アメリカのバージニア州で発生した銃乱射事件は、32人の若者の生命を奪った。無差別大量殺戮への衝撃は、アメリカのみならず全世界に走った。ところが、イラクでは毎日数10人、ひどい時には100人を超える人々が爆弾とともに吹き飛んでいるのである。シーア派とスンニ派との血で血を洗う殺戮劇は、米軍増派によってもとどまるところがない。
人の生命の重さには軽重はない。イラクで一挙に大量殺戮が起こることは「日常の出来事」となってしまい、私たちはこれが毎日続くことで感覚麻痺に陥り、どれだけ重大なことが起きているのかについて、受けとめることができなくなっているのではないか。
「大量破壊兵器の製造の所持」というイラク戦争前の米英の大義は、完全な虚偽情報だったことが明らかになっている。ブッシュ政権は「イラクに自由と民主主義をもたらした正義の戦争」を主張したが,毎日爆弾が人命を奪っている宗派衝突の内戦状態は、フセイン政権下の「独裁下の市民生活」の基盤を改善したどころか、平和な生活基盤を破壊したことは誰の目にも明らかだ。
このように最悪の道をたどっている米軍のイラク駐留に迎合し、まもなく7月で期限切れになろうとしている「イラク特措法」(「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」)の2年間延長を提案してきたのが安倍晋三内閣である。
陸上自衛隊は撤退し、航空自衛隊がイラクでの輸送業務に就いている。ところが国会で質問しても、この航空自衛隊の輸送内容については「他国の作戦行動に関わる部分があるので発表できない」という理由で、その全てを秘密として出していないことも指摘しておきたい。
人道復興支援を語りながら、その輸送内容が「他国の作戦」とリンクしているのであれば、それは物資運搬でも軍事行動ということになり、イラク特措法にも憲法にも違反しているのは明白だ。今日は、阿部知子議員が衆議院法会議で初訪米に向けて、ブッシュ政権への忠実ぶりに磨きをかけている安倍総理を質した。

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