hiyamizu's blog

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東野圭吾『たぶん最後の御挨拶』を読む

2017年10月25日 | 読書2

 

 東野圭吾著『たぶん最後の御挨拶』(2007年1月30日文藝春秋発行)を読んだ。

 

 本来自分は小説家で、エッセイは苦手と語る著者の5作目にして最後のエッセイ集。

 いろいろな媒体に書いたエッセイが、「年譜」「自作解説」「映画化」「思い出」など7章に分類されている。

 表紙は猫の毛をアップで撮った写真に著者が描いた猫の絵が押絵されている。イラストの猫も作者の描画。

 

「年譜」

 大阪市生野区の時計メガネ貴金属店で3人姉弟の末っ子として生まれた1958年から2006年まで1年毎のメモ。

 高校生で小峰元の『アルキメデスは手を汚さない』に触発されて約300枚の長編ミステリーを書き上げる。(株)デンソー入社後2年、何も決めずにいきなり書き始め乱歩賞応募する。1983年に結婚、その後離婚。この後の各賞への応募経緯、デビュー後の連続落選記録は赤裸々で面白い。

 

「自作解説」

 デビュー作「放課後」から「使命と魂のリミット」までの60作品に著者自身が数行解説している。

「卒業」:雪月花式のトリックが複雑すぎて、自分でも混乱する。加賀恭一郎が登場するが、シリーズ化するつもりは全くなかった。

「眠りの森」:苦手な分野に挑戦しようとバレイを一年で20回位鑑賞し、趣味の世界が広がった。

 東野さんが常に今までと違う話に挑戦しようと工夫、勉強しているのがよく解る。

 

「映画化など」

「秘密」「変身」「手紙」など映画化された作品の裏話。

 

「思い出」

 子供時代、学生時代、サラリーマン時代の思い出。

御曹司の友人と過ごした超貧乏下宿生活のことなどが書かれている。

 

「好きなもの」、「スポーツ」、「作家の日々」

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

「年譜」など自叙伝風に自分を語る部分も多く、ファン(だけ)は十分楽しめる。

 

「自作解説」は1985年の『放課後』から2006年の『使命と魂のリミット』まで各作品の背景、ねらいなどを数行だが率直に述べていて、これもファンにはありがたい。

 

 上手い人のエッセイは、短い文章の中でもじ~んときたり、なるほどと心から共感、納得したりするものだが、この作品ではほとんどそういうことにはならなかった。多分、東野さんの文章は、事実や光景の説明で、自身の感情表現がほとんどないためだろう。 どんどん面白いミステリーを書いてください!

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

コメント
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