『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  994

2017-03-23 08:30:10 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 一同の顔がそろう、席に着く、イリオネスの目線が鋭い、一同と顔を合わせる、そして、口を開いた。
 『おう、諸君!おはよう、いい朝である。昨日は、ご苦労であった。今日ここに顔をそろえた一同で戦闘艇の試作艇の試乗に関する講評を話し合う。そのうえで改良点のあるやなきやを論じる。試作艇は、明後日、新艇納入航海に出航する。それから、もう一件、レテムノンへの納入航海の件についての打ち合わせをする。なお、本日の議事の進行については、パリヌルスが司会役を務める』と言って、アエネアスに声をかけた。
 『統領から何かありますか?』
 『俺からか、話したいことは議事の進行中にその件について話す。俺の試乗感は、昨日の海の状態においてだが、小艇としては申し分のない船に仕上っていると感じた。会議を始めてくれ』
 『おう、パリヌルス、会議を始めてくれ』
 パリヌルスが立ちあがる、イリオネスと目線を合わせてうなずく、おもむろに口を開いた。
 『統領、軍団長、そして、一同、昨日はご苦労でした。我々が試乗した戦闘艇の試作艇であるが、明後日から本艇2艇の建造に取りかかる。そこで試乗した試作艇であるが、オキテス隊長およびドックス船棟梁の手になる極めて完成度の高い試作艇であった。この試作艇の試乗評価をして改良点を探る。そのようなわけで一同から評価意見をいただく、よろしく願います。まず、ドックス船棟梁』と声をかけドックスと目を合わせた。
 『ドックス船棟梁、戦闘艇の基本設計に対して、その対応を考慮して、工作を施した諸点について話してもらいたい』
 ドックスがうなずいて立ち上がる。
 『はい、解りました。このたび急ぎ建造した戦闘艇の試作艇は、新艇に比べて、艇重の重い浮体構造になっています。その試作艇を航走させるには、新艇を航走させる力より大きな力が必要です。戦闘艇は帆船です。自然力である風力を帆にはらんで海上を航走します。第一に考えたことは、帆の風ハラミを新艇の2割かた多くならないかと考えました。帆の面の大きさを2割かた大きくし、帆の風ハラミ量を少々ですが多くなるように縫製加工しました。また、戦闘艇の付加工作である衝角構造体の衝角構造はパリヌルス隊長の造形ですが、艇尾部分にあたる、その構造体の末尾形状をできるだけ曳き波の造波抵抗を減らすように形状工作をしました。以上が私が考えたうえで工作しました』
 一同はドックスの工作対処を聞きとめた。
 『ギアス艇長、櫂を操作して漕走したときの漕ぎの体感がどのようであったか、漕ぎかたの二人に櫂で漕いだ時の感じについて述べさせてくれ』