衆議院予算委員会で、民主党の永田寿康議員が指摘した「3000万円振込指示メール問題」で、その真贋をめぐって自民・民主両党が互いに譲らない展開となっている。自民党は「根拠を示せ」と言い、民主党は「情報源の秘匿と特定口座に対しての国政調査権の発動」を主張している。この問題は、すでに永田議員個人の問題ではなく、全国会運営に影響を与える規模にふくれあがってしまった。
もし、民主党の主張するように「(武部氏次男の)特定口座への振込」があったとしたら、小泉政権の屋台骨を直撃する。しかし、その口座を調査した結果が「振込なし」だとしたら、耐震偽装・米国産牛肉輸入再開・防衛施設庁談合・ライブドア事件の「4点セット」で発足以来、最大の危機と言われている小泉政権の危機は一挙に遠のいてしまう。「野党の追及もいい加減じゃないか」と有権者を白けさせ、「構造改革これでいいのか」「格差社会の矛盾」「政官業の癒着」など必要なテーマを掘り下げる努力まで水をかけられる。
本来は、「メールの真贋論争」が天下分け目の勝負になるという展開はおかしい。小泉氏の好きな「丁か半か」の大バクチ、高く放り投げたコインの裏表で政治の流れを決めてはならない。しかし、水曜日の党首討論で対決するという両党の論争は、私たち少数政党の活動にとっても不可逆的に結果がはねかえってくるから無関心ではいられない。
何人かの関係者に訊ねてみると、「確たる証拠があるという声は出てこない。でも、あれだけ執行部が強気でいるので口座振替の写しぐらいは入手しているのかもしれない」という声や「社会党時代に情報提供者の存在が露顕し、大変な迷惑をかけた事例があるので、今回は慎重に扱っているのではないか」との声が漏れてくる。「メールの様式」「ホリエモンのふだんのメールの扱い」などについて、永田議員の所持していたメールが作為的につくられたのではないかとの指摘もあり、今のところどう言っても推測の域を出ない。
ただ、仮にメールが作為的につくられたものであっても、民主党の言う「特定口座への振込」がなされたのであれば、永田議員の指摘は的外れではなかったということになる。メールの真贋論争から、振込の有無へと私たちの関心も移行している。自民党は口座照会に慎重なようだが、ここまで来れば「真実の決着」をつけるのか、回避・先延ばしするのかが問われるだろう。
明日、予算委員会で都市再生機構の欠陥住宅問題を取り上げるが、落ち着かない空気が委員室に漂っている中での短時間の質問となる。
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