A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

トシ喰うな!老人力なめとったらどついたるぞ!~世界の音楽界ご長寿番付TOP10

2013年11月06日 00時50分50秒 | 音楽ちょっといい話


高齢ミュージシャンが元気だ。ルー・リードが71歳で死去する一方で75歳のデヴィッド・アレンが来日し怪演を魅せ、74歳のファッションデザイナー、コシノジュンコがアイドルグループBiSに正式加入。ビートル・サバイバーは今年2月のリンゴ・スター(73)の18年ぶりの来日に続きポール・マッカートニー(71)が11年ぶりに来日ツアーを行う。音楽界は文字通り逝く人狂る人である。先日考察した通り世界中のアート・シーンを老人旋風が席巻している。そこで気になるのは、世界のミュージック・シーンに君臨する最高齢のミュージシャンは誰か?ということである。つぶやいたりググったり盲滅法手を尽くしたが、基本的には筆者の勘に頼ったリサーチ結果なので、見落としがあるのは当然だし、クラシック、ブルース、ワールドミュージック、演歌、民謡など老人力が武器になるジャンルには疎いので割愛させていただくことをご容赦いただきたい。

1位 トゥーツ・シールマンス Jean "Toots" Thielemans 91歳(1922年4月29日ベルギー ブリュッセル)


知り得る限りバリバリ現役ミュージシャンの最高齢は日本でいえば大正11年、スターリンがロシア共産党書記長に選出され日本共産党が結成された年に生を受けたハーモニカの詩人、トゥーツ翁。第二次世界大戦中にジャンゴ・ラインハルトに痺れ音楽を志した時代の生き証人。ベニー・グッドマンからレベッカまで、無数無限のアーティストとコラボし、ジョン・レノンにリッケンバッカーを弾かせた功労者でもある。いつでもどこでも演奏できて身体への負担が少ないハーモニカを選んだ時点で既に長生きが保障されていたのかもしれない。




2位 マーシャル・アレン Marshall Belford Allen 89歳(1924年5月25日アメリカ ケンタッキー)


意外なことに第2位は太陽神サン・ラーのパートナーにしてフリージャズの闘士、マーシャル・アレン。サン・ラー亡き後全世界の変態ジャズの総本山惑星間旅行楽団アーケストラを引き継ぐ。最近はサックス以外にE.V.I.という珍妙な電子管楽器をメインに演奏。この動画はアレンに加え、ミルフォード・グレイヴス(ds/72)、ヘンリー・グライムス(b/77)のフリージャズ・レジェンド・トリオの貴重な武闘派プレイ。演奏中に誰も逝かなかったことが奇跡的。




3位 チャック・ベリー Charles Edward Anderson Berry 87歳(1926年10月18日アメリカ セントルイス)


最高齢のロケンローラーはR&R創始者の一人、チャック・ベリー。ジョン・レノンは「ロックンロールに別の名前を与えるとすれば、それは『チャック・ベリー』だ」と発言している。トレードマークのアヒル歩きや大股開き奏法で筋肉を鍛えたことが長生きの秘訣だろう。お茶目な笑顔が好々爺になって益々親しみ度がアップしたと大評判。




4位 ピエール・アンリ Pierre Henry 85歳(1927年12月9日フランス パリ)


これまた手強いお方が長生きなさっている。電子音楽ミュージックコンクレートの第一人者にして音響コレクター、ムッシュ・ピエール・アンリ。若い頃の髪逆立てた元祖パンクスが、現在は銀髪顎髯の偏屈王にメタモルフォーゼ。昨年9月パリの劇場で新作『Le fil de la vie(生命の糸)』を世界初演し健在ぶりを示した。世界最高齢のクラブDJの称号はまだ誰にも渡さないぜ!




5位 草間彌生 くさま やよい 84歳(1929年 昭和4年 3月22日長野県松本市)


「前衛の女王」世界のKUSAMAは音楽家ぢゃないぢゃん!と言うあなたはまだまだ青い。ビデオ作品で歌を唄ってらっしゃった。60年代ニューヨーク在住時には音楽を含む一大芸術革命の闘士として活躍し、多くのミュージシャンからリスペクトされる。10年以上前に中原昌也を中心とする変態音楽仲間で日本版アーケストラ構想が妄想された時、サン・ラー役に抜擢された(もちろん本人にはマル秘)こともある。コシノジュンコなんて小娘には負けてらんないわ!




6位 セシル・テイラー Cecil Percival Taylor 84歳(1929年3月25日アメリカ ニューヨーク)


本年度の日本版ノーベル賞・京都賞を受賞したセレブ・ジャズマンのセシル・テイラー。昨年の来日中止に、もう飛行機にも乗れないのでは?と心配させたが、まだ健在、授賞式で来日決定。東京では田中泯と共演する。詩人でもあり、自作詩をレコード・ジャケットに掲載したこともある。ダンサーだった母親の影響でバレエとのコラボも多い。音楽に限定されず雑食性の活動を繰り広げた生き様は元祖オルタナ。極めてエネルギッシュかつパーカッシブな演奏がエクササイズになりご長寿に繋がったのだろう。それはモロ影響を受けた山下洋輔(71)の健在ぶりにも明らかである。




7位 オーネット・コールマン Ornette Coleman 83歳(1930年3月9日アメリカ テキサス)


セシルと並ぶフリージャズの創始者オーネットもやはり来日公演がドタキャンになりファンをヤキモキさせた。50年代末、世間の反感を買いジャズクラブから締め出しを喰らったセンセーショナルなスタイルは、ジャズに留まらず世界の音楽・芸術全体をひっくり返した。真に歴史に残る革命家だが、坂田明によれば10年前から恍惚状態だったらしい。もし本当に脳みそがトロトロだとしても、自ら生み出した革命的音楽理論に従えば、すべては自由であり間違うことはあり得ない。




8位 ソニー・ロリンズ Sonny Rollins 83歳(1930年9月7日アメリカ ニューヨーク)


オーネットとは対照的にジャズの王道を歩んできたサックスの巨像。パーカーやコルトレーンやマイルスのように音楽革命に着手したわけではないが、テクニック・表現力・作曲能力は極めて高く、ジャズの大衆化に果たした役割は大きい。筆者も『サキソフォン・コロッサス』のジャケットを見てジャズを志したひとりである。禅やヨガといった東洋思想に造詣が深く、来日のたびに京都の寺院を訪問、スピリチュアル・ジャズ系への影響力も見逃せない。幾つになってもいい楽器を求める飽くなき探究心には感服する。




9位 リトル・リチャード Little Richard 80歳(1932年12月5日アメリカ ジョージア)


ロケンロー伝説第2の男、チビのリチャード。ガキの時はLittleと呼ばれても成長とともにあだ名は変わるものだが、傘寿を迎えてもチビッ子を自称するとは相当な自虐性ロッカーである。セシルに匹敵する激しいアクションに絶叫ヴォーカルをプラスした健康法が功を奏して現在も腰振りながら「ワッバップ・ルッマップ・ラッバン・バン!」と意味不なシャウトを聴かせてくれる。




10位 鈴木勲 すずきいさお 80歳(1933年1月2日東京)


日本人で唯一トップ10にランクインしたのはオマさん。米軍キャンプ回りで鍛えた腕で名門ジャズ・メッセンジャーズに加わり海外ツアー。常に回りの出来事に興味を絶やさず、なんでもやってみよう!という冒険精神は日本ジャズ界の長老となった現在でも変わらない。ジャズは勿論、ファンク、ヒップホップ、クラブ・ミュージックなどの異種格闘技に果敢に挑戦し血肉にしてしまう包容力は年の功だけでは説明不能。オマさんオンリーの神通力である。




次点 渡辺貞夫 わたなべさだお 80歳(1933年2月1日栃木県宇都宮市)


生まれたのがオマさんに遅れること1か月で涙を飲んだのは世界のナベサダ。今も変わらぬ屈託のない笑顔は音楽以上に幅広い人気の素。60年代アメリカ留学で持ち帰った成果が日本のジャズを作ったのは間違いない。ラジオでの軽快なしゃべりがジャズやブラジル音楽の普及に果たした功績も見逃せない。筆者がサックスを始めたきっかけがナベサダのブラバスだった。子供たちとの共演を何よりの楽しみにしているナイスおじいちゃんぶりは、まさにジャズ界最大の功労者。




次々点 オノ・ヨーコ 80歳(Yoko Ono, 日本名:小野 洋子 1933年2月18日東京)


KUSAMAと並ぶ前衛芸術家Yoko Onoも惜しいところ。若くして海外へ渡り破壊的な芸術活動を展開したおてんば娘がビートル・ジョンと恋に堕ち、今では世界平和運動のセレブリティ。成り上がりきった高貴なお方にも拘らず、いまだに奇声で歌い叫ぶ永遠のアヴァンギャリストぶりがお見事。ジョンの魂を宿しつつ女性上位万歳の象徴であり続けるヨーコに惚れたぜ。




こうして見ると、長生きの秘訣は下記3点にあることが判る。
1) 旺盛な好奇心
2) 果敢な冒険精神 
3) 激しい運動量

歳を取るって素晴らしい。長生きをして一生青春を謳歌しようではありませんか!

Long Live Rock
Love Live Life
Spice Of Life

書き上げたところで重要な方を見落としていたことに気付いたが、時すでに遅し。誰かは秘密(殺)。
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-05-25 21:01:19
秋吉敏子さんをお忘れでは?

通りすがり失礼しました。
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