイルドラインは赤字になりそうだという。イギリスのようになるには、まだまだ道は長いが大切に育ってほしい活動だ。


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