A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

灰野敬二+ジム・オルーク+オーレン・アンバーチ@六本木スーパーデラックス 2013.3.17 (sun)

2013年03月19日 00時15分21秒 | 灰野敬二さんのこと


灰野・オルーク・アンバーチ
新作LP「まだ 温かい内の この今に 全ての謎を 注ぎ込んでしまおう」リリースライブ!

出演: 灰野敬二 + ジム・オルーク + オーレン・アンバーチ
前座: Crys Cole + Joe Talia + James Rushford

2010年以来新年恒例のオーストラリアの実験音楽家オーレン・アンバーチを迎えての灰野敬二スペシャル・トリオのスーパーデラックス(以下SDLX)公演、今年は少し春めいた3月の開催。そもそも2009年1月に福岡県の現代美術センター・CCA北九州のサウンド・ワークショップのためにオーレンが来日し灰野とジムと共演したのがトリオの誕生だった。その時の演奏はCD「Tima Formosa」で聴けるがオーレンがギター、ジムがピアノ、灰野がヴォイス&エレクトロニクスの編成でアンビエントな感触の実験音楽だった。翌年1月からオーレンの来日ツアーはCCA北九州イベントからSDLX出演という流れが恒例になった。SDLXでは灰野がヴォーカル&ギターetc.+ジムがベース、オーレンがドラムという編成でパワフルでダイナミックな演奏を展開している。ライヴ録音され翌年の公演でアルバムが会場発売されるのも定例。「またたくまに すべてが ひとつに なる だから 主語は いらない」(LPのみ/2010年録音/2011年リリース)、「いみくずし」(LP+CD/2011年録音/2012年リリース)、そして今年は「まだ 温かい内の この今に 全ての謎を 注ぎ込んでしまおう」(LP+CD/2012年録音)とリリース。どれもSUNN)))のスティーヴン・オマーリーによる芸術的なデザインでLPは限定プレス豪華内袋付見開きジャケット仕様という魅惑的な作品。毎年LPに3人のサインを貰うのが私の年中行事になっている。昨年夏にリリースされた灰野+オーレン+スティーヴン・オマーリー「なぞらない」(LP+CD/2011年パリ録音)も同様の装丁である。

▼「まだ 温かい内の この今に 全ての謎を 注ぎ込んでしまおう」ジャケット


今年CCA北九州のサウンド・ワークショップにはオーレンとジムに加えジョン・ダンカンが出演した。CCA北九州には世界各国の実験音楽家が来日・交流しユニークな企画が開催されているので九州在住の方は要チェック。今回オーストラリアの若手実験音楽家ジョー・タリア(Joe Talia)も来日し3月13日SDLXで「Oren Duos」と題して「オーレン+ジム」と「オーレン+ジョー」の組み合わせのライヴが開催されそこにジョン・ダンカンも飛び入り参加したそうだ。因みにFBで私の非常階段+ジョン・ダンカンのライヴレポをジョンに送ったところGoogle翻訳で英訳したらしく「シュールレアリスティック!」という感想だった。


今年の「年イチ(Once A Year)」トリオのSDLX公演の前座は2011年の同公演のサポートアクトを務めたカナダの美人音楽家クリス・コールにジョー・タリアとジェームス・ラシュフォードを加えたトリオが出演。ジェームスはやはりオーストラリアの若手でオーレンやジョーと共演経験がある作曲家/ピアニスト/バイオリニスト/即興演奏家。オーレン・アンバーチを核に豪州の新世代地下シーンが辿れそうだ。クリスは前回同様金属板を擦る音を電気増幅、ジョーはスネアやシンバルをスティックで擦った摩擦音、ジェームスはヴァイオリンによるトニー・コンラッドのようなドローンサウンドと三者三様の物音ノイズ。特に盛り上がりもなくガサガサゴソゴソいう音が続く演奏はオーレンのソロ作品に通じるアンビエント音響。先日のジムのアンビエントソロでは睡魔に悩まされたが今回はトリオなので飽きずに観られた。部屋でじっと耳を澄ませて聴く種類の音楽ではないと思うがライヴで観たりながら聴きするのは悪くない。


(写真・動画の撮影・掲載については主催者・出演者の許可を得ています。以下同)



年イチ・トリオの第1部はアコースティック・セット。ステージにフォークギターが置いてあり灰野のアコギはガットギターだし前座の誰かが弾くのかな?と思っていたらジムのギターだった。灰野のカンテレとジムのアコギ。オーレンがワイングラスを擦って音を出していて昨年のトリオのオープニングでのCCAイベントで来日中だったシャルルマーニュ・パレスタインと石橋英子を加え5人で披露したグラスハープ演奏を思い出した。ワイングラスの微弱な振動から流れる妙なる響きとパワフルな轟音プレイの両極端を兼ね備えるのが灰野ならでは。カンテレ→エアシンセ&発信器→笛に交えて聴かせるヴォーカルが印象的。先週のスガダイローとの共演でも感じたが灰野が「僕はヴォーカリストだ」と自ら語るのが紛れもない事実であることを実感する。





第2部はエレクトリック演奏。とはいっても轟音だけではなく静かな歌やフルートやを交えた起伏のある演奏で単なるロックトリオではないことは明らかだ。灰野の自由度の高いパフォーマンスがたっぷり楽しめるのは勿論だがこのトリオの肝はリズム担当の二人の演奏にあるといえる。ソロでは電子音楽家、石橋英子・前野健太・長谷川健一といったアーティストとの共演では冷静なプロデューサー/ギタリストであるジムが激しいグルーヴに身を任せてアグレッシヴなベースプレイを見せるのはこのトリオだけといってもいいと思うし、同じことがオーレンにも当てはまる。普段は思索的な求道家として知られる二人が年に一回だけ攻撃本能を解放する場がこのトリオなのではなかろうか?この場に立ち会った満員の観客は凶暴な獣と化し本性を剥き出したジムとオーレンのリビドー発散の目撃証人なのではないのか?それはともかく灰野の屹立する慈愛と対峙することでふたりの卓越した表現者の無意識が刺激されることは間違いない。それは立会人である聴衆も同じで三人の魂の交感に弄ばれるうちに心の奥深くに眠るエス(イド)が表層に沸き上がりと脳内シナプスの活性化を促し得も言わぬ快感に包まれるのである。




灰野の愛
年に一度の
浄化の夜

<灰野敬二ライヴ・スケジュール>

4.7(sun) 日比谷野外音楽堂 「カオスフェス2013
出演:BiS/cinema staff/でんぱ組.inc/不失者/旺福(Wonfu)/DJ:D-YAMA

4.23(tue) 渋谷WWW JOSEPHINE FOSTER & VICTOR HERRERO JAPAN TOUR APRIL 2013
出演:JOSEPHINE FOSTER & VICTOR HERRERO with 田中徳崇/灰野敬二

5.3(fri) 高円寺ShowBoat 「灰野敬二 ~生誕記念公演~」

5.17(fri) 国立地球屋 「ドラマー、サミーに捧ぐ」
出演:doronco (bass play)/灰野敬二+三浦真樹/ラピス/らりは/ヨシノトランス+川口雅巳

5.31 (fri)Mt.RAINIER HALL SHIBUYA  “真夜中のヘヴィロック・パーティー
出演:頭脳警察/外道/灰野敬二/ROLLY/非常階段/騒音寺/ザ・シャロウズ/キノコホテル

★当ブログの読者は4/7は女房(旦那・親・子供etc.)を質に入れても日比谷へ集合のこと。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« キース・ティペット@中目黒 ... | トップ | マヘル/川口雅巳NRS/愛のた... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日比谷野音 ()
2013-03-19 18:24:22
灰野さんが野音にでるの30年ぶりでしょうか。
野音での不失者、夢のようです。

しかし、最近の灰野さんの若者(特に女子)からの
支持は凄いですね。。。
返信する
YAON (miro)
2013-03-20 01:18:52
辺さん

天国注射の昼以来ですね。歴史的なイベントを観にいらっしゃいませんか?
返信する

コメントを投稿

灰野敬二さんのこと」カテゴリの最新記事