hiyamizu's blog

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上野正彦『神がいない死体』を読む

2012年04月11日 | 読書2
上野正彦著『神がいない死体 平成と昭和の切ない違い』朝日文庫う19-2、2012年2月朝日新聞出版発行、を読んだ。

40年以上、2万体以上の検死を行なってきた法医学者が、昭和と平成では死因が大きく変わったと言う。愛憎のもつれからくる殺人が多かった昭和と、動機なき殺人が増えた平成の死体。

めった刺しするのは、犯人が相手を憎んでいるからではなく、相手が抵抗してきたり、起き上がって自分が殺されるかもしれないと必死になって刺し続けるからだという。めった刺し事件は基本的に弱者の犯行なのだ。恨みからもっと痛めつけてやれとする、そんな余裕のある犯人はめったにいない。

妊婦が腹痛で汲み取り式トイレに入り、排便中にこどもを産み落としてしまい、母親も気を失ってしまうことがある。これを「墜落産」という。知的障害を抱えた女性が多い。このとき、へその緒の切り口が引きちぎれたものか、鋭利な切れ目かで故意か切ったかどうかが判断できる。

初出:『監察医が触れた温かい死体と冷たい死体』2009年2月発行



上野正彦
1929年、茨城県生まれ。医学博士。元東京都監察医務院院長。
1954年、東邦医科大学卒業後、日本大学医学部法医学教室に入る。
1959年、東京都監察医務院監察医
1984年、同院長
1989年、退官後法医学評論家
ベストセラー『死体は語る』、『監察医の涙



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

『監察医の涙』に比べ内容が薄い。昭和と平成の死体の差という話もとくに常識の範囲だけだ。
著者も高齢でネタ切れなのだろう、これまで触れなかった「腹上死」を取り上げている。おじいさんが若い女性との浮気中、興奮しすぎて心筋梗塞で亡くなる話は聞いたことがある。腹上死というが、事が終わって眠り、2,3時間後に発作を起こす場合が多いという。女性はくも膜下出血を起こす。未亡人(死語?)が恥ずかしいものを残して亡くなった。息子にはただくも膜下出血とだけを伝えたという。



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