創生相「発言」 「加計ありき」が濃厚だ(2017年7月21日中日新聞)

2017-07-21 09:23:14 | 桜ヶ丘9条の会
創生相「発言」 「加計ありき」が濃厚だ 

2017/7/21 中日新聞
 事業主体公募の一カ月以上前に「加計学園」の獣医学部新設決定が関係者に伝えられていたとしたら、「加計ありき」は否めない。速やかに臨時国会を開き、国政調査権に基づいた究明が必要だ。

 国家戦略特区による獣医学部新設は、学校法人「加計学園」による愛媛県今治市での学部新設を前提に、諮問会議を含めて、すべての手続きが進められたように疑われても仕方がない状況だろう。

 国家戦略特区を担当する山本幸三地方創生担当相が昨年十一月十七日、日本獣医師会を訪問し、加計学園の名前を挙げて「四国で新設することになった」などと伝えていたことが、本紙が入手した同会作成の面談記録で明らかになった。事業主体の公募を始めた今年一月四日から約一カ月半も前のことである。

 獣医師会側の記録が事実なら、「加計学園ありき」で、計画が進められたことは否定しがたい。

 山本氏側は、昨年十一月の獣医師会訪問を認めながらも「獣医学部新設が決まった経緯について説明したが、四国で決めたとは言っていない。京都もあり得るという話もした。今治市の財政状況については概略を説明したが、加計学園という特定は一切していない」と否定はしている。

 今治市の財政状況にまで言及しながら、加計学園と特定はしていないというのは詭弁(きべん)にも聞こえるが、双方の言い分が食い違うなら獣医師会の関係者も国会に呼び、話を聞いたらどうか。

 学部新設の認可という公平・公正であるべき行政判断が、たとえ首相の意向であったとしても、それを盾に歪(ゆが)められてはならない。

 ましてや加計学園の理事長は、安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ人物である。個人的な関係が行政判断に決定的な影響を及ぼしていたとしたら、政権の存立にもかかわる重大な問題だ。

 衆院は二十四日、参院は二十五日にそれぞれ予算委員会を開き、この問題などに関する集中審議を首相も出席して行う予定だ。この機に事実の解明を一歩でも前に進めるのはもちろんだが、やはり国会閉会中では限界がある。

 野党側は憲法五三条に基づいて臨時国会の召集を求めている。事実解明には、野党が求める理事長自身の参考人招致も必要だ。

 安倍政権がこれ以上、野党側の要求を拒むのなら、事実解明に後ろ向きと批判されても仕方があるまい。速やかに臨時国会召集と理事長招致に応じるべきである。