大江戸散策徒然噺 Introducing Japanese culture and history

豊かな歴史に彩られた日本の文化と歴史を紹介

坂本龍馬の寺田屋と黄桜記念館 Teradaya-inn in Fushimi, Kyoto

2017年11月28日 11時25分23秒 | 行く秋の京都探訪
Teradaya is a long-established inn where, toward the end of the Edo period, Ryoma SAKAMOTO stayed regularly; it was also the scene of the Teradaya Incident.

京都滞在の最終日(2017年11月25日)、賑やかな京都市内を避けて伏見へやってきました。伏見と言えば「酒造」を思い浮かべますが、酒を飲まない私にとっては酒蔵めぐりは二の次で、まずは坂本龍馬さんゆかりの寺田屋の訪問を優先しました。

伏見寺田屋外観

京阪本線の伏見桃山駅で下車すると、それこそ駅前から立派なアーケード街が始まります。アーケード街は「伏見大手筋商店街」と呼ばれており、活気に溢れた商店街です。雰囲気的に観光客相手ではなく住民の方々が利用するための商店街のようです。

この伏見大手筋商店街のアーケードが途切れると角に三菱UFJがあるので、この角を左に曲がります。すると別のアーケード商店街が始まります。このアーケードは納屋町商店街と呼ばれています。さきほどの大手町商店街に比べると、すこし地味な感じのするアーケード商店街です。

この納屋町商店街のアーケードが途切れると、この先で龍馬通り商店街と名前を変えます。龍馬通り商店街はアーケード様式ではなく、ほんの少し古さを感じる商家が並んでいます。

龍馬通りの看板

龍馬通り商店街はそれほど長い道筋ではなく、あっという間に終わってしまいます。この龍馬通りが途切れた場所を右へ折れると、旅籠寺田屋が姿を現します。

そもそも寺田屋とは江戸時代に京都と大阪の間の通船である「三十石船」の京都側の発着地に寺田屋浜という船着き場を持つ大きな船宿でした。そんな寺田屋は江戸末期の維新前夜の頃、薩摩藩の定宿に指定されたことで、西国雄藩の志士たちの「溜り場」になっていました。

時は幕末の文久2年(1862)4月23日、ここ寺田屋に討幕の急先鋒であった薩摩藩急進派と他藩の志士たちが集合しました。これを知った薩摩藩主・島津久光は「そのような暴挙はことを誤る」として、薩摩藩の鎮撫使を寺田屋に差し向けるも、急先鋒派の志士の考えを断念させることができず、斬り合いとなり急進派9名の志士がここで犠牲になったのです。
この事件で犠牲となった9名の志士を記念する「薩摩九烈士碑」が寺田屋の右手の小さな広場に置かれています。

薩摩九烈士碑

そしてこの寺田屋と深いかかわりをもつ人物として、維新の立役者である坂本龍馬さんがいます。
龍馬さんは薩摩藩の紹介で寺田屋を京都における定宿として利用していました。

そんな龍馬さんはここ寺田屋に投宿中に最大の危機を迎えています。時は明治維新の2年前の慶応2年(1866)1月24日のことです。
龍馬さんは寺田屋の梅ノ間に投宿中、伏見奉行所の幕府役人に襲撃されました。龍馬さんは愛用のピストルで応戦しつつも、重傷を負いながら、からくも脱出に成功し、隣家の雨戸を蹴破り裏通りに逃れ、材木納屋で救援を待ち、最終的に薩摩藩に保護されています。
そんな襲撃をいち早く龍馬さんに知らせたのが「お龍さん」です。お龍さんは入浴中に襲撃を察知し、素っ裸で龍馬さんの居る2階の梅ノ間に駆け込み急を知らせたといいます。

幕末を彩る事件の舞台となった寺田屋さんは現在は伏見の史跡となっており、内部の見学もできるようになっています。

◆見学の案内
見学の時間:10:00~16:00
入館料:大人400円



入館券

それでは寺田屋さんの見学とまいりましょう。

上り框からみた入口
2階へつづく階段
階段脇の龍馬さんの写真
2階の客室
2階の客室
2階客室
柱に残る弾痕
柱に残る刀跡
旅籠の看板

さて次の部屋は龍馬さんが当寺田屋さんで愛用した「梅ノ間」です。龍馬さんがこの部屋で新しい時代への構想を練り、愛しいお龍さんと将来を語り合ったことを思うと感慨深いものがあります。脇息が置かれていたので、ちょっとお借りして記念撮影をしてみました。

梅ノ間

床の間に懸けられた絵像はまぎれもなく龍馬さんです。この絵は風雲急を告げる幕末に東奔西走する龍馬さんの身に忍び寄る殺気を感じた女将のお登勢が町の絵師に描かせたものです。

そして1階の風呂場へとつながる階段です。この階段を降りると小さな風呂場があり、お龍さんがこの風呂場から着の身着のままの姿で飛出して2階にいる龍馬さんに危険を伝えたのです。

風呂場へつづく階段
風呂場

寺田屋さんでの感動的なひと時を過ごした後、せっかく伏見に来たので酒造・黄桜に立ち寄ってみることにしました。寺田屋さんから龍馬通りに戻り最初の角を右に曲がると黄桜があります。

黄桜
黄桜
黄桜

伏見の見学も終わり、そろそろ昼食の時間となりました。ここ黄桜のカッパカントリーには食事処が併設されているので、昼食をいただくことにしました。

黄桜カッパカントリー

伏見に行かれたら是非、黄桜カッパカントリーでお食事をお勧めいたします。お店の雰囲気も格調高く、ゆったりとした気分で食事を楽しむことができます。ご予算的にも非常にリーズナブルで、もちろん味も良し。私はアルコールドリンクについては詳しくないのですが、このレストランには黄桜オリジナルビールの飲み比べセットなるものがあります。連れが申すには、なかなか美味しいビールとのこと。

◆キザクラカッパカントリー 黄桜酒場
 http://kizakura.co.jp/restaurant/country/index.html
◆電話:075-611-9919
◆住所:〒612-8046 京都府京都市伏見区塩屋町228
◆営業時間
月~金 11:30~14:30 (L.O.14:00)、17:00~22:00 (L.O.21:00)
土・日・祝 ランチ 11:00~14:30 (L.O.14:00)、17:00~22:00 (L.O.21:00)





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御室御所・仁和寺の秋景 The Highest Ranking Monzen Temple, Ninna-ji in Autumn

2017年11月28日 07時52分24秒 | 行く秋の京都探訪
The first day of my stay in Kyoto this year starts from Ninna-ji Temple, a famous temple in Rakuhoku area.
If you are visiting Ninna-ji Temple, starting from Kinkaku-ji temple, we recommend the route leading to Ninna-ji temple via Ryoanji temple, walking through
the Kinukake-no-michi Rd
.

秋深まる京都滞在の第一日目(2017年11月23日)は洛北の名刹である仁和寺から始まります。実は昨年、大徳寺、今宮神社、金閣寺、龍安寺を辿り、最後に仁和寺を詣でたのですが、仁和寺到着後、にわかに雨が降り始めたため、境内の散策や御殿なども見ず、早々に退出していました。
今回の仁和寺訪問は天候に恵まれ、さらに紅葉の真っ盛りの時期ということで絶好の機会を得ることができました。

仁和寺の巨大な山門は仁王門(重要文化財)と呼ばれ、左右に阿吽の二王像が置かれています。石段を上り仁王門をくぐり境内へと進んでいきます。

仁王門

境内図

仁和寺は平安時代に第58代光孝天皇(884年)が西山御願寺として創建されたのが始まりで、その後、仁和4年(888)に宇多天皇が先帝の遺志を継いで、仁和寺を完成した歴史があります。宇多天皇は退位後に出家し仁和寺に住まわれました。これ以降、明治維新まで仁和寺は皇子皇孫が門跡となったことで御室御所(おむろごしょ)と呼ばれるようになりました。現在、仁和寺は真言宗御室派の総本山です。もちろん世界遺産に登録されています。

前述のように天皇家の皇子皇孫が仁和寺の門跡を務めたことから、境内には塀で囲われた御殿(宸殿)が備わっています。てっとりばやく言えばお寺の境内に「御所」が置かれているといった感じです。

私たちはまずは「御殿(宸殿)」の見学から始めることにします。御殿(宸殿)入口の受付で拝観料を納めます。
拝観料は御殿(庭園)は500円です。

入口を入ると、右手に白洲御門が現れ、その先に立派な大玄関が構えています。

白洲と御門
大玄関

大玄関で靴を脱ぎますが、靴はビニール袋に入れて持ち歩かなければなりません。

御殿(宸殿)へ一歩足を踏み入れるとすぐに「宸殿南庭」が眼前に現れます。この南庭は白砂が敷き詰められた簡素なものですが、御所の前庭といった感じです。庭の左側に宸殿が配置され、右近の桜と左近の橘が置かれています。

南庭を望む
南庭
南庭と宸殿

廊下を進むとすぐ左側に白書院が現れます。

白書院

白書院から黒書院のある棟へと移動していきます。

黒書院の棟

黒書院の棟のさらに奥には霊明殿(れいめいでん)が置かれています。霊明殿には歴代門跡の位牌が安置されています。

霊明殿

霊明殿から宸殿棟へと移動していきます。

霊明殿から宸殿を望む

宸殿棟の廊下からは御殿の中で最も美しいとされる北庭を望むことができます。北庭は池を配し変化に富んだ景色を楽しむことができます。御殿のお庭は錦繍の彩りがそれほど目立ちませんが、木々越しに見える五重塔の姿は絶景です。

北庭
北庭
北庭
北庭

御殿の見学を終え、仁和寺境内の散策を始めることにします。

まずは境内を貫く参道を進み中門(重文)へと進んで行きます。

中門
中門

中門をくぐり、御殿の北庭から眺めた五重塔へ向かいます。楓の色づきが少ない仁和寺境内にあって、僅かながら紅葉を楽しめるのが五重塔の周辺です。

五重塔
五重塔
五重塔
五重塔

五重塔から緩やかな石段をのぼり国宝の金堂正面へ進みます。金堂は仁和寺の御本尊である阿弥陀三尊を安置しているお堂です。この建物は江戸時代の寛永年間に京都御所内の裏紫宸殿を移築したもので、宮殿建築様式を今に伝える貴重なものです。

金堂への石段
金堂

金堂へとつづく石段周辺にも美しく色づいた紅葉が境内に彩りを添えています。





1年ぶりの仁和寺訪問を終えて、それほど離れていない場所に堂宇を構える臨済宗大本山・妙心寺へと向かいます。





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錦繍織りなす東福寺の紅葉 A Grand Zen Temple And Beautiful Ravine, Tofuku-ji Temple

2017年11月27日 17時38分55秒 | 行く秋の京都探訪
I went to Tofuku-ji temple, one of the most famous autumn leaves spot in Kyoto.
The gate opened at 8:30 am and I arrived in front of Tofuku-ji gate in time for this time.
To my surprise, there was a long line of visitors waiting for entry along the way to the gate. But don't worry. You can enter smoothly after opening the gate.

京都の紅葉スポットとして一二を争う東福寺へ朝一番で出かけました。開門が午前8時30分ということで、この時間に合わせて東福寺門前に到着したところ、すでに長蛇の列。さすが京都の紅葉の名所だけのことはあります。

東福寺は京都五山の一寺で臨済宗東福寺派の大本山であると共に、日本最古にして最大級の伽藍を誇る大寺院です。
約7万坪の境内に約2000本の楓の木があり、紅葉の季節には全山錦繍の彩となり、京都の紅葉絶景スポットとして人気があります。

境内の通天橋は東福寺のシンボル的存在で、橋上から眺める紅葉はまさに絶景です。
東福寺の拝観時間は11月から12月初旬は08:30~16:00、12月初旬から3月末までは09:00~15:30です・
拝観料は通天橋・開山堂は400円、東福寺本坊庭園は400円

さあ!それでは東福寺の紅葉を紹介いたします。(2017年11月25日)









































見事な東福寺の紅葉はいかがでしたか?私たちの今回の京都旅行では東寺の紅葉ライトアップとここ東福寺の紅葉見物の二か所を楽しみました。このほか京都にはたくさんの紅葉スポットがありますが、これ以上の紅葉見物は体力的に限界があります。
来年、同じ時期に京都を訪れることがあれば、別の紅葉スポットへ出かけてみたいと考えています。





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漆黒の夜空に浮かび上がる東寺の塔と紅葉 A Dynamic Temple in The Nara-period Style, Toji Temple

2017年11月27日 16時17分44秒 | 行く秋の京都探訪
The trip to Kyoto this time is the end of November, the city's famous temples and shrines are crowded with people who love autumn leaves.
Toji, one of the famous places of autumn leaves, has gained explosive popularity with JR Tokai posters and TV commercials.

Let's introduce the beautiful light up of Toji Temple.
In particular, the five-story pagoda that appears in the dark of jet black is a masterpiece.

今回の京都旅行は11月下旬ということで、市内の名だたる寺社は紅葉を愛でる人たちでごったがえしています。そんな紅葉の名所の一つである東寺はJR東海のポスターやTVのCMで爆発的な人気を博しています。

その人気の理由が東寺のライトアップです。これまで何回も京都を訪れているのですが、どういうわけか東寺には訪れる機会がありませんでした。おそらく京都駅に近いので、いつでも行けると思い込んでいたふしがあります。
今回、前述のJR東海のポスターやTVのCMのお蔭で、やっと東寺を訪れてみようという気持ちになったのです。

本来であれば昼間の明るい時間帯に訪れて境内をゆっくり散策するほうがいいのですが、今回は東寺のライトアップを目的としての訪問です。ライトアップの時間帯が午後6時30分からということで、その時間に東寺に着いたのですが、すでに長蛇の列ができており、その列の長さは軽く400mを超えています。おそらく1000人以上がすでに並んでいる感じです。並ばなければ入れないので、仕方なく列の最後尾へと進んでいきました。行けども、行けども最後尾に到達しません。

さすがJR東海の宣伝の効果大といったところです。最後尾に並ぶと同時に、列は動きだし、それほど待つことなく入場することができました。入場前に塀の外から東寺の五重塔を写真に収めてみました。入場料は一人1000円です。

東寺のパンフレット
拝観券
東寺の五重塔

入場料を納めて境内へと入るや、そこはまったくの別世界が私たちを迎えてくれます。境内全体がライトアップされているといった感じです。電球のイルミネーションではないので点滅はしませんが、木々の紅葉に照射された光の色によって色合いが異なって見えます。
境内の池に光に照らされた紅葉が浮かびあがる様は幽玄そのものです。









そして圧巻は漆黒の闇に浮かび上がる黄金色に輝く五重塔です。雲一つない夜の空にひときわ光り輝く五重塔はイリュージョンの世界です。間近にみる光り輝く五重塔に一瞬、言葉を失います。現在の五重塔(国宝)は江戸時代の正保元年(1644)に三代将軍家光公の寄進によって建立されたものです。











この時期、京都市内の名だたる寺社ではライトアップが行われているようです。すべてを見て歩くにはいきませんが、ここ東寺のライトアップはおそらく一二を争うくらいの出来栄えではないでしょうか。





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奈良・御笠山の大社、春日大社 Kasuga Grand Shrine in Nara

2017年11月27日 13時06分05秒 | 行く秋の奈良探訪
Built as the family shrine of the Fujiwara Family, Kasuga Shrine has become famous for its graceful wisteria blossomes which almost sweep the ground at the south
side of Utsushidono Hall.
The rows fo approximately 2,000 stone lanterns along the pathways, and the over 1,000 hanging lanterns of the Main Hall and cloister create a breathtaking spectacle of lights.

奈良斑鳩里・法隆寺から奈良市内へ戻ってきました。というのもこれまで一度も訪れていなかった春日大社へ詣でることを目的としました。私の記憶によると中学時代の修学旅行でも春日大社は含まれていなかったのです。そんなことで何はともあれ、JR奈良駅から市内行のバスに乗り、春日大社表参道まで移動することにしました。

春日大社は御笠山の中腹に社殿を構える神社ですが、山麓から社殿まではかなりの距離があります。私たちが乗ったバスの春日大社表参道停留所は山の麓にありました。ここから1キロほどの距離を歩いて、御本殿まで行かなければなりません。
参道を進んで行くと、あちらこちらに鹿が群れて、観光客の鹿せんべいを狙っています。市内に戻ってくると、さすがに観光客の数は増えて、春日大社の参道には日本人より外国人の方が多く、さまざまな言語が飛び交っています。

そんな様子を見ながら、なだらかな坂道を上っていくと、二の鳥居にさしかかります。

二の鳥居

この二の鳥居の手前に「世界遺産 古都奈良の文化財・春日大社」の石碑が置かれています。

春日大社の石碑

ここまでくれば御本殿まではほんの僅かな距離です。鳥居をくぐり、なだらかなスロープを進んで行くと左手に朱色の南門が現れます。南門は春日大社正面の楼門で、大社境内で最大の門です。

南門

南門をくぐると右手に拝観受付があります。ここで拝観料(500円)を納め、いよいよ朱色と吊るし燈籠で有名な回廊へと進みます。
回廊へ進む途中に中門・御廊(ちゅうもん・おろう)が現れます。中門は御本殿への楼門です。御廊は中門を中心にして左右にのびる建造物です。見事な造りなので御本殿と間違ってしまいます。

中門
中門

私たちは東回廊へと進んで行きます。春日大社といえば、回廊と吊るし燈籠と言われるほど有名になっています。その回廊は見事なまでの鮮やかな朱色で塗られ、あまりの派手さに感動以前に若干の違和感すら感じます。

東回廊
東回廊
東回廊
東回廊
東回廊
東回廊

尚、御本殿(内陣)の参拝は現在行われていません。御本殿(四所神殿)は奈良時代の西暦768年に平城京鎮護を目的として創建されたと伝えられています。

◆御本殿に祀られている御祭神
第一殿:武甕槌命(たけみかづちのみこと)
第二殿:経津主命(ふつぬしのみこと)
第三殿:天児屋根命(あめのこやねのみこと)
第四殿:比売神(ひめがみ)

回廊を巡りつつ境内を見ると、紅葉は今まさに真っ盛りで、回廊の朱色と相まって紅葉の色合いがさらに映えています。

境内のモミジ
境内のモミジ
境内の風景

それなりなのか、見事というべきか、歴史的建造物として見る春日大社は一見の価値はあります。そして晩秋を彩る紅葉との競演はこの時期ならではの絶景でした。

春日大社から近鉄奈良駅への帰路、猿沢の池の畔に出てみました。池越しに見る興福寺の塔がまるで絵葉書のような趣を醸し出していました。

猿沢池
猿沢池





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晩秋の斑鳩里・法隆寺伽藍 Horyuji Temple at Ikaruga in the late fall

2017年11月27日 08時46分52秒 | 行く秋の奈良探訪
The five-story pagoda, Kindo, and Chumon of Horyuji Temple, the world's oldest 7th century wooden structure, draws a beautiful line with a gentle roof slope
and reflects in the landscape of Ikaruga-no-sato.

毎年恒例の夫婦での京都・奈良の旅は今回で4回目(2017/11/23~11/25)となります。これまでの旅で奈良は昨年につづいて2度目の訪問です。今回は奈良市内から少し離れた斑鳩里へ足を運びました。

斑鳩里といえば、まず頭に浮かぶのが我が国最初の世界遺産に認定された法隆寺の伽藍です。法隆寺訪問はかつて中学校時代の修学旅行の時に遡るので、実に50年ぶりの再訪です。再訪といっても、当時の記憶はまったくなく、半世紀ぶりとはいえほぼ初めて訪問するような期待感を胸に膨らませながら法隆寺へ向かいました。

京都駅からJR奈良線に乗り、約1時間で奈良駅に到着します。奈良駅でJR大和路快速に乗り換えると3駅目が法隆寺駅です。
法隆寺駅からは奈良交通のバス(72系統)で10分ほどで法隆寺門前に到着します。

雲一つない快晴の空の下、晩秋らしい冷たい空気を肌に感じながら、法隆寺門前の停留所から南大門へとつづく参道を進んでいきます。参道の両側には土産屋や飲食店が並んでいます。はやる気持ちを抑えつつ参道を進んでいくと、法隆寺の玄関にあたる国宝の南大門が現れます。

南大門

南大門をくぐると、法隆寺西院伽藍へとつづく参道がまっすぐに延びています。参道の両側には趣ある土塀がつづいています。

西院伽藍へとつづく参道

本来であればこの参道の一番奥に美しい姿の中門が目視できるのですが、残念ながら中門は修復中ということで建屋に覆われています。中門の脇に「日本最初の世界文化遺産・法隆寺」と刻まれた石碑が置かれています。

日本最初の世界文化遺産・法隆寺の石碑

さあ!法隆寺伽藍の中でも最も見応えのある西院伽藍の金堂と五重塔へ向かう前に、左隣にある国宝の三経院・西室へ行ってみました。

三経院・西室

それでは金堂、五重塔、大講堂、回廊、鐘楼などの建造物が並ぶ西院伽藍へと進んで行きましょう。入口で拝観料(1500円)を納めます。拝観券は西院伽藍、宝物館(大宝蔵院)、東院伽藍(夢殿)に共通しています。

拝観券

法隆寺境内図

拝観受付を抜けると、西院伽藍を囲む長い回廊(国宝)が現れます。等間隔に置かれた柱と壁面の格子が見事なコントラストを見せています。

回廊

そして金堂五重塔が伽藍の中核として圧倒的な存在感を示しています。金堂(国宝)は西院伽藍の中で最古の建造物で、建立時期は飛鳥時代に遡ります。そして五重塔(国宝)も飛鳥時代の創建で日本最古の塔です。そして金堂と五重塔の配置は計算された空間美を演出しています。晩秋のこの時期、観光旅行や修学旅行の団体がいないので、静かな空気が流れる中で法隆寺伽藍を堪能することができました。

法隆寺金堂と五重塔
五重塔
金堂と五重塔
金堂と五重塔
金堂と五重塔

金堂内部にはここ法隆寺の御本尊である金剛釈迦三尊像(飛鳥時代)、金剛薬師如来座像(飛鳥時代)をはじめ、四天王像などが薄暗い堂内に鎮座しています。

回廊を右回りに進んで行くと、角に経蔵(国宝)が置かれています。経蔵はもともと経典を納めることを目的とした建物です。

経蔵

そして伽藍の一番奥にあるのが大講堂(国宝)です。大講堂は仏教の学問を学んだり、法要を行うために建立されたものです。堂内には薬師三尊像、四天王像が安置されています。

大講堂
大講堂
大講堂と鐘楼

後ろ髪を引かれる思いで回廊から退出し、夢殿が置かれている東院伽藍へと向かうことにします。夢殿に行く途中、法隆寺の寺宝を保管する大宝蔵院に立ち寄ります。

西院伽藍には東室(国宝)、妻室(国宝)と呼ばれる南北に長い建物があります。この建物は飛鳥時代創建の僧坊で、法隆寺に住む僧たちが生活をしていました。

聖霊院
妻室

大宝蔵院へつづく細い道筋の右手には高床式の建物があります。この建物は綱封蔵(国宝)と呼ばれているもので、寺宝を保管するための蔵です。

綱封蔵

大宝蔵院は平成10年に完成した新しい建物で、法隆寺の寺宝を代表する百済観音像玉虫厨子をはじめ、数多くの文化財が展示されている博物館です。

大宝蔵院前
大宝蔵院前

玉虫厨子も見応えがあるのですが、百済観音像の優美なお姿とその表情は見るものを魅了します。飛鳥時代にこれほどまでに美しい観音像を造った当時の仏師の力量に感心するばかりです。撮影禁止のため、パンフレットから引用しました。

百済観音像(パンフレットから引用)

時が経つのも忘れて、大宝蔵院の寺宝を鑑賞した後、いよいよ夢殿がある東院伽藍へと進んで行きます。西院伽藍から東院伽藍へは東大門(国宝)を抜けて進んで行きます。参道の両側は古い土壁がつづき、古の香りが漂っています。
法隆寺の境内の特徴として木々に覆われていないため、参道を歩くと空が広く見えます。もちろん電信柱も電線もないので、すっきりとしています。雲一つない青空の下、参詣客がまばらな参道をゆっくりと進んでいきます。

夢殿につづく参道

そして西院と東院の間に置かれているのが国宝の東大門(中ノ門)です。東大門の先に夢殿の甍を望むことができます。

夢殿につづく参道

東大門

東大門を抜けると、いよいよ夢殿山門に到着です。

夢殿山門

夢殿が置かれている場所は聖徳太子の斑鳩の宮の跡で、朝廷の信任厚かった高僧行信(ぎょうしん)が宮跡の荒廃ぶりを嘆いて太子供養の伽藍の建立を発願し、天平20年(748)に聖霊会(しょうりょうえ)を始行したとされる太子信仰の聖地です。

夢殿

この八角円堂の建物が東院のご本堂で、天平時代創建の建造物です。甍の上には宝珠が秋の陽に映えています。このような様式の円堂は日本各地にありますが、ここ法隆寺の夢殿の美しい姿は格別です。

夢殿
夢殿の回廊
夢殿
夢殿の回廊
夢殿

50年ぶりの法隆寺訪問の機会を得て、約2時間を要して西院そして東院の両伽藍をくまなく巡りました。我が国の至宝の建造物である法隆寺伽藍は日本の宝であると同時に世界の宝でもあります。若いときに訪れたときには、それほど興味をもたずに伽藍を眺めていたのでしょう。あれから50年たって、今再びの奈良・法隆寺は圧倒的な迫力と存在感で私たちを迎えてくれました。





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