大江戸散策徒然噺 Introducing Japanese culture and history

豊かな歴史に彩られた日本の文化と歴史を紹介

木曽路十五宿街道めぐり(其の六) 漆器の里「平沢」~奈良井宿

2015年08月10日 14時14分31秒 | 木曽路十五宿街道めぐり
平沢の町のはずれで本日の歩行距離は9.5キロに達します。私たちは町のはずれで二股に分かれる道筋にさしかかります。
ここで道筋を右手へと進むのですが、これが本来の中山道であったのかは定かではありませんが、この道筋を辿ると奈良井川の流れを間近に見ることができる土手道となります。
奈良井川の対岸は緑濃い山並みが続いています。なんとも長閑な雰囲気を漂わせる道筋です。



奈良井川沿いの土手道を進んで行くと、左手に現れてくるのが「木曽楢川小学校」です。都会ではもう見られない木造の校舎です。さすが木材の産地である木曽ならではの木造校舎です。
校舎の一角には「とんがり屋根」の構造物も!



自然に溢れた木曽に似合う小学校ですが、教室に入ると木の香りがプンプンと漂っているのではないでしょうか。こんな小学校に通う子供たちがうらやましいかぎりです。

木曽楢川小学校を過ぎると、私たちは木曽平沢地区からいよいよ奈良井地区へと入っていきます。
奈良井川に沿ってつづいた土手道も終わりに近づいたところで、私たちは奈良井川に架かる橋を渡り、奈良井地区へと進んでいきます。橋を渡ると道筋は少し上り坂となります。坂を登っていくと、眼下に奈良井川の流れを一望することができます。
そしてその先の中央本線の踏切を渡ると、新しい奈良井の町の家並みが現れてきます。

街道の左手には中央本線の線路と奈良井川が並行して走っています。そんな道筋に現れる「丸山漆器店」を過ぎると、本日の歩行距離はちょうど11キロに達します。





さあ!奈良井宿の古い家並みが近づいてきます。
宿場内に入る前に、町を守るために置かれた鎮守様である「八幡神社」へお参りすることにしましょう。
街道筋から斜めに入る坂道をほんの少し上ると八幡神社の参道石段下に出てきます。

この八幡神社は奈良井宿下町の氏神で、祭神は誉田別尊です。奈良井宿の丑寅の方角にあたり、鬼門除けの守護神として崇敬されたともいわれています。創建は天正年間(1573~92)に勧請されたのが始まりで、当時の領主だった奈良井義高の館から見ると北東にあたり、鬼門鎮護の神社として崇敬庇護されました。現在の本殿は一間社流れ造り、江戸時代末期に建立されたそうです。



そして八幡神社の石段の中ほどのところから右手に延びる土道に沿って、旧中山道の杉並木が残されています。
この道筋は江戸時代の中山道で、現在17本の杉並木が残っています。



この杉並木が途切れるところに置かれているのが「二百地蔵」です。
右手奥の地蔵堂の前には、聖観音をはじめ千手観音・如意輪観音などの観音像が200体近く合わせまつられています。明治期の国道開削・鉄道敷設の折に奈良井宿周辺から集められたといいます。

【奈良井宿概要】
戦国時代に武田氏が定めた宿駅となりましたが、そもそもの集落の成立はさらに古いと考えられています。
慶長7年(1602)江戸幕府によって伝馬制度が設けられて中山道六十七宿が定められ、奈良井宿はその宿場の1つとなりました。



選定地区(※重要建築物群保存地区)は中山道(木曽路)沿いに南北約1km、東西約200mの範囲で南北両端に神社があり、町並みの背後の山裾に五つの寺院が配され、街道にそって南側から上町、中町、下町の三町に分かれ中町に本陣、脇本陣、問屋などが置かれていました。奈良井宿は中山道最大の難所といわれた鳥居峠をひかえ、峠越えに備えて宿をとる旅人が多く「奈良井千軒」とよばれるほどの賑わいをみせていました。



現在も宿場当時の姿をよく残した建物が街道の両側に建ち並んでいます。建物の大部分は中二階建で低い二階の前面を振り出して縁とし、勾配の緩い屋根をかけて深い軒を出しています。

かつて屋根は石置き屋根でしたが、現在ではほとんど鉄板葺きです。二階正面に袖壁をもつものもあり、変化のある町並みを構成しています。奈良井宿は昭和53年5月に国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受け、平成元年には建設大臣の「手づくり町並賞」を受賞しました。

又大きく町並みを修景していないせいか上問屋史料館や杉の森酒造などの大きな町屋だけでなく間口が狭い比較的小規模な町屋、水場や庚申塔、地蔵などの民俗的な側面や社寺仏閣など信仰の場なども残されています。奈良井宿は完全に観光化されていない為、実際に生活している方々も多く、所々で生活感も感じられる大変好感がもてる町並みです。

八幡神社および杉並木の見学を終えて、再び旧街道筋へと戻りましょう。JR奈良井駅を左手に見ながら、ほんの僅かな距離で街道から逸れて左手に入る細道があります。



この細道に入ってすぐ左手に中央本線の線路下をくぐる地下道があります。この地下道をくぐり奈良井川側へと移動します。
地下道をくぐると広い公園があり、公園を横切って進むと前方に太鼓橋が現れます。



この太鼓橋が「木曽の大橋」と呼ばれているものです。橋を渡った対岸には「道の駅・奈良井木曽の大橋」がありますが、道の駅には珍しく、売店など商業施設がまったくありません。

それでは街道風情を醸し出す奈良井の宿内の散策へとまいりましょう。





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