道路特定財源の行方はあまりに奥が深い。一言で言えば「融通無碍」というしかない。予算委員会での審議が大詰めになる中で、道路特定財源の使途をひとつひとつ調べている。すると、昨日の『日刊ゲンダイ』が報道した道路特定財源を原資とした国土交通省の融資事業から、愛知県名古屋市に地上12階建てのパチンコビルに15億円が貸し出されていることを伝えている。まったく驚くしかないが、天下り財団法人『道路開発振興センター』が「道路開発資金」という貸付制度を通して寺院の不動産ビジネスに融資されたようだ。記事をここに引用することにしよう。
『日刊ゲンダイ』2月28日配信
想像を絶する道路役人のデタラメだ。天下り先でガソリン税を元手にカネ貸しビジネスを展開。坊主に融資した巨額の血税は“パチンコビル”に化けてしまった。
名古屋市中区の大須商店街で、ひときわ目を引く巨大なビル群。地上12階建て、総敷地面積約7000平方メートル、約900台収容の駐車場を誇る「万松寺ビル」である。
地下1階のパチンコ大ホール目当ての車が、地上3~8階の有料駐車場に吸い込まれていく。実はこのビルは、ガソリン税で建てられていた。
施工主の万松寺は、織田信長の父・信秀が天文9年(1540年)に創建した由緒ある寺院ではあるが……。
「大正時代から『万松寺土地』という会社を組織。広大な寺の敷地を転用して、不動産ビジネスに手を染めてきたのです」(地元住民)
道路整備に充てられるはずのガソリン税が、なぜ、利に走った坊主に渡り、パチンコのビル建設に流用されたのか。
「あまり知られていませんが、国交省は道路特定財源を使った融資事業まで行っている。貸付残高は現在1兆7800億円、うち2270億円は天下り財団『道路開発振興センター』を介して、貸し付けたものです」(国交省事情通)
センターの職員はたった8人(うち2人は国交省OB)。にもかかわらず、理事・監事は総勢21人にも及ぶ。元建設大学校長で、約1900万円の報酬を食(は)む中野和義理事長(64)を筆頭に、常勤理事3人が元国交省幹部。非常勤理事には、天下り9法人の理事を掛け持ちする“道路の天皇”鈴木道雄氏(74)もしっかり名を連ねている。
「センターの貸付制度『道路開発資金』は、道路財源と民間銀行の折半で融資される。道路整備に使っているような名前ですが、実態は民間の駐車場や、デパート建設を伴う都市再開発の資金に流れるバラマキ制度。万松寺ビルの総工費は50億円超で“迷惑駐車減らし”の名目で貸し出されました」(関係者)
(後略)
[引用終わり]
道路特定財源がなぜパチンコビルに化けるのか。「道路開発資金の融資対象」を覗いてみると、たしかに「駐車場等整備事業」というのが見て取れる。従って「3~8階の有料駐車場・900台収容」がこのビルにつくられたことで、道路特定財源が流れ込む仕組みとなっている。ジャブジャブと余って「融通無碍な融資」に化けて、1兆7800億円の融資残高を抱えているとすれば「道路特定財源・暫定税率維持」の大合唱が虚ろに聞こえてくる。
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