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真夏の鎌倉・江の島探訪 その五 ~江ノ島弁財天と宗像三女神を祀る江島神社~

2015年09月10日 12時38分18秒 | 地方の歴史散策・鎌倉江の島
鎌倉駅を拠点として巡る神社・仏閣は数限りなく、これを虱潰しに見て回ることは物理的にも、体力的にも限界があります。

鎌倉五山にしても円覚寺と建長寺の二寺しか訪れることができませんでした。五山以外にも名刹・古刹があまたあるのですが、これは次の機会に回すこととしました。

そして藤沢に戻る途中、久しぶりに江の島の島内を少し時間をかけて巡ることにしました。
江の島詣ではこれまでに何度か訪れたことがあるのですが、島の入口から江島神社への参道に並ぶ土産屋を除く程度で、詳しく見て回ることはありませんでした。

ということで、古の時代から信仰の対象となっている「江の島弁財天」「宗像三女神」を巡ることにします。

江ノ電の江の島駅から江の島大橋入口までは少し距離があります。この道筋にはたくさんのお土産屋さんや小洒落たレストランなどが並び、歩いていて飽きることはありません。

海岸通りの134号線にさしかかると、前方に江の島が現れます。地下道を使って江の島大橋へと進んでいきます。江の島大橋入口には名勝・史跡江ノ島の石碑が置かれています。

名勝・史跡江ノ島の石碑

江の島大橋は渡り始めて、橋が途切れるあたりまで約550mの長さがあります。

江ノ島大橋

照りつける夏の日差しをまともに受けながら550mの橋を渡り、やっと江の島の入口の青銅の鳥居が私たちを迎えてくれます。

青銅の鳥居

この青銅の鳥居は江の島弁財天信仰の象徴として、もともとは江戸時代の延亨4年(1747)に創建されたものですが、現在の鳥居は文政4年(1821)に再建されたものです。それでも194年の長きにわたってこの場所に立っています。

そしてこの鳥居をくぐると、江の島を代表する江島神社の参道が始まります。狭い参道の両側にはたくさんのお土産屋さんが軒を連ね、店先で海産物を焼いたり、民芸品を並べ、多くの観光客が足を止めて店先にたむろしているので歩くのに一苦労する参道です。

ほんの少し勾配のある参道をのぼり、お店が途切れると石段の上に朱の鳥居が現れます。江島神社の二の鳥居です。

江島神社の二の鳥居

石段を登り、赤い鳥居をくぐると眼前に竜宮城の門を模した瑞心門(楼門)が現れます。

瑞心門(楼門)

瑞心門の意味は人々が瑞々しい心でお参りできるようにと名付けられているそうです。
瑞心門から下を眺めると先ほどくぐった朱の鳥居とその向こうに参道がまっすぐにつづいています。

瑞心門をくぐるとさらに石段がつづき、私たちを辺津宮(へつみや)の社殿へ誘ってくれます。

辺津宮の社殿

さて江島神社ですが、ちょっと説明しましょう。
タイトルに宗像三女神を祀るとなっています。
実は江島神社の御祭神は九州福岡の宗像大社や広島の厳島神社と同神です。

その御祭神は三人の女神さまで江島神社の奥津宮には多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)中津宮二は市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)辺津宮には田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)がそれぞれ祀られています。

これら三女神を江島大神と称し、さらに仏教との習合で弁財天女とされ江島弁財天として古くから崇められてきました。
江島弁財天の功徳としては幸福・財宝を招き、芸道上達の功徳を持つ神であり、さらには海の神、水の神として信仰の対象になってきました。

ですから江島弁財天詣では三女神を祀るそれぞれの社殿を巡ることが必要なのです。そしてぞれぞれの社殿は島内に分散されて置かれているため、かなりの距離を歩かなければなりません。

そしてこの辺津宮(へつみや)の左側に八角形のお堂があります。江島弁財天と染め抜かれた朱色の幟がお堂を取り囲み、お堂の正面には「日本三大弁財天・八臂弁財天(はっぴべんざいてん)と妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)」と書かれた札が掲げられています。

八臂弁財天は源頼朝が鎌倉開幕に際して、奥州の藤原氏の平定を祈願するために奉納したものと言われています。八臂とは八本の腕を持つ意味です。妙音弁財天は別名「裸弁財天」と呼ばれ、裸の弁財天が琵琶を抱えた姿をしています。妙音とは妙なる音楽を奏でるという意味です。

奉安殿

このお堂に報じられている弁財天が仏教との習合による神様で、江戸時代にはこの弁財天詣でのためにお江戸の庶民が多く参詣したのです。

このあたりまでは以前に来たことがあるのですが、これから先の「中津宮」と「奥津宮」への道のりは私にとっては道の領域に入っていきます。

中津宮への標に従って歩くこと5分ほどで市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)を祀る「中津宮」に到着します。社殿につづく参道には江戸歌舞伎「市村座」と「中村座」が奉献した一対の石燈籠が置かれています。

中村座の石灯籠
中村座の石灯籠
市村座の石灯籠

三女神を称して江島弁財天と崇めら、その功徳に芸道上達があることから江戸歌舞伎の一座がこれを祈願して石灯籠を奉献したのではないでしょうか。

社殿は鮮やかな朱に彩られた権現造りで、本殿、幣殿、拝殿から構成されています。

拝殿
幣殿と本殿

さて、中津宮かさらに奥へと進んでいきましょう。道筋は江の島のちょうど裏側の断崖に沿って穿かれているようです。そして若干のアップダウンを繰り返しながら島の一番奥へと進んでいきます。

江ノ島のこんな奥までやってきたのは初めての経験です。中津宮からおよそ10分ほどの距離にあるのが奥津宮です。前方に鳥居が見えてきます。そして鳥居の先に参道がのびて拝殿前へとつづいています。
ここまでやってくる人はあまりいないようで、境内の中は訪れる人もなく静かな空気が流れています。
この奥津宮には奥津宮には三女神の一番上の多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)が祀られています。

奥津宮の鳥居
奥津宮拝殿
拝殿の奥の本殿

三女神を祀る三宮を詣でたあと、本来であれば崖下の岩屋までいって完結するのですが、岩山では急峻な石段を下ること10分もかかるということで、あえなく断念し戻ることにしました。

帰路は道筋を変えて、鬱蒼とした木々に覆われた道を下り、江島神社の朱の鳥居へと戻ってきました。
今回の私たちの鎌倉・江の島の旅は江島神社(三女神)の参詣でひとまず終えることにしました。

真夏の鎌倉・江の島探訪 その一 ~鎌倉大仏~
真夏の鎌倉・江の島探訪 その二 ~鎌倉五山第二位・円覚寺~
真夏の鎌倉・江の島探訪 その三 ~鎌倉五山第一位・建長寺~
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1 コメント

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江島神社の祭神 (iina)
2018-05-04 09:16:57
江の島は、冬に富士山を眺めに行きますが、夏の終わりもにぎやかでいいですね。

こちらは、ていねいにまとめられていました。
当方からは、江島神社の祭神をこちらとダブりますが調べ上げました。

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