ホクトマンのアドブログ

アドベンチャープログラムを愛するすべての人と、そうでもないすべての人へ。ひとりごと、今思うこと、泣き言、楽しか

風の中のマリア

2013-06-13 | 雑念
百田尚樹著「風の中のマリア」読了

とーても読みやすかった。
オオスズメバチの生態をドラマティックに描く。しゃべる。考える。蜂が。

オオスズメバチの独特な特徴は科学的に描かれながら、意識をもったそれはSFである。

1番はオオスズメバチを見る目が変わるって事。蜂は人間の忌み嫌う存在。しかし蜂目線で見れば2足歩行のホモサピエンスは危険な哺乳類ということになる。

本を読んでいるうちに自分の背中に翅が生えて、森の中を飛んでいた。そして上昇して見ると、こんな小さな世界で生きていたのだと実感する。

セイヨウミツバチとのバトルは羽音がうるさいほど、ブンブン攻撃してくる様子が目に浮かぶ。殺しても殺しても小さなミツバチが襲ってくる。

でも人間が見るスピードではない。恐らくゆっくり見えている。ブンブンの音は相当うるさい。大きな顎でミツバチの首を食いちぎる時の感触や音は想像に難くない。

雨粒は相当ゆっくり、そして大粒に見える。夏の暑さは相当暑い。冬は死ぬ程(本当に死ぬ程)、寒い。

虫目線の物語は興味深い。エネルギー補充の甘露はどんな味だろう。カマキリに挟まれたら痛そうだ。シャキーンって音が聴こえるのかな?

そんな想像力を掻き立てられる作品である。これは教科書に載ってもいい位のクオリティだ。

オオスズメバチのワーカーが何故戦士なのか?何故メスだけなのか?女王蜂のシステムとは?

オオスズメバチという1種の昆虫にここまでドラマがあるという事は、昆虫の世界にはどんな壮大な叙情詩が隠されているのだろう。

こうやって虫好きは生まれていくのかな。この魅力は「ヤバい」な。

この話、映画化しないかな?