灰野敬二 Keiji Haino
灰野敬二
川口雅巳(g) / 山崎怠雅(g)
毎年恒例の灰野敬二の年末ライヴ。昨年は新バンドHARDY SOULのお披露目となったが、今年はHARDY SOULのメンバーの川口雅巳と山崎怠雅がゲスト出演。
英語でゴスペルを歌うHARDY SOULのコンセプトは一年間でどう発展したのだろうか。
(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)
ロック/R&Bのカヴァーに留まらず、自作の詞を英訳して歌うことで、灰野敬二の世界が新たなフェーズに突入した。英語圏のリスナーに意味が即座に伝わることは勿論だが、日本人としても灰野の表現に新たな発見が見い出せる。灰野自身が表現の幅を広げたのか、聴き手の主観的な思い込みに過ぎないのか、言葉が直接入って来ないので、灰野の歌と演奏を左脳に邪魔されずに右脳だけで感じることが出来る。つまり知性や論理性を交えず、感性・感覚で灰野の表現をありのままに受容することが可能になるのである。
2014年もうひとつのトピックは創作パーカッションの導入であろう。仮称「OTO」と呼ばれる金属円盤打楽器は、音響工学ではなく生物学・植物学に基づいて発想されたもので、様々な楽器を独自の演奏法でモノにしてきた灰野の手で、生き物の如き有機的音響発生体となった。制作者の意図を超えた予測不可能な音の波動は、その清廉な錫の音と共に、今までこの世になかった響きを産み出した。
そんな一年の総決算と云えるEND OF THE YEAR公演の前半は、電気増幅された「OTO」の調べが魂を洗浄し、タラブッカの連打のループの上に織り重ねられたドラムマシーンとエレクトロニクスの耳ばかりか魂までも圧倒する轟音と足元のスーパーウーハーの重低音の震動で、聴き手の体内の百八の煩悩を絞り出し、空っぽになったボディ&ソウルをサズのエスニックな調べに乗せて発せられる祈りの言葉で塗り替える禊の儀式のようだった。
生まれ変わった精神へのご褒美のように、至福の時が用意されていた。山崎怠雅の流麗なアコースティック・ギターの伴奏で、灰野が明朗な英語で歌い上げたのはドアーズ、ティム・バックリー、ビートルズなどのよく知られたナンバーであった。定番中の定番曲「イエスタデイ」を灰野敬二が歌うだけで鳥肌ものだが、その美しさたるや、ポール・マッカートニーが嫉妬するレベル。一年の計の最後の最後にこんな福音が待ち受けているとは、人生捨てたもんじゃない。
後半は幸福に満ちたリスナーに雷(いかづち)を落とすようなギターの轟音シャワーと、今度は川口雅巳のガットギターで自作曲をビーフハート的ブルース感覚で歌うソウルフルな歌。延べ5時間半のライヴを長いと感じるか短いと感じるか、それは聴き手の魂のとろけかた次第であろう。因みにこれがなければ年が越せない体質になってしまった筆者にとっては、例年よりも若干短く感じられた。これこそ2015年先取りの「魂の交歓」の証と云えよう。
[2015/1/2 22:00追加]
年を越す
だけどあんまり
変わらない
<灰野敬二ライヴ・スケジュール>
2015年
1月9日(金)青山月見ル君想フ
「月と衝突」2015新春4Days -4日目-
出演:
マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)
波多野裕文(People In The Box)
灰野敬二
OPEN 18:30
START 19:00
前売 3,000
当日 3,500 +1D 500
1月10日(土)六本木Super Deluxe
SuperDeluxe & TEST TONE presents!!
アンラ・コーティス × 灰野敬二
開場 18:30 / 開演 19:00
料金 予約3000円 / 当日3300円 (ドリンク別)
LIVE:
アンラ・コーティス × 灰野敬二
John Hegre × Nils Are Drønen × Jon Irabagon
PHEW × Rokapenis
L?K?O × Cal Lyall × 山本達久
DJ:
Evil Penguin
宣伝美術:
★ D.K.Z. (河村康輔+HAMADARAKA)
1月20日(火)六本木Super Deluxe
teneleven 2015
開場 19:00 / 開演 19:30
料金 予約3000円 / 当日3500円 (ドリンク別)
出演:
坂口光央 (keyboards)
ナスノミツル (bass)
中村弘二 (etc)
沼澤尚 (drums)
南方美智子 (keyboards)
山本達久 (drums)
ササキヒデアキ (video)
ゲスト:
仙石彬人 (ohp / time painting)
吉兼聡 (guitar)
DJ:
灰野敬二
▼WELCOME 2015!!
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