僕はびわ湖のカイツブリ

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“男のためのガーデニング”改め

御朱印蒐集~東近江市 御都繖山 石馬寺~

2016-12-08 19:55:55 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 御都繖山 石馬寺(ぎょとさん いしばじ)は、繖山(きぬがさやま)の山裾にある寺院で、伝承では594年に聖徳太子が開基したと伝えられています。
「霊地は近江国にある」と霊地を探していた聖徳太子が繖山に入ったところ、瑞雲がたなびく風光明媚な風景を見て、山の霊異に深く感動して」寺院を建立したのが始まりのようです。

この繖山には、西国三十二番札所・観音正寺も建立されていて、観音正寺の方にも聖徳太子が繖山に入山した折に、「紫雲たなびくこのお山をご覧になって、これぞ霊山なりとおぼしめし」、堂塔を建立したとの寺伝がありますので、繖山は古代より霊山とされてきた山なのだと思います。
滋賀県の湖東地方には霊山と呼ばれる山がいくつかありますが、それぞれに歴史のある仏閣が伽藍を構えていて心惹かれる場所が多いですね。
 


本堂へ続く石段の登り口には「石馬の池」がありますが、これは“聖徳太子が入山して戻ってくると、つないでおいた馬が石と化して池に沈んでいた”という故事を伝えるもののようです。
池の中には「石馬」の背中に模した岩が見えるのですが、年代は定かではありません。



石段は「かんのん坂」と呼ばれ、人里はなれた古道に覆いかぶさるような青紅葉の下を登っていく、なんとも気持ちのいい道中です。
石段の横に何ヵ所か石垣がありますが、これはかつての僧坊の名残なのかもしれません。



石馬寺は、聖徳太子の建立後に法相宗・天台宗と転宗していきましたが、1568年に織田信長の兵火により焼失してしまったそうです。
その後、1603年に徳川家康により復興され、1644年には臨済宗妙心寺派の寺院となったそうです。



本堂はモミジの葉がかぶり全景を見ることは出来ませんが、紅葉の季節だったらまた違った景色になっていると思います。
本尊は十一面千手観音立像ですが、秘仏で非公開になっており、一代の住職が生涯一度だけ御開帳されるとのことでしたので、次の御開帳がいつかは不明です。



さて、石馬寺で感動的なまでの迫力があるのは大仏殿に安置された仏像群です。
大仏殿に入った瞬間、「あっ!」と声が出てしまったくらい素晴らしい仏像が並んでいます。

重要文化財に指定されている仏像が10種11体(十一面観世音菩薩立像は2体)あり、しばらく大仏殿に籠ってしまいました。
平安時代の作の「阿弥陀如来座像」は丈六の坐像で274cmの仏像です。(重要文化財)


「阿弥陀如来座像」(ポストカード)

大仏殿に入り口からまず阿弥陀如来坐像が見えてくるのですが、入り口には「閻魔法王座像」と眷属の「司命(しみょう)と司録(しろく)」の仏像があって、文化財指定はされていないものの寺宝として価値の高い像に思えます。
阿弥陀如来座像の両横には2体の「十一面観世音菩薩立像」が安置されています。この仏像も平安時代の作で重要文化財に指定されている穏やかな菩薩様です。

さらにその横には「持国天・増長天・広目店・多聞天」の四天王(4体とも平安時代作の重要文化財)が安置されていて、持国天と増長天は2mを越す高さで迫力充分です。
息をひそめてしまったのは「大威徳明王牛上像」と「役行者及び前鬼後鬼」でした。


「大威徳明王牛上像」(ポストカード)

大威徳明王牛上像は密教で不動明王を中心とした四方に配されて魔を降伏させる5大尊の1尊とされています。(他の4尊は降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉)
平安時代の石馬寺は天台宗の寺院だったと思われますから、密教仏像の宝の一つかもしれません。

「役行者及び前鬼後鬼」だけは鎌倉時代の作で、修験道の開祖の役行者(役小角)と2匹の鬼(前鬼後鬼)を従えた枯れた姿にはリアルささえ感じてしまいます。
安置された仏像全てに目を見張るものがあり、現存していることに感謝する次第です。


「役行者及び前鬼後鬼」(ポストカード)

ところで、石馬寺の石段は3方向に分かれていて、石馬寺へ行く石段以外の石段の先には「六所神社」と「雨宮龍神社」がありました。
「六所神社」は石馬神社の守護神として推古天皇の時代に建立されたそうですが、全く人気(ひとけ)のない神社で境内には苔むした大きな磐座がありました。





もう一つの「雨宮龍神社」は“あの石段を登っていくのか?”と心折れてしまい、ここで断念。
後で調べたら石段は1000段以上続くそうですので、諦めて正解だったかもしれませんね。



今年、御朱印に興味を持って神社・仏閣巡りをしているのですが、その中でどんどんと仏像に魅了されてしまうことになりました。
歴史上、兵火や災害・ボヤや放火などで失われてしまった仏像は多いのですが、残された仏像の「美・怒・戒・導・空」などに魅力を感じてしまいます。


コメント
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